ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑭夜行

13.夜行

この綺麗な情景こそ、ヨルシカの真骨頂だなぁと思わせてくれる曲。歌という形で、こんなに綺麗な景色を描いてくれるアーティストって、他にはちょっとやそっとじゃ見つからないと思います。歌詞だけじゃなくて、ボーカルも周りのサウンドも全部合わさって、最も良い形となってこの美しい風景がお出しされてるんだと感じました。

この「夜行」を先駆けに、アルバム「盗作」という新章が始まったわけですから、一曲だけかなり早い段階で解禁されてまして、そのせいか、独立した曲の印象が拭えません。

よって、盗作男の物語の一部というよりもむしろ、森見登美彦さんの小説『夜行』と重ねて聴いてしまっている(笑)。歌詞も曲全体の空気感も、テーマソングかってぐらいピッタリなんですよね。

ヨルシカの方の「夜行」は、泣き猫の挿入歌にもなっています。曲自体の完成度が高いというか、それだけで一つの世界観を作り出せているからこそ、他の物語と合わせても、しっかりと自立したうえで、上手いこと寄り添えるのかもしれません。

確かこの曲が解禁された時、サビでn-bunaさんのハモリがよく聞こえるからって、ファンが大量歓喜していた記憶がありますねー。自分もその一人ですが。

suisさんの歌唱力についてはもう、言わずもがなという感じになってしまってますが、個人的に「夜行」で好きなところは、2番の

ねぇ、いつか大人になったら、

ここのちょっと舌っ足らずな歌い方です。「あぁ、子供が喋ってるんだな」というのを思い出させてくれます。

あと、サビで勢いよく音数が増えるのも良いですね~。風が吹いて、夕暮れの空と夏の草原が一気に広がりを見せます。そんな見渡す限りの情景が目の前に現れるようです。

#ヨルシカ_盗作レビュー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?