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ブーが残念がって、ぼくのアタマをポンと叩いた。 「せっかく、ぼくはやっさんがいちばんに…
サポーター(ヘルパー)さんが食器を洗いに行った途端、鼻の脇が痒くななることがある。呼び…
福知山の自宅から、金閣寺の近くにある施設へもどる道すがらだった。 おやじが運転をして、…
誰とも話したくありませんでした 誰とも眼をあわせたくありませんでした だらしなくよじれた…
裏庭の山茶花は、雪の重みで傾いていた。 祖母が白いビニール紐で塀に結わいつけて、よう…
ふたりとも、ずいぶん酔っぱらっていた。 住宅街のこじんまりとした焼肉屋で、好物の塩タン…
その焼き肉屋に店名はなかった。 夏の夕方だった。 役所での会議の帰り、たまらなくノドが渇いていた。 飲食店らしい赤色の軒の庇には何も書かれていなかったし、店先に看板らしきものも出てはいなかった。 ただ、ガラス戸の隅っこに「キムチ販売しています」と、広告のウラ紙に見過ごすほどの細マジックで書かれてあった。 あまりの商売っ気のなさに「キムチ販売」が、ぼくの足を止めさせた。 もっと正確に記せば、電動車いすのレバーから指先を離させた。 人の気配が感じられたので「す
忘れられない色がある。 よく磨かれた黒板の深緑だ。 たったひとりの教室。 まだ誰の手に…
幼いころ、ぼくが過ごしていた奥座敷には掘りごたつがあった。 生まれ育った福知山は盆地だ…
それほど親しい関係ではなくても、顔を合わせる期間が短くても、ぼくの心に足跡を残した人は…
幼いころの記憶には、切り取られた写真のようにまったく動かないものと、その情景が見事なま…
梅田や難波の雑踏を歩くようになったころ、最初に思いついたテクニックがあった。 ぼくの…
隣の席のK子が、ぼくの肩をポンポンとたたいた。ハッとして顔を上げると、M先生が目の前に立…
Yさんと出逢うまで、せわしなく動きまわる人をみると、「そんなにがんばらんでも、ゆっくりしたらいいですよ」などと、いつも声をかけていた。 ぼく自身が生まれつきの障害のために、普段どおりに電動車いすで「まち」を歩いているだけで、すれ違う見知らぬ人から「がんばってますね」とか、「大変ですね」などと話しかけられ、困惑するシーンに立ちどまらざるを得ないことがよくあった。 ぼくにとって、「がんばる」は違和感のカタマリみたいなイメージだった。 Yさんは施設から大阪へ出てきた