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#179 脱満席思考の店舗経営

こんにちは、皆さん。普段、僕たち飲食店の運営に関わる者にとって、「満席」は常に追い求めるべき状態とされがちです。しかし、今回はこの満席至上主義から一歩離れて、店舗経営の別の側面に焦点を当てて考えてみたいと思います。
#脱満席思考

適正な席数とは


よく「2.0席/坪」というのが標準的な指標とされていますが、本当にそれが各店舗にとっての適正な席数でしょうか。実は、この数字はさまざまな要素を考慮した上でのスタート地点に過ぎません。厨房の面積比率、顧客の動線、提供するメニューの種類、サービス提供のスピードなど、数多くの要因を踏まえた上で、席数を決めるべきです。
#事前にどれだけイメージできているか

イメージと事前計画の重要性


例えば、厨房とホールのバランスについて考える必要があります。ファミリーレストランやステーキハウスでは、ホール面積の40%が厨房に割かれることもありますが、バーやラーメン店の場合は約20%で足りることが多いです。これらは、料理の種類や準備にかかる時間に応じて大きく変わるためです。

厨房面積の一般的な比率は以下の通りです

ファミリーレストラン、ステーキハウスなどの一般的なテーブルレストラン:厨房35~45% / ホール65~55%
居酒屋、ビアレストラン、イタリアン、フレンチ、和食、中華、焼肉、回転寿司など:厨房20~35% / ホール80~65%
バー、ラーメン、そば・うどん、カフェ、焼肉など:厨房10~20% / ホール90~80%
さらに、コロナ禍を経てテイクアウトのニーズが増加し、これまでの「坪単価」という考え方を超えた新しい課題も浮上しています。商品の受け渡し場所やショーケースの設置など、物理的なスペースの確保も重要になってきました。
#ゴーストレストラン

心地良さのための適正席数


では、具体的に席数をどのように計算すべきでしょうか。実は、これには芸術的センスが求められる場面もあります。店舗の雰囲気や目指す顧客層に合わせた座席配置は、単に数値を追うだけの問題ではなく、店のコンセプトやデザインに溶け込むべき要素です。例えば、一人客が多い店舗ではカウンター席を重視し、グループの利用が見込まれる場合は変形可能なテーブル席を設置するなど、柔軟な発想が不可欠です。
#ラーメン屋さんはカウンターが多い

高級感と席数のバランス

高級レストランでは、1坪あたり1席が標準とされることもありますが、大衆的な居酒屋ではその数が2.7席まで増えることも。しかし重要なのは「数」よりも「質」です。席を詰め込むのではなく、ゆったりとした空間を提供することで、料理とともに心地よい時間を過ごしてもらうことが、僕たちにとっての究極のサービスです。
#VIP戦略

回転率と客席稼働率


最後に重要なのが、回転率と客席稼働率の2つの指標です。回転率が高ければ、より多くの顧客を席に案内できる一方で、あまりに高い回転率は顧客一人ひとりへの対応時間を削り、食事の体験を損なう可能性があります。
#なんか落ち着かない店

一方、客席稼働率は、単純に席が埋まっている割合だけでなく、席がどれだけ効率的に使われているかを示します。ピークタイムにのみ満席という状況は、席数計画の失敗を意味するかもしれません。
#配席のテクニック

まとめ


僕たちが目指すべきは、ただ満席を追求するのではなく、最適な席数を見極め、それに基づいた計画を立てることです。お客様の満足度を最大化し、かつ効率よく運営できる席数を見つけ出すことが大事です。飲食店経営において、かつては満席状態は収益向上の重要な指標の一つでした。しかしながら、「満席至上主義」に固執することなく、実際にお店のスペースや提供するサービスの質を考慮した席数の設定が、長期的な顧客満足と利益確保の両立に繋がります。そのためには、従来の枠にとらわれず、創造的な空間設計と柔軟な経営戦略が求められてきているように感じています。
#飲食の新時代

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Daisuke2.0
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