コロコロ変わる名探偵
事件現場に名探偵が居合わせることは珍しい事ではない。
ただし、今回は名探偵が多すぎた。
有名無名自称も含めて20名。
各々が事件について独自の調査・推理をして、他人にそれを話したがる。
誰か一人を代表にしてくれと頼んでみたが、話し合いが12時間経過したところで方針転換することにした。
一人一人が発言できる時間を30秒に制限。それでも20人で10分かかる。
「この事件は要するに殺人事件でして」
「手口はワインに入れられた毒による毒殺」
「指紋は被害者のものも拭き取られており、犯行時に犯人は手袋をしていなかった可能性がある」
「お前今30秒より長く話しただろう!」
「そんなわけで、これは用意周到に計画された殺人事件であり」
「犯人はこの屋敷の中の・・・」
「ずるいぞ、それはオレが」
「犯人の指摘はこのわたくしが」
こんな調子で、結局推理も何もあったもんじゃない。
犯人は目の前にいる俺なんだけどな~・・・今のうちに逃げちゃおっかな。
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