中央監視(ICS/SCADA)ってなに? 1.役割と構成機器

皆様はじめまして。
noteの最初に書く記事として何が良いかな?と考えていたのですが、自分が知っていて意外とみんなが知らなさそう、という事で、中央監視(産業制御)システムとはなんぞや、ということから書くことにしました。


1.1 中央監視(SCADA/ICS)とは


工場にある生産設備や製造機器の状態を監視して、最適な製造を行うために機器を制御(運転停止や動作量の調整)する役割があります。

海外ではICS(Industrial Control System)とかSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)とも呼ばれています。
また、セキュリティ界隈ではIT(Information Technology)との対比でOT(Operational Technology)に分類されるシステムです。

システム全体の構成を知るには、Purdue Model(パデューモデル)を参考にすると良いと思います。パデューモデルは、ICSの構成機器を役割毎の階層(Level)に分けていて、工場に設置された単体の中央監視はLevel0〜2の範囲です。

1.2 構成機器


各Levelの構成機器には以下のようなものがあります。Levelの分割についての観点は様々あると思いますが、ここでは信号の変換の観点で説明します。

  • Level0:計測機器・変換器、スイッチ・電磁リレー
    物理量と電気信号の変換
    計測機器・変換器は、測定した物理量を電気信号(4−20mA等)に変換します。
    電磁リレーは、オンオフと電圧の有無を変換します。

  • Level1:PLC・DCSコントローラ
    電気信号と数値を変換
    電気信号から数値(整数)に変換します。
    出力する場合はその逆で、数値を電気信号に変換します。
    また、変換した値を使ってコンピュータ上で制御を行います。
    PLCやDCSコントローラでは伝統的に16bitの数値を扱います。制御のために工学値への変換までを行う場合もあります。

  • Level2:HMI・データサーバ
    PLCの値(整数)を工学値(浮動小数点数)に変換し、画面に表示したり、データベースに保存します。
    帳票(時系列データ)出力機能を持つ場合もあります。


1.3 SCADA/ICSの機能


SCADA/ICSの機能は、大きく分けて以下の3つに分けて考えることができます。

1) 監視/情報収集
 情報(データ)を収集して表示及び記録
2) 手動制御
 運転員からの指示を受けて機器を制御
3) 自動制御
 あらかじめ決められた設定や手順に従って機器を制御

監視/情報収集はLevel2の機器が担いますが、手動制御、自動制御をどのレベルで行うかはプラントの設計思想によります。
Level2や1が故障した場合でも現場(Level0)で機器が運転できるように構成するのが一般的です。


この記事では役割と構成機器、主な機能について記載しました。
次は、計測機器の工学値変換について書こうと思います。

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