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“人間が一度誓ったら両手でしっかり支えるのだ。指を開けば 自分を失ってしまう。”_ A MAN FOR ALL SEASONS(1966)
知られざる60年代フレッド・ジンネマン監督の傑作。原作はロバート・ボルトの戯曲。あらすじはこちら。
1528年、テューダー朝(1485年 - 1603年)時代のイングランド王国。時の国王ヘンリー8世(ロバート・ショウ)は、王妃の侍女アン・ブーリン(ヴァネッサ・レッドグレイブ)との再婚を望んでいた。そのため王妃と離婚するに当たり、離婚に反対したローマ・カトリック教会から英国教会を独立させ、自身が英国教会の頂点に立ち離婚を正当化しようとする。その行為に対して、時の大法官トマス・モア(ポール・スコフィールド)に賛同を求めるのだが・・・・
自分の信念に向かって頑固に突き進む『頑固なオヤジ』トマス・モアの格好良さ。自分の人生にここまでこだわりを持って生きていける姿には、羨みさえ感じる。
1000人がYESと言っても一人だけNOと言い続ける勇気、その為人を伺える台詞を紹介する。
モアは、「法」を遵守する、権力によって「法」を曲げることを否とする立場から、再婚に賛成しなかった。怒った王はモアをロンドン塔に幽閉する。
家族が「形だけでも王の結婚に賛成してください」と説得する、これ対してトマス・モアは。
When a man takes an oath, he's holding his own self in his own hands like water, and if he opens his fingers then, he needn't hope to find himself again.
oath(名)
〔正式な〕誓い、誓約、宣誓
〔正式な〕誓いの言葉、誓約書、宣誓書need not ※needは助動詞として機能
~しなくてもよい、~するに及ばない、~する必要がない、~しないで済む
◆【用法】need not + 動詞
必ずしも~でない ◆【用法】need not + 動詞
そして、こうつづける。
If we lived in a state where virtue was profitable, common sense would make us saintly. But since we see that abhorrence, anger, pride, and stupidity commonly profit far beyond charity, modesty, justice, and thought, perhaps we must stand fast a little - even at the risk of being heroes.
far beyond ~をはるかに超えて、遥か彼方に
stand fast 意見や信念を捨てることを拒否する
直訳すれば:
もし私たちが美徳が有益な国に住んでいるのであれば、常識は私たちを讃えるだろう。しかし、私たちが貪欲、怒り、傲慢、そして愚かしい公益が見えて、慈愛、謙遜、正義、思想を遠くに仰ぎ見るのであれば、ひょっとしたら私たちは少し耐え忍ばなくてはいけないのかもしれない、英雄になる危険性を負うとしても。
意訳すれば:
もし美徳が尊まれる国ならば我々は讃えられるだろう。だが周囲には、貪欲、怒り、傲慢、愚劣が渦巻き、慈愛 謙遜 正義 思想とはほど遠い。英雄になる危険を負ってでも節を守るべきだ。
審判のシーンへと物語は移行していく。偽証によりモアの処刑が決定される。
全てのくびきから解き放たれたその時、モアは一喝する。
if this be not enough to keep a man alive, in good faith I long not to live.
行き得ぬ世なら。最早生きようとは思わぬ!
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