呼吸を合わせる。呼吸で動きを導く。
動作のタイミングを合わせることを「息があう」とか「呼吸を合わせる」と言います。
相撲の立ち会いが合わないときも「両者の呼吸が合いません」と言います。
動作と呼吸は密接に関係しています。
例えば・・・
椅子から立ち上がる時はどんな呼吸をしていますか?
息を吸いながら上体を前に倒し足裏に体重を乗せて、息を止めて立ち上がる。または、息を吐きながら立ち上がるかのどちらかだと思います。
息を吸いながら立ち上がることはやりづらいはずです。
ドッコイショと言いながら立ち上がるときは、「ショ」の部分で勢いをつけて立ち上がります。
このように息を吸っているときのほうがやりやすい動作、吐いている時のほうがやりやすい動作というものがあります。
呼吸で動作を合わせる
動作を合わせる時は呼吸を合わせると自然にユニフォーミティーが高まります。そのためお神輿をかつぐときは、担ぎ手が全員で「ワッショイ、ワッショイ」や「セイヤ、セイヤ」と掛け声を掛けます。声を出すことは息を吐くことです。綱引きも「オーエス、オーエス」、重いものを一緒に持ち上げるときも「せーのっ」とか「イチ、二のサンっ」で動きを合わせます。
ボート競技でもリカバリー動作が終わり、シートスライドを出すタイミングで「ホーーー」と声を出してタイミングをあわせます。
アーティスティックスイミングは見事に同じ動きをしていますが、水中で息を止めるからこそ、顔を出したときには同じタイミングで息を吸うことになり、呼吸のタイミングが動作のタイミングと同調するのだと想像します。
呼吸で動きを引き出す
どちらの肺で息を吸うかによっても、動作のしやすさが変わります。
体を右にひねる場合は、左肺に息を吸い込んだほうがひねりの角度は大きくなります。同様に体を右に側屈する場合も左肺に吸い込んだほうが倒しやすくなります。
バレーのスパイクや、テニスのサーブの場合は上げる側の肺に呼吸を入れるほうが高い打点が可能になります。
野球の場合バッターでは、ピッチャー側の肺を広げるように空気をいれるのか、キャッチャー側の肺に呼吸を入れるのかで動きやすさが変わります。
ボート競技でもスイープ種目の場合はストロークサイドであれば左肺を、バウサイドでは右肺を広げるような意識で呼吸をすると、ひねる動作がしやすくなりキャッチを大きくとりやすくなります。スカル種目からスイープ種目に乗り換えるとき、逆にスイープ種目からスカル種目に乗り換えるときは、呼吸のしかたを意識してみると動きをスムーズに切り替えられるかもしれません。