【駐在記録】歯の矯正を勧められてから今までの様に笑えなくなった話。
その人とはご近所さんで、犬の散歩を通じて知り合った。
長年アメリカに住み、会計士としてバリバリ働く
凄腕キャリアウーマンだった。
時々散歩で会う日本人のご近所さん。
にとどめておけばよかった。
彼女から飼い犬の散歩を頼まれて
チップをもらうようになってから
関係が変わってしまった。
深く関わりすぎてしまったな、と思う。
-貯金なんて意味ないわよ、投資しなさい。
-子供ほしいなら早ければ早いほうがいいわよ。
-英語上達させたいなら働きなさい。
はい。はい。はい。
そうですね。仰る通りです。
あなたが正しいです。
でもあなたはただのご近所さん。
時間もお金も使い方を決めるのは私。
つい最近知り合って犬の散歩を頼まれてるだけなのに
どうしてこんなにいろいろ言われなきゃいけないの。
とはいえ、散歩でチップをもらえるのは嬉しいし、
彼女の犬は可愛いし、
私も時々犬の散歩をお願いしたりもする。
人生の先輩として、
おせっかい焼きたい人なのだと我慢していた。
あの日も散歩のお礼を渡したいからという理由で
お茶に誘っていただいた。
ところで、まだしばらくアメリカに住むの?
なら早く歯の矯正をしないと。
アメリカでは歯並びが悪いのは
お金を持ってないと思われるのよ。
あなたも損するし、あなたの旦那さんも
あなたの歯並びのせいで損するかもしれないから
早く矯正したほうがいいわよ。
私は小声ではい、そうですね。と答えた。
彼女は正しい。何も間違ってない。
アメリカでは本当にそうなのだ。
歯並びが悪い=歯医者に行くお金がない
そういうイメージが作られている。
私も、矯正したいことはしたい。
でも慣れない土地での歯医者探し、
歯科医との英語でのやりとり、
ややこしい保険、
そして自分の美容に関わるお金は、
自分の懐から出したいという小さなプライド。
(私の懐は日本の口座しかない。)
そんな理由でアメリカではやらない、
そう考えていた。
彼女にそう言われたことで
自分は他人からそういう風に思われてるんだと
改めて気づかせてもらった。
落ち込んで、恥ずかしくて、悔しくて、
以前のように人前でバカ笑いできなくなった。
けどそうこうしているうちにマスク生活になり、
私の歯を見る人は家族以外ほとんどいなくなった。
しばらくして彼女は新しいパートナーができて
引っ越し、同じコミュニティを去った。
容姿についてはっきり意見くれる他人。
そんな人に出会ったのもここに来たからだと思う。
ありがたくもあり、うざったかった
人生の先輩からの貴重なアドバイスでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?