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ボート競技でのコックスの役割
ボート選手は大きく分けると「漕手」と「コックス」があります。
漕手・・・ボートを漕ぐ選手
コックス・・・舵手とも言う。漕手に指示を出しレースでは展開を作る
コックスは漕手と比べると下に見られがちのように感じます。
漕手は頭ではコックスの重要性を理解はしています。しかし、実際のところでは、まだまだ、コックスの重要さを漕手は認識できていないように感じます。
私自身も漕手だったため、現役でボートを漕いでいるときは「ボート競技は艇を漕いでボートの推進力を出している漕手が中心」という意識が強くありました。
仮に、全日本選手権で付きペアで優勝したと聞いたとすると、正直なところ「コックスすげー」よりは漕手に対して「水中重いのにすげー」とボートを漕いでいない今でも考えてしまいます。
コーチとして選手を指導しているときも、漕手への指導はおこなってもコックスの指導はほぼおこなっていませんでした。(コックスの経験が無いから教えることができなかった)
しかし、艇を速く進めるためには、漕手を育てるよりもコックスを育てるほうが即効性があると考えます。
コックスを他の競技に置き換えて考えてみる
漕手とコックスの役割を他の競技にしてみると、コックスの重要性がわかります。
競馬であれば馬が漕手、コックスは騎手です。
F1であれば、レーシングカーが漕手、コックスはドライバーです。
ボートは1000m、2000mを漕いできて、写真判定で数センチの差で勝敗が決することもあるスポーツです。
実力が拮抗すればするほど、レートの管理、スパートを入れるタイミング、艇を曲がらせないなどのコックスがの実力が勝負を分けます。
逆に言えば、数センチの差で負けた場合でも、コックスが果たしている役割の重要さを理解していないため、「何でスパートを一本速く入れなかったんだ」とか、「足蹴りを一本多く入れれば・・・」とか、「リズムの修正を入れていれば・・・」などとコックスが責められるということは、よほどのことが無い限りは無いのが普通です。
コックスを育てる意味
中学、高校のボート部入るのは、多くの場合はボートを漕ぎたくて入部してきます。コックスをやりたい!と入部してくる選手はまれだと思います。(キーパーをやりたくてサッカーを始める小学生はまれなのと似ているかもしれません。)
コックスはカラダの大きな選手は、やりたくてもできないポジションです。しかし、多くの場合はカラダが小さくて漕手としては見込みが薄い選手がコックスをやらされます。
漕ぐ気満々なのに、コックスをやることになってしまった。ある意味「負け組」の意識があるのではないかと考えます。
しかし、競馬の騎手、F1ドライバーで例えると、冷静な判断力、クルーを統率する能力、レースを展開させる思い切りのよさなど、さまざまな能力が求められます。(こんな能力を持っていれば就職するときに有利ですね)
普段の練習では、艇の走りを体幹できているのはコックスだけです。外から見ているコーチはもちろん、漕手ですらわからないことだから、それを選手はもちろん、コーチに伝えることはとても重要です。
また、一番近くで漕手を見ています。もっとも漕手に近い位置でコーチングができるのがコックスです。
艇の動きを感じながら、艇速の出ない原因を近くで見極めて、漕手の動きを修正することができるのはコックスだけです。
コーチは外から客観的に艇の動きや漕手を見る。中からはコックスが感じたことを選手に伝える。コーチとコックスがそれらの情報を共有する。
こんな感じでコーチと同じレベルで話ができるコックスを育てることができれば、クルーの成長はとても早くなると思います。