あきらめるのは親。子どもはあきらめてない
生後2ヶ月頃、市の保健師さんの自宅訪問があった。
娘がダウン症であるということ、何か情報があれば欲しいということを、出産した助産院の助産師さんから伝えてもらっていたということもあって、その保健師さんは、親の会の情報や、ダウン症関連の資料を持ってきてくれた。
持ってきてくれたものの中に、「絵本フォーラム」という4ページの読み物があった。
その中に、「わたしの子育て ダウン症を持つ娘のことば育ち」というコーナーがあり、それが参考になるのではないかとわざわざ用意してくれていたとのことだった。
多本ゆき枝さんという絵本講師の方が、ダウン症のある娘さんとどんな風にことばを育てていったか、出産した直後から幼稚園頃までの過程を綴られているものだった。
それによると、3歳までに1万冊くらいの絵本の読み聞かせをすれば、子どもの脳がよく発達することが、公文と脳科学の大学教授との共同研究でわかり、多本さんは「これだ!」と思い、それまで以上に熱心に絵本の読み聞かせをされたそうだ。
本を読むのは大好きだったという多本さんも、最初は1日10冊のノルマを達成することに一生懸命だったけれど、しばらくすると、娘さんが笑うようになったり、新しい絵本を見せるとバンザイしたりと、発語はないものの自分の思いを表せるようになったことを喜ばれたようだ。
その後、とある勉強会で障がい児も教えているという公文の先生が、「あきらめるのは親です。子どもはあきらめていません」と話されていたことを聞き、子どもが伸びようとするのに、壁を作るのは親であり、子どもの成長は親次第なのだと大きな責任を感じ、ダウン症があっても娘さんの可能性を信じてなんでもチャレンジしようと決められた、と書いてあった。
産後2ヶ月といういうと、私はまだまだ産後の目まぐるしさの中にいたが、多本さんのコラムを息をするのを忘れるくらい一気読みし、とても勇気づけられたことを今でもはっきりと覚えている。
私自身、本を読むことが大好きということもあり、妊娠中から娘に読み聞かせるように絵本を読み、出産の次の日には 妊娠中に読んだものと同じ絵本を読んだ。
多本さんの文章を読んでからというもの、1日10冊を一つの目安にしている。
リビングの見えるところに絵本が置いてあるため、棚から絵本を全て出すというのが最近の娘の朝の習慣。
多本さんも書かれていたように、新生児の頃から比べると、娘にも随分変化が出てきた。たくさん絵本がある中でもお気に入りの絵本は決まっていて、それを自分で開いて、絵を指差していたり、読んでほしいと言わんばかりに手渡しをしてくる。
読み始めると私を目を見て、満面の笑み。
絵本をとても楽しんでいるようだ。
私自身も絵本を読むことで癒され、学ぶことも多く、絵本の魅力を存分に味わっている。それ以上に、娘と本の世界を共有できている喜びが大きいように思う。
絵本を読んだからといって、言葉がスムーズに出てくるかどうなるのかは今は分からないけれど、数年後の娘と私に向けて、分からないからこそ今できることをしていきたい。
そして、これから様々なことがある中で、その時に私があきらめることのないよう、多本さんが言われていた娘の可能性を信じるということを忘れずに過ごしていきたい。
このブログを書きながら、当時のことを思い出して胸が熱くなっている。こんなに記憶に残るコラムを書いてくれた多本さんにいつかお会いすることができたら、心からお礼を言いたい。
その後、ダウン症の子がいる親の会に参加した際、奇跡的に多本さんにお会いすることができて、大変感激した→ブログはこちら
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