君に贈る火星の
「ちょうど今、キャンペーン中でね」
バーでたまたま隣になった男が陽気に笑いながら話しかけてきた。
偶然彼と出会った人に何でも望むものをプレゼントしちゃうという豪気なキャンペーン中らしい。
「ただし、『火星のもの』に限りますけどね」
今まで3人の人間にリクエストされて、次のものを渡したそうだ。
・石(小石を3つ)
・大気(ビニール袋1袋分)
・記憶(壮大な記録をデジタルデータにして)
(※ただし全て『火星の』)
何を貰おうか。
前の3人と同じでは面白くない。
では・・・
「火星の土地の権利書?ははは、良いですよ!今日から火星は丸ごとあなたのものだ」
彼は懐から用紙を出してそこにサインした。
おまけに約束の証としてなにやらごついデザインの指輪もくれた。
『そうしてこの火星は【火星の鍵】を譲り受けた一人の男に全て丸っと譲渡されました。火星歴の名前にもなっている【田中】はその男の名前なのです』
~火星の歴史1 -田中歴前~田中元年にかけて編-~
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