続・美容師観の話
美容師をやっているとたまに言われることがある。
「好きじゃないと続けられないですよね。」
これ。
たしかに美容師はイメージ通り激務な一面もある。立ち仕事で、休む暇もなくて、営業後には練習をして。縦社会だし、体力も使うし、気も遣う。好きじゃないとやってられないのかもしれない。
しかしどうだろうか。
好きゆえに求めてしまい、見返りの少なさに絶望し、離れてしまうなんてこともあるんではないか。人間関係でたまにいると思う。急激に仲良くなったと思ったら些細なきっかけで何もなかったかのように存在ごと消え去る人。
"美容師"という存在に憧れたり夢を見たりして、"成功"という見返りがあり続ければそれでいい。もしくは挫折してもその先の成功を信じ続けられればいい。
自分はそうではない。
まず根本的に"美容師"という存在には一切憧れない。なんなら苦手だ。(ここで言う"美容師"はあくまでイメージ。いわゆるキラキラした感じの。)
技術者として尊敬している諸先輩方はいれども、そうなりたいとは思わない。なれるとも思わない。
じゃあなぜこれまで続けてこれたのか。お店を持つところまでやれたのか。
それは美容師を
憧れではなく仕事として選んだから
だ。美容師は素晴らしい仕事だ。毎日ひとに触れ、ひとの変化に携わり、きっかけになることもある。元気づけたり慰めたり忘れさせたりもできる。モチベーションを上げたり、周りの評価を上げたりもできる。
その裏側では前述のとおり苦労もあるが、それを上回ってあり余るほどの喜びがある。
それを"好き"と言うならそうだが、あくまで美容師という"仕事"が好きだ。
先ほどの人間関係に例えるなら、自分が大人になってからの家族みたいなものだ。付かず離れず、求めれば返ってくるが、責任はもう大人である自分にある。鬱陶しいときもあるけど、必要な存在。形を変えながら関係は途絶えない。そんなかんじ。
なのでキラキラ系美容師特有の熱量ははっきり言って自分にはない。それくらいだからやってこれたんじゃないかと思う。
もちろんいろんな美容師さんがいて、業界を牽引する方々はエネルギーも影響力も物凄い。そんな人もいる。けどこんな人もいるんだ。
いろんな美容師さんがいるってことで、次回は自分がやっているマンツーマン施術やフリーランス美容師について書こうと思う。
一読ありがとうございました。