ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑮花に亡霊
14.花に亡霊
夏の匂いがする
良い曲ですね。いつ聴いても、何度聴いても、どこへ出しても良い曲。
n-bunaさんはこの曲について、
〝綺麗な言葉と、綺麗な情景と、綺麗なメロディだけを詰め込んだ、深い意味のない、ただただ綺麗なだけの曲〟
と仰っていて、そんな曲でも「成立する」、良いものになるんだと。
「花に亡霊」はn-bunaさんのそういう考えを、文句なしに証明するものになってますよね。「キレーだなぁ」と思って聴いて、夏の青空が心に染み入って良い気分になる。それだけでいいんですよ。
同じインタビューでn-bunaさんが、この曲のイメージは夜で、夜の中で夏の情景を思い出しているんだとも言われてましたが、それについては思いもよらずびっくりです。(まあ、脳内で見えているのは青空で変わりはないということで・・・)
それから、どっかのタイミングで川端康成の
「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます」
この言葉は連想していたので、インタビューの「『花に亡霊』の根源的なテーマになっている」という部分を読んで「やっぱりか!」と嬉しくなった覚えがあります。
特に好きな部分は、1番とラストのサビ終わりの
汗をぬぐぅぅぅって夏めぇくテレレレッテテレレレ
のところ。視界がぐっと上がって青空になる気がします。
アルバムの中で「逃亡」が一番好きかもしれねえと言っていましたが、「花に亡霊」は殿堂入りさせたいタイプの良さを感じています。めっちゃ好き。これがやっと見つけた、本当に作りたかったものだったとは・・・音楽泥棒さん、あなたの感性凄くきれいですよ。