ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑦レプリカント
6.レプリカント
ROCK KIDS 802 で初めてオンエアされた時、清涼感あるいつものヨルシカらしい曲調で、割と冷静に聴いていられたのですが・・・
ラストが最高!!
その時にやっとわかる 僕もその青さがわかる
ここですね~ブチ上がりました。激エモです。何度聴いても良い。
「だから僕は音楽を辞めた」とか「八月、某、月明かり」とかも最後ブチ上がりで終わるやつで、こういう曲は正義ですな。
それから、「夏の匂いに胸が詰まっていた」のところ、流石suisさん鬼の表現力で、ギリギリの感情が迫ってくる感じがしますね。好きです。
この曲からアルバムに爽やかさが追加されるみたいなこと書きましたが、音は確かにそうなんですが、何気に歌詞は過去一レベルで攻撃的な気がします。
さよなら以外全部塵 人を呪う歌が描きたい それで誰かを殺せればいいぜ
ここなんかギクッとしますよね。「夕凪、某、花惑い」の「僕らを貶す奴らを殺したい」を越えてる。有名になるにつれて、人を選ぶような歌詞が増えていくとは・・・これから先どんなのが出てくるんでしょうか。個人的には「そんなに尖らないで~」と思ってしまう(笑)。
歌詞のことで一つ思ったのが、「レプリカント」は所々、カンザキイオリさんの「命に嫌われている。」に似てる気がします。2番のこの部分。
少年だった僕たちはいつか青年に変わっていく。 年老いていつか枯れ葉のように誰にも知られず朽ちていく。 不死身の身体を手に入れて、一生死なずに生きていく。 そんなSFを妄想してる。
「レプリカント」では「SF映画」「人の寿命さえ随分伸びて、死ねない世界に」「冷たくなって年老いて」「いつか僕らは大人になって」という表現があります。
どちらの曲にも、「生きている実感が湧かない」みたいな気持ちが感じ取れる気がします。実際に会うことなく人と繋がり、SFで描かれるような出来事が実際に起こり、映画の中の世界を生きているような時代で、現実感とか、今ここにある命とかの存在が揺らいで、全てがあやふやな偽物に思えてくる。
そうやって年を重ねて、いつか死が迫った時に初めて、生きていることの輪郭がはっきりと見えるようになる。その時にやっと本当の空の青さが、物の本質が見えるようになる。本物に出会える。
・・・のかなぁ。などと考えておりました。
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