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しゃべるピアノ

『そ』

空が青い。
こんな日は朝から小鳥たちがやってくる。
僕の下には昨日の大雨から逃れるためにやってきた子ぎつねがまだノンビリしているけれど、きっと小鳥たちの歌で目覚めるだろう。
太陽は僕の濡れそぼった身体をカラリと乾かしてくれるはずだ。

今日もきっと彼がやってくる。

「調律もなにもあったもんじゃない」なんて文句を言いながら、僕の調子っぱずれの音に合わせて同じように音痴なキミが歌うんだ。

森の中にその音が楽し気にこだまするのは嫌いじゃない。
ううん、嫌いじゃないどころか、かなり好きだ。

待ちきれない!早く来ないかな~!!


だけど、彼はいつまで待っても来なかった。
次の日も、その次の日も。

その頃、小鳥たちは噂話を夢中でささやき合った。
大雨の日に殺された、一人の男の話を。

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