〈多様な学び探訪〉 トーキョーコーヒー体験記。 八王子の山で自由に学び、遊びこけたことで見えたもの。
晴天に恵まれた、4月30日の日曜日。
東京・八王子での〈トーキョーコーヒー〉の活動に、子どもたちと参加してきた。
▷トーキョーコーヒーとは
不登校の児童生徒を含む「長期欠席者」は、約41万3000人に上るという(2021年度、文部科学省調べ)。
そんな子どもたちのアクションを受け、「問題は子どもの不登校ではなく、大人の無理解にある」との視点に立ち
現行の教育システムのアップデートを目指す全国プロジェクト。
関西でアートスクールを運営する、アトリエe.f.t.が立ち上げた。
2022年夏に発足し、現在までに全国で250の拠点が誕生。
各拠点では、学校に行っていない子どもたちやその保護者など、教育アップデートに関心のある人たちが集まって
大人も子どももごちゃまぜになり、畑しごとや料理、季節の手しごと、ゲームなど
楽しみながら活動する。
その中で、今・これからの教育について1人ひとりが考え、学んでいく。
親子で共同作業。地場産ヒノキで箸作り
今回は「トーキョーコーヒーNo.85 八王子atelierteaoive」の、八王子市小津町での活動に参加した。
小津町は、八王子市郊外の山間部にある農村地帯。
そこで古民家や耕作放棄地などを再生しながら、地元住民を中心として地域起こしをしている「NPO法人 小津倶楽部」を、トーキョーコーヒーとして訪れた。
高速を降りて数分。
気づけば蛇行のきつい山道に入っており、車窓は一面、山の緑と空の青。
八王子市…いや東京都に、こんな大自然が残っているなんて!
自然に恵まれた、とかいうレベルじゃない。「雄大」って言葉がぴったりだ。
そんな大自然の下で、午前中は箸作りのワークショップに参加。
倶楽部メンバーである、家具職人の方の指導を受けながら
始めはわたし、途中からはカンナに興味を持った長男が、小津産のヒノキ材をひたすら削った。
何故か削りくずに魅せられ、ひと削りするごとにそれをせっせとビニール袋に集める長男。( ゚д゚)
作業はなかなか進まなかったけれど、削り方も段々と板につき
最終的に、初の母子共同制作物としての箸が完成した。
「初めまして」でも、いきなり深い話ができる理由
その後は青空の下でお昼ごはん。
倶楽部の方々が、朝から仕込んでくれたプレートランチと柏餅をいただいた。
テーブルに居合わせたのは、初めましての面々が中心。
年齢やバックグラウンド、日頃の立場などすべてが異なっていたけれど
「トーキョーコーヒー」「教育」「地域」…
そんな、共通のキーワードに引き寄せられて集まったわけだから
いろいろと話が早い。
社交辞令も一切なしで、深い話がサクサク進む。
「あれしろ」「これダメ」はなし。満たされていく子どもたち
午後は敷地内の野山を散策した。
この頃には、人見知りな我が家の兄妹もだいぶ打ち解けてきた。
「次はあれをしなさい」「これはダメです」
そんな指示は、どこからも飛んでこない。
自由な環境のもと、ここで知り合ったちょっと年上のお兄ちゃんにまとわりつき
あちこち駆け回っていた。
大人は楽しく活動しながら、お互いの考えや価値観を思い思いに語り合う。
語り合っているだけでたぶん、それらは自然と磨かれていく。
そして子どもたちは、大人たちの活動に参加するも、しないもよし。
とにかく自由に過ごすうち、彼・彼女たちの心は満たされ
気づけば驚くほど活動的になっている。
振り返ると、トーキョーコーヒーの理念がそのまま、具現化されたような1日だった。
広報を通じて、「教育アップデート」を実現したい
わたし自身はトーキョーコーヒーの趣旨に賛同しながらも、拠点を主宰しているわけではない。
各拠点の活動に参加したり、トーキョーコーヒー全体の広報を担当したりしている。
そんな後方支援を通じて、「教育システムのアップデート」に寄与したいと思う。