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映画「スキャナーズ」_ 偏執と狂気、ふたつの眼差し。

人間の内面にかかわる超能力の世界を、視覚的感覚的に初めて表現した
そして、頭が「ドッカーン」と爆発させるシーンを世界で初めて登場させた
SF映画ということで、拝見した。

なるほどこれは怖い。超能力それ自体ではなく、超能力を使う人間そのものが。

何がなくても怖いのは、主人公ベイルを狙うライバルの超能力者レボックだ。
彼は頭蓋骨に穴を開けるトレパネ ーション (頭蓋穿孔 )を行っていた 。超能力がつよ過ぎて、他人の考えていることが休みなく聞こえてしまうため 、その状況に堪え難く 、自分自身でドリルを額に当て穴を開けてしまった。
その痕が額にある。
この手術で吹っ切れたのか、超能力で人を殺すことを「ためらわない」怖いヤツ。そして、ものすごくジャック・ニコルソン。両目は釣り上げていないが、形相はジャックそっくりだ。

主人公ベイルもベイルだ、マトモな人間ではない。本記事トップ画像に載せてある通り、常に死んだ魚のような濁り目をしている:自分以外に興味なさそうな目つきをしている。
冒頭、彼は自分が何者か分からないかの様に、オドオドしている。時折自分でコントロールできない「何か」が身体の中から湧き起こるのに苦しむのだ。
それが、とある研究所にスカウトされて、その力は有意に使える・コントロールできるものとしった途端、水を得たりと、目つきがぎらぎらと輝きだす。
いつだって誰かを殺せる、と言いたげに、自分の力を傍の人間に試してみせる。
こいつも、怖いと、思わさせる。

こんな「こわい」ふたりがラスト、死闘を繰り広げる。力のぶつかり合いが頂点に達する、やがて一方の両手のひらから炎が上がり 、白目をむいたかと思うと目玉が吹っ飛び 、ついには全身が燃え上がって 、敗者は完全なる焼死体となる。肉弾骨折というべき、ぎりぎりの戦いだ。

最後、主人公ベイルは、レボックの肉体に移ることによって勝利を収めたという結末となる 。
駆け寄るヒロインに向かってレボックの顔をしたベイルはにいと笑ってみせる:いかつく、幽鬼の様なぞっとする微笑みを残して、映画は終わる。
首が吹っ飛ぶより、よっぽど、怖い。

※本記事中の画像はすべてCriterion公式サイトより引用しました


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ドント・ウォーリー
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