ヨルシカ「盗作」全曲レビュー⑫逃亡

11.逃亡

初聴きは、かなり前のYouTubeラジオでの弾き語りでした。アルバムのリリースが発表され、収録曲を見て「あぁ入ってんだな」程度の認識。トレーラーでちょい聴きして「意外とお洒落にアレンジされてんなー」と片付け・・・準既存曲みたいな位置付けで、大して期待はしていなかった。

三回ぐらいフルで聴いて思いました。今回のアルバムの中で一番好きかもしれねえ

これはあれですね。中学三年間一緒で特に何とも思ってなかった地味な女子を、高校も一緒で入学から三日間くらい何となく目で追ってたら、いつの間にか恋に落ちていたパターンです。君の魅力にどうして今まで気付かなかったんだ。

彼女の魅力を語り尽くしていきたいわけですが、好き故の言語不全に陥りそうですので、上手くいかないかもしれません。

まず、これ以上に逃亡感を醸し出す曲が他にあるでしょうか?(いや、ない。)初めから終わりまで、ワンカットの映像がずーっと流れ続けているイメージでした。「雲と幽霊」のMVみたいな。それがもう逃亡そのものなわけですよ。行く宛てのないまま歩き続けて、決して戻ることはない。道は先にしかないという。

それからボーカルも良きですね~。初っ端の消えそうなハミングからしてもう、「ああ、この曲ってこういう曲なんだな」ってなるじゃないですか (ならねえよ)。そのテンションが終わりまで続くのが、何とも気怠い感じで良いですね。あまり感情の起伏が無いというか。疲れたような歌い方も、逃亡という題にピッタリです。

ここからは勝手な想像で、多分音楽泥棒の物語には沿わないと思いますが、この曲は夜の情景で、そしてタイトルが「逃亡」ですから、夜逃げのイメージがあるんですよね。借金まみれになって、とうとう夜逃げするわけです。

そんな印象を持って聴いていると、最初のサビ(?)に入る直前、ノックの音が鳴るんですが、それが借金取りのノックに聞こえてくるんです。サビが終わった後の間奏で入る、何かを爪でせわしなく叩いているような音も、借金取りの立てた音に聞こえます。「いるんだろ、さっさと出てこい」つって、ドアを爪で鳴らす音。

そこのサビは本当に秀逸で、ノックが聞こえてから

さぁ、もっと遠く行こうよ                      さぁ、もっと逃げて行こうぜ

と続くわけですから、とんだ現実逃避です。それでこそ「逃亡」・・・!

全然まとまらなかった。

#ヨルシカ_盗作レビュー

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