子犬の咳「ケンネルコフ」原因と対処法。パピークラスには行っていいの?(獣医師作成記事)
お家に迎え入れたばかりの子犬が咳をしている!?
子犬の風邪”ケンネルコフ”という病気は、ごく一般的な病気ですが、ひどい時は夜も眠れないほどの症状まで発展することもあります。咳をしてるのかな?と思った時の対処法や、パピークラスなど、他の子犬たちと遊ばせていいのか?と行った疑問にお答えします
子犬の咳の原因と対処方法
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しほ先生『今日は「子犬が咳をしている。」という相談者様がいらっしゃっています。とうの先生、よろしくお願いいたします。』
とうの獣医『はい、よろしくお願いいたします。』
相談者『こんにちは。よろしくお願いいたします。つい先週、我が家に子犬を迎え入れました。2ヶ月半の柴犬です。この子が今週に入ってから、咳をしているようなんです。遊んでいるときなどに鳴き声に混じって「ケホッ」とか「カッ」といった咳のような症状があります。抱っこした時も咳をするときがあります。犬にも咳や風邪があるのですか?』
とうの獣医『はい、犬でも咳をすることはあります。人の「風邪症候群」はウイルスの感染によってのどや鼻などに炎症が起きることですが、犬でも同じようなことが起きます。特に、子犬期にブリーダーやペットショップなど、子犬の集まるところでもらってしまう風邪症状のことを「ケンネルコフ」と呼び、子犬ではとても一般的な病気です。』
ケンネルコフとは
正式名称は「犬伝染性気管気管支炎」です。
ウイルスや細菌などが感染して子犬に気管支炎を起こすもので、伝染性はとても強いです。
ケンネルコフの症状
乾いた咳(微熱や鼻水が出ることも)
ケンネルコフの原因
アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、マイコプラズマ、その他ウイルスや細菌が単独または複合感染して起きます。
ケンネルコフの治療法
軽症であれば、部屋の湿度と温度を適切に保ちつつ安静にすることで、1〜2週間ほどで治ります。抗生剤や気管支拡張薬、鎮咳薬、ネブライザー(噴霧療法)を使用する場合もあります。
ケンネルコフの予防法
アデノウイルスとパラインフルエンザウイルスはワクチンがありますが、それ以外の病原菌には有効なワクチンはありません。
パピークラスには行っていいの?
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相談者『「ケンネルコフ」ですか…。今はたまに咳をする程度で元気なのですが、これは放っておいても大丈夫なんですか?』
とうの獣医『まずは、ケンネルコフなのか、ほかに呼吸器疾患が起きていないかを病院で確認してもらってください。気管支炎が起きているかどうかは、動物病院での触診である程度わかります。子犬さんは余力があまりないので、多少の咳でも油断は禁物です。』
相談者『そうなんですね。まずは動物病院に連れて行ってみます!ひどくなるとどうなるんですか?』
とうの獣医『ケンネルコフは通常は「のど風邪」程度で済みますが、ひどい場合は寝れないほど咳が悪化したり、肺炎になることもあります。咳が続いてオエッと吐くような仕草が見られることもあります。』
相談者『それは怖いですね…。家でできることは何かありますか?』
とうの獣医『まず、咳をし始めたら安静にさせてください。また、部屋が低温・低湿度とならないように気をつけましょう。季節にもよりますが、部屋の温度を25度ほど、湿度を40〜60%ほどに保つと理想的です。』
相談者『わかりました。子犬の集まるところでうつるのであれば、パピークラスなどにも行かない方がいいんですかね?』
とうの獣医『安静が必要なことや他の子にうつすことも考えて、治るまでは行かない方が良いでしょう。完全に治って数日経ってからは、パピークラスの先生と相談して、行けるようなら行くことを私はお勧めしています。犬にとっては体の健康と同じくらい、心の健康も大切ですからね。』
犬の心の健康について
犬を飼うにあたっては、病気やケガなどの「体の健康」だけでなく、「心の健康」にも気を配りましょう。
他のわんこや知らない人間たちと触れ合う中で、子犬は多くのことを吸収し、それが生涯の性格に影響します。この「社会化」が子犬の健やかな心の成長のために、非常に重要になってきます。
犬がケンネルコフにかかる時期というのは、人間でも幼稚園や小学校に行って風邪をもらってしまうような時期です。風邪をひくのが怖いからと言って、小学校にいかないわけにはいきませんよね。犬にも教育や社会化が大切ですから、その点は人間と同じことが言えるのです。
もちろん、うつらないように、またうつっても悪化しないように、混合ワクチンを打っておくことは大切です。
パピークラスに参加するみんなが混合ワクチンの接種をしていること、知り合いの犬たちと遊ばせる時もワクチン接種の確認をすることが大切です。
相談者『なるほど…。ケンネルコフのことや、この時期は社会化のことも考えないといけないということがよくわかりました。ありがとうございました!』
とうの獣医『こちらこそ、ありがとうございました。お大事になさってくださいね。』
終わりに 愛犬の心の健康も守ろう
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今回のまとめ
・子犬で咳をしている場合はすぐに動物病院で診てもらう。
・湿度と温度を適切に保って安静に。
・必要なら薬を処方してもらう。
・混合ワクチンは必ず打つ。(ただし、ワクチンでも防げない病原体もある。)
・ケンネルコフにかかる時期は、子犬の社会化にとっても重要な時期。体の健康だけでなく、心の健康にも気を配ること。
しほ先生『子犬が咳をしているとなると、とても心配になりますよね。子犬が集まる場所では感染症を蔓延させないよう十分に注意が必要ですが、だからと言って完全に子犬同士の交流を断つのというのは、心の成長のことを考えるととても危険だと思います。』
とうの獣医『そうですね。子犬の風邪は軽視していいものではないので、ちゃんと病院で診てもらって必要な対処をしないといけません。と同時に、健やかな成長のためにとても大切な時期であることを心に留めておく必要がありますね。』
しほ先生『子犬の病気と心の健康について、わかりやすい説明ありがとうございました。』
とうの獣医『こちらこそ、ありがとうございました。』