○万円の壁が多い

おはこんばんちわです(〃´∪`〃)

税務の経験のおかげでたくさんの友人やママ友に毎年必ず聞かれることがあります。

「私はいくらまで稼いでいいの?」

よく聞くと用語がわかっていないことが多いので、用語の説明も含めながら書いてみようと思いました。

前提として、ここでは便宜上収入の多い方を夫・少ない方を妻と仮定して話をすすめます。



『壁』と『扶養』の話


「結局いくら以内なら扶養なの?」と聞かれることがあるのですが、答えとしては「どの団体の何の措置についての話なのかによる」です。

『扶養』の言葉の意味は『自分の収入で他者の生活を支えている』こと。
他者の生活まで担っている人には手当を出そうとか、〇〇を安くしようとか様々な措置が用意されているのですが、1千万円稼ぐ妻を「僕が支えています!」と言っても受け入れて貰えないものです。
では妻の収入がいくら迄なら措置を受けられるのか?というのは、その措置を用意している各団体毎に決まっています。
『扶養を抜ける』というのは、この各団体の措置を受けられなくなるボーダーを超えることですが、超えた後支出が増える/収入が減るために『壁』といわれています。

①妻の税金の壁:低(100万円・103万円)

☆100万円稼いだなら住民税払ってね by 都道府県&市町村
☆103万円稼いだなら所得税払ってね by 国

これは扶養とは関係ない、妻側に税金が発生するボーダーラインです。
住民税は5千円くらい(市・県による)の最低金額+100万円を超えた金額に対して10%なので
100万3千円 とかだとちょっと損。

所得税は103万円を超えた金額に対して税率5%から始まり、高くなればなるほど税率が増えます。

でも「ホントにちょっと超えちゃったの!」という方はうまくいけば控除でどうにかなるかもしれません。
控除の事を書き出すと長くなるのでそこは割愛🙇

②夫の税金の壁:中(150万円)

☆妻ちゃんと稼いでるんだから、夫もう少し多く税金納めてね by 国

ここから先が扶養に関わる話です。

収入と所得は似た言葉ですが、実際には収入-控除=所得なので、年収300万円と年間所得300万円はどえらい違い。
そして収入から引かれる控除の中に『配偶者控除』というものがあります。
何年か前は妻の収入が103万円を超えると控除額が減っていましたが、今は150万円がボーダーになりました。103万円が今も壁と言われるのはこの名残です。

こちらも超えたらいきなりなくなるのではなく、150万円を超えると『配偶者特別控除』に名前が変わり段階的に減額していくだけなのでそこまで気にしなくて良いように思います。妻の収入200万円でなくなります。

ちなみに配偶者以外の扶養は103万円を超えたらどんと扶養控除がなくなってしまうので、高校生のお子さんのアルバイト等も気を付けた方が良いです。

③社会保険料の壁:高~(106万円・130万円)

☆妻ちゃんと稼いでるんだから、健康保険も年金も自分で払ってね by 健康保険組合 or 国

何故上記の団体がorなのか。それは夫の働き方によって対象が変わるからです。
Ⅰ.会社員が入る社会保険(含厚生年金) by 健康保険組合
Ⅱ.自営業の方などが入る国民保険(国民健康保険&国民年金) by 国

健康保険について、Ⅰの社会保険は収入の少ない妻や子を無料で加入させてくれます。逆に国民健康保険は妻の分も保険料を支払っています。
年金はⅠ・Ⅱ共に扶養されている妻は支払う必要がありません。

この扶養を抜けてしまう理由が2つあり、抜けると一気に支出が増えます。

理由①妻自身が社会保険に加入する(106万円)

この106万円は月額報酬8万8千円が基準で、非課税交通費やボーナスは含みません

妻の会社の従業員数が101人(※)以上の場合に収入が106万円を超えたとき、妻は自分の就労先で社会保険に加入する義務が発生します。
※2024年には51人以上と、社保の対象を拡げる予定 

妻自身で社会保険に加入すると年間17〜18万円ほどの保険料がかかります。(年金込)
夫が国民保険の場合は現在も妻の保険料は払っているはずなので、そちらの支出が年間5〜6万円減ります。
将来もらえる年金額も増えます(その頃まで継続しているならば…)。

なので106万円を少し超えるのは勿体無いですが、将来的な出世などを思うのならばがっつり超えてしまうのも悪くない壁です。

理由②扶養対象と見なされなくなる(130万円)

130万円というのは、健康保険・年金において夫の扶養でいられなくなる金額です。

恐ろしいのは非課税交通費やボーナスを含むということ。つまり月2万円の交通費があれば106万円の壁と同程度の月額報酬で超えてしまうのです。
ちなみに突発的な賞与によって限定的に130万円を超えた場合、その収入が継続しないなら抜けなくて良いよと言ってくれる保険組合さんもあるので、予定外に超えたなら素直に確認してみましょう。

扶養でなければ当然、自分で社会保険か国民保険に加入しなければなりません。
従業員数が101人に満たない会社でパートタイマーが社会保険に加入するには正社員の3/4以上の時間働かなければならないため、交通費が高い等の理由で130万円を超えた場合は国民保険に入るしかなくなります。
(厳密には会社代表者が認めて色々手続きしてくれたら入れる様ですが、そもそも会社からすればパートの社会保険加入による半額負担は結構な支出になる為、超小規模な優しい会社さん以外は諦めたほうが良いです。)

国民健康保険は市や収入により上下しますが大体15万円前後。
国民年金は年間20万円近くかかるので、合計35〜36万円の負担が増えることになります。

④扶養手当の壁:?(夫の会社による)

☆妻さん自立してるならもううちの会社から手当要らないよね

最後の壁は人によりあったりなかったりするものです。
夫の給料明細に『扶養手当』や『家族手当』の文字があった場合、夫の会社で「妻を扶養している事による手当」がついている可能性があります。
これは会社により条件も金額もマチマチ。

妻の収入なんか関係なくつけるよ。とか
103万円超えたら払わないよ。とか
社会保険の扶養抜けたら払わないよ。とか

夫の会社に聞かなきゃわかりませんが、社会保険の扶養を抜けたら払わないよ。の場合、前項の大きな壁に更に負担がのしかかる事になります。

ざっくりまとめ(金額のススメ)

夫が会社員の場合
 妻の職場の従業員数が101人以上の場合…106万円以下or130万円以上
 妻の職場の従業員数が100人以下の場合…130万円以下or週4×8h以上
 妻が自営業の場合…130万円以下or170万円以上

夫が自営業の場合
 妻の職場の従業員数が101人以上の場合…130万円以上
 妻の職場の従業員数が100人以下の場合…130万円以下or週4×8h以上
 妻が自営業の場合…130万円以下or160万円以上
 
要は扶養でいるor全力で社会保険に入るがおすすめです。週4×8hというのは少人数の会社でもパートが社保に入るためのラインです。

おわりに聞いて私の話

私は小さな会社で働いています。片道2時間かかるので定期は2万円超え。
通勤時間や家事育児の関係で週4×8hはとても働けませんし、私にそこまで振れる程の仕事量もありません。

そして夫の会社は月1万2千円の家族手当をくれていますが、社会保険の扶養を抜けたら払わないとのこと。

つまり私が最悪のパターン

130万円を超えたら
国民保険約36万円+家族手当約14万円減=50万円のマイナスです。
130万円分働くのも180万円分働くのも手取りは一緒。
更に国民健康保険になる為、夫の保険組合で受けられる各種サービスや健康診断も全部無くなり、年金額も増えない。

なので用意してくれたボーナスも毎年お断り。時給アップの話も辞退しています。

そろそろ国民保険の在り方を見直してくれないと、好きな仕事や働き方を選べませんね。
それが無理なら、物価や給料の増加に合わせてボーダーもあげていってほしいものです…。

長々とお読みいただきありがとうございました。
少しでも誰かの理解のお手伝いになれたら光栄です。

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