命がたべものになる過程を見て
こんにちは!さゆきと申します!
今回は、5月28~29日に罠ブラザーズが活動している長野県・上田市に訪問した際のレポートをしたいと思います。
私の、罠ブラザーズとの出会い
私の、罠ブラザーズとの出会いは、2021年3月。
元々フォローしていたキルタさんのこのツイートがきっかけでした。
私は以前から、野生動物と人間が共生できる世の中になったらいいなと考えて、里山や農業などを学んできました。そんな中で、他の生き物と一番対等に向き合っているのって猟師さんだよなあと思うようになり、福井県の里山へ行き猟師さんと一緒に山へ入ったり大学の卒業論文では減少している猟師さんの現状と対策について書きました。
学んでいくうちに、命をたべものにするという体験を自分がすることで自分はどう思うのか?って知ることはものすごく大事だと思うようになりました。しかし、実際に免許を取得して自分で狩猟を行うのはとてもハードルが高い。どうすればそのハードルを越えられるんだろう?と、ずっと心に引っかっていました。
そんなことを頭の片隅で考えていた時、このツイートを目にしました。その瞬間、
「これだ!!」
と思ったのです。
擬似体験。その手があったか!と。
引用リツイートをしたらキルタさんと会うことになり、制作チームに参加して長野県へ一緒に行かせていただくことになりました。
いざ、長野県へ
罠ブラザーズを運営する山学ギルドの4名の内、1人目の方と合流し、そのまま山へ。
そこで2人目の猟師さんと合流しました。
ここで驚いたのは、山がとても綺麗なこと。
背が高い木と低い木があり、程よく太陽の光が入ってきて、これがいつも動画で見ていた場所だったんだと思いました。
そして、仕掛けた罠(くくり罠)の確認をしていきます。猟師さんは動物の足跡などを見てこまめに罠の位置を変えているのだとか。その地道な作業がとても大事なんだなあと思いました。
そのうちのひとつを使って、どういう仕掛けになっているのかを見せていただきました。
思ったよりも力がいること、そして罠が作動する時の勢いが強くて驚きました。
そして、山を下っていくと、
「鹿が一頭罠にかかっているらしい」
との声が。
「...?!」
まさか、長野へ行ったその日にかかっているとは...その場にいた全員、予想していませんでした。そして現場へ向かうと、右前足が罠にかかって必死に逃げようとしている鹿が居ました。
トンカチをゆっくりと近づいていく猟師さん。
逆方向へ逃げようとする鹿。
徐々に距離が近まり...
振り下ろされるトンカチ。
鈍い音。
意識を失う鹿。
すぐにナイフを入れ、放血。
その間、わずか10秒。
あっという間でした。
印象に残ったのは、その瞬間まで逆方向を向き声を上げていた鹿が、最期に猟師さんの目を見て一鳴きしたこと。来ないで、という思いがこちらにまで伝わってきました。
実際に命がたべものになる瞬間を見て
かわいそう、悲しい、もうお肉なんて食べられない...写真や動画、人伝てに聞いた話ではなく、自分の目で実際に目の当たりにしてどう感じるのかはその瞬間になるまで自分でも全くわかりませんでした。
そして、思ったのは、
ああ、これが自然か。
です。
これが自然か、という言葉には2つの意味が含まれています。
1つは、これが自然の食物連鎖の中の出来事かということ。人間って、天敵はいないけれど小さな虫にやられたりするので、食物連鎖の中のどこにいるんだろう?とよく考えています。1番上か、1番下か、もしくは食物連鎖の中にいないか。普段人工的なコンクリートの上で生活していると忘れがちですが、今回の現場を見て、人間も食物連鎖の一部なんだと改めて実感しました。
もう1つは、人工的な場所ではなく山という自然の中で行われたので、違和感がなかったということ。たぶん、ここが屠畜場だったらかわいそうと思っていたかもしれません。でも、山の中だと自然の一部の出来事に見えました。例えば、ライオンがシマウマを狩るのと同じように。
解体作業へ
罠ブラザーズの罠にかかったブラザーへのお肉は、全て自前の食肉処理場で解体作業をしているのですが、今回は家庭消費のため現地の川で作業をしました。
猟師さんの手捌きが素早く、どんどん"お肉"へ変わっていきます。
ここで感じたのが、お肉は筋肉なんだということ。家畜とは違って山の中を生きる野生動物なので贅肉ではないと、当たり前の事だって頭の中でわかっていたのですが、実際に見てみるともも肉が取れる足の部分も本当に細くて余計なお肉はないんだなと思いました。
その日の夜、実食
宿に行くと、山学ギルドの3人目の料理人さんが待っていてくださいました。先程獲った鹿肉は少し寝かせてからが美味しいとのことだったので、先日猟師さんが獲った鹿肉をいただきました。
鹿肉は、クセはあまりなくてコクがあって美味しかったです...!
この後、ハツとタンはすぐ食べられるとのことで、先程獲った鹿肉をいただきました。このハツとタンは、一切れでなんだかお腹がいっぱいになりました。
行ってみて感じたこと
今回、命がたべものになっていく過程を実際に自分の目で見て思ったことがあります。
それは、ただスーパーでお肉を買って食べるだけではなく、どこで育ってどこで過ごしてどう解体されてどうやって目の前のお皿にやってきたのか、その過程を知ろうとし続けたいし、考え続けたいし、感じたことを忘れないようにしたいということです。そして今回のように、現場へ行くのをやめたくないなと思いました。
改めて、罠ブラザーズは、今まで見えていなかった過程を見ることができて、それを考えることができる場所だと感じました。
*
現在、冬のブラザーズの罠にかかった鹿肉が発送され、手元に届き始めています。Facebookのグループには、美味しそうに調理された鹿肉があるブラザーズの食卓の投稿がアップされており、見る度に、美味しそう......とお腹が鳴っています。
今後、ブラザーズに鹿肉の感想や参加してみてどうだったかインタビューもしたいなあと考えております!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
2021.7.7
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