筋肉を使っているのか、それとも使わされているのか?
以前の記事で、同じ動作をするときでも、違った筋肉や関節を使っておこなうことができることを紹介しました。
同じ動作をおこなう場合であっても、似た動作ができる筋肉を使って同じような動作をすることができます。
*足首を捻挫して足をつくことができないような場合でも、ビッコを引きながらでも人は歩きます。
*人差し指を怪我した場合には、中指と親指を使ってモノをつまみます。
*首が回らない場合、上半身全体を捻って後ろを振り向きます。
これらは代償動作と言って、どこかを怪我しても他のどこかで同じような動作ができるという、人が生きていくために獲得した動作のやり方です。「かばう」という言い方もできます。
「かばう」動作は似た働きをする筋肉を使って行われるので、それによって体に負担がかかることもあります。「膝をかばって歩いていたら、腰が痛くなった」などがこれに当たります。
また「似たような動作」なので、曲げるだけの動きが欲しいのに、捻りの動きも同時におきてしまうような、別の余計な動作が含まれてしまったりします。そうすると捻りを打ち消すために、反対に捻るための筋肉を働かせるような余計な動きも必要になったりします。
このように、働くべき筋肉が働かないと、体への負担が大きくなります。
まとめるとこのようになります。
・働くべき筋肉=A
・変わりに働く筋肉=B
・余計な働きを打ち消す筋肉=C
1,Aが働かないとBが変わりに働かされるようになる。
2,Bは、本来の動きで無いことをやらされるので、Aの場合よりも体への負担が大きいので、痛みやコリといった症状が出やすくなる。
3,Bの動きはAとは違う動きが含まれているので、普通とは違って「癖のある動かし方」をしたり、違う動きを打ち消す働きをするCが働かされるようになる。
4,Aが働くようにならないと、癖のある動作はずっと続きます。BやCの筋肉もずっと働かされ続けます。
Aの本来使うべき筋肉が使われると、動きもスムーズになり体の張りも小さくなります。
筋肉が働かされることの弊害
多くの人は自分が本来体がおこなうべき動きをしていないということに気づきません。Aを使っていない動きが普通になっているためです。
特徴のある歩き方をしていたり、慢性的な肩こりや、常に腰の筋肉が硬かったりするのにはこのような原因が含まれています。
また、使うべき筋肉を使っていないので疲れやすいし、競技をおこなううえで「動きのクセ」がなかなか修正できずに苦労します。
自分の体の中で
*極端に筋肉が張っている
*極端に筋力が弱い
*極端に太い(脚とか、腕とか、胴体とか)
*筋肉を使っているつもりはないのに、張り感が取れない
*同じトレーニングをしているのに、怪我をしやすい
*同じトレーニングをしているのに、他の選手よりも疲れが抜けない
*動きのクセがなかなか治せない
*自分では周りの選手と同じように動いているつもりが何か違う
このような部分の影には、「使わされている筋肉がある」と思われます。おそらく本来使うべき筋肉が使われていないなどの原因が隠れています。
ボート選手が本来使うべきなのに使っていない筋肉
ボート選手の場合下記のような筋肉を使っていないことが多いです。
*足首を安定させる筋肉
*内股の筋肉
*肩甲骨を安定させる筋肉
これらの筋肉を使えるようにしていくと、怪我も減りますしパフォーマンスもアップします。