#487 社長が求めるのは、もう一人の“社長”

経営者の孤独

経営者は常に孤独です。その決断一つ一つが会社の未来を左右し、その重圧を共有できる人は少ないものです。僕も飲食業で経営を経験しているからこそ、社長がどんな人材を求めているのか、その切実な気持ちがよくわかります。孤独な立場で何を頼りにするかといえば、共に働く人材です。それはつまり、同じように経営の苦しみや喜びを分かち合える「社長」なのです。

もちろん、「社長」をそのまま雇うわけではなく、経営者のように自ら考え、行動し、リーダーシップを発揮できる人材を求めています。そうした人材こそが、企業の発展を後押しする重要な存在になるのです。しかし、このような人材を見つけるのは容易なことではありません。経営者が孤独から抜け出し、一緒に会社を成長させてくれる仲間が欲しいと思うのは、ごく自然なことです。他業種の社長をヘッドハンティングするのも、一つの手として考えられるかもしれません。その理由としては、異なる業界で培った知識や経験が新たな視点をもたらし、会社の発展に寄与するからです。他の業界での成功体験や課題解決の方法は、現状を突破するヒントになることが多く、組織全体に新しい風を吹き込むことが期待できます。また、他業種の社長は既に経営の苦労や責任を経験しているため、迅速な意思決定やリーダーシップを発揮しやすいというメリットもあります。異なる業界で培った視点や経験が、企業に新たな風を吹き込み、成長を加速させることが期待できます。
#孤独と向き合う

求められるスキルと姿勢

経営者が求める理想の人材には、具体的ないくつかの特徴があります。これらの特徴を備えた人材が集まることで、組織は大きく飛躍していくことができます。僕自身、飲食業の現場での経験からも、これらの特徴がどれほど重要か実感しています。

①結果を出す力

まずは、仕事の結果を高いレベルで出せること。これは単なる数字の達成だけではなく、顧客満足度やスタッフ間のコミュニケーションといった「見えにくい成果」も含まれます。特に飲食業では、お客様の評価やリピーターの数が何よりも重要な成果です。この成果が店舗全体の活気につながり、さらには会社の評判にも影響を与えます。

②会社・組織へのコミット

次に、会社や組織に対するコミットメントが求められます。経営者の視点で言えば、自分のビジョンを共有し、それに向けて力を注いでくれる人が必要です。そのビジョンに共鳴し、共に努力できる姿勢こそが組織の成長を支えます。ただ仕事をこなすだけでなく、「どうすればもっと良くできるか」と常に考えて行動する姿勢が大事です。

③レスポンスの速さ

また、レスポンスの速さも重要です。特に飲食業の現場では、何が起こるかわからない日々です。すばやく的確な対応が求められる場面が多く、迅速なレスポンスは顧客やスタッフの信頼感に直結します。現場での素早い判断が、そのまま顧客満足度にも反映されるのです。
#スピード

心強いメンタルと自己管理能力

経営者が欲しがる人材は、メンタルが強いことも求められます。どんな状況でも冷静で、落ち込んでもすぐに立ち直れる人材です。特に飲食業では、多忙な日々に精神的な強さが不可欠です。飲食店では忙しさに押しつぶされそうな日もありますが、その度に立ち上がり、前向きに取り組める力はとても重要です。

そして、言い訳をしない人であること。これは簡単なようでいて、とても難しいものです。失敗したときに言い訳をしてしまうのは人間の性（さが）ですが、その先に成長はありません。失敗を正面から受け止め、次に活かすための行動ができる人こそが、経営者にとっての真のパートナーにふさわしいのです。そうした人材は、失敗を成長の機会と捉え、組織全体のレベルアップに寄与します。
#鋼のメンタル

人材採用は夢を見ること

人材採用は、経営者にとって夢を買うようなものです。新たな人材が持つ可能性やエネルギーに期待し、その力で会社がより良くなることを夢見ているのです。特に、僕のいる飲食業では現場での働きぶりが会社全体の雰囲気や成長を左右します。新たな人材が入社するたびに、「この人が加われば、もっと店が良くなるんじゃないか」と期待せずにはいられないです。

「この人が入社したら、現場の雰囲気が変わるかもしれない」

「この人なら、お客様との関係をもっと良くしてくれそうだ」

こうした期待を抱ける人材を迎え入れることは、会社にとって大きな前進です。そして、その期待を現実に変えるために、経営者自身がサポートし、環境を整えることが必要です。
#人材採用に夢をみる

リーダーとしての役割

リーダーとして重要なのは、自分がすべてをこなすのではなく、適任者に仕事を任せ、結果を出せるようにサポートすることです。信頼することで、スタッフが持つ力を最大限に引き出し、チーム全体のパフォーマンスを高めることができます。有能な人材ほど、自分よりもさらに優れた人材を集め、最適な配置で仕事に取り組むことができます。リーダーは、自分が手を動かすのではなく、周囲の力を引き出す役割を果たすべきなのです。

僕も飲食業の現場で働く中で、スタッフそれぞれが持つ才能を引き出し、最善の結果を出せるような環境を作ることを心がけています。どんなに優秀なリーダーであっても、周囲の協力がなければ一人では限界があります。だからこそ、信頼できる仲間と協力し合い、互いに補完し合う関係を築くことが重要です。リーダーは「自分が全てを背負う」という考えを捨て、信頼できる仲間を育てることが大切だと僕は思います。
#優秀な人を集められるか

まとめ

社長が求めるのは「社長」のような人材です。それは、経営者としての孤独を共有し、同じ視点で会社の未来を考えられる仲間を必要としているからです。飲食業の現場でも同じことが言えます。多忙な環境の中で、お互いにサポートし合いながら働くことが、店舗の活気と成功につながるのです。忙しい日々の中で、一緒に喜び、悩み、前進していける仲間がいることは、とても心強いものです。

そして、そうした仲間を見つけることは、会社の成長だけでなく、自分自身の成長にもつながります。僕たちが求めているのは、単なる「優秀な社員」ではなく、「共に未来を創るパートナー」なのです。そのようなパートナーがいれば、どんな困難にも立ち向かい、より良い未来を築いていけると確信しています。
#飲食の未来