立方体に教えられたこと

「1週間後に地球は滅亡します」

ある日唐突に出現した立方体は途方もないことを語りだした。

渋谷のスクランブル交差点に2メートル四方の立方体が出現したのはつい30分前、朝8時過ぎの事。
避け切れずに立方体に突入していった人や車は「ぽよん」と立方体に飲み込まれ、そのまま「ぷるん」と反対側に出た。

マスコミはこぞって立方体を取材し、オカルト信者たちは神が舞い降りたと沸き立ち、多くの人間は立方体に興味はあるものの日々の生活を優先した。

翌日、立方体の予言は「6日後に~」となり、その次の日は「5日後に~」となった。
マスコミは詰めかけたが人々は芸能人のゴシップの方に興味があり、マスコミもそちらに倣うように報道を切り替えた。


カウントダウンが進むにつれ、立方体はそこに以前からあったもののように扱われた。


「本日、地球は滅亡します」

最終日にも立方体は律儀に宣言した。














夜23時59分。
立方体は途方もなく大きくなり「ぱくん」と地球を飲み込んだ。

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