「エターナル・サンシャイン」から始まったバージョンの謎
The Korgisの「Everybody's Got to Learn Sometime」を話題にした記事に必ずといっていいほど出てくる「エターナル・サンシャイン」という映画。リアルタイムで映画館で観ていまして、以前書いた感想などもあるんでこの場で取り上げてみようかと。2005年に書いたものの焼き直しなので、時代背景もその当時を想像しつつ読んで下さい。
監督:ミシェル・ゴンドリー
脚本:チャーリー・カウフマン
キャスト:ジム・キャリー / ケイト・ウィンスレット / キルスティン・ダンスト / イライジャ・ウッド / マーク・ラファロ / トム・ウィルキンソン
映画館:ワーナーマイカルシネマズ市川妙典(2005/3/23)
今年(2005年)のアカデミー賞脚本賞を受賞した作品。
私がこの映画を注目するきっかけになったのは、ある試写会の予告篇で流れた音楽のワンフレーズ。それは1980年にヒットした"Everybody's Got To Learn Sometime" だったのですが、歌ってる人はKorgisではなかった、と以前も書きました。
そこからこの映画に興味を持ち、内容も面白そうだったので公開されたら観に行こうと思っていました。
まずはオープニングとエンディングに流れる例の曲。歌っている人はなんとBECKでした。実は私、彼らの音ってぜんぜん聴いたことがなくてよく知らないのです。この曲も、オリジナルを知ってる自分にとっては「なんかイメージが違う」とそればかり。しかし、曲そのものにかなり思い入れがあるせいかこの曲が流れる度に涙を出してしまう自分。
頭から離れないので、思わずKorgisのCDを注文してしまいました。
個人的には、いろんな意味で心に痛い映画でした。
過去、もしくは現在痛い恋愛を経験している人なら誰もが、心の奥底に沈めたかつての自分の姿を思い出すはずです。
この映画の核となっているのが「過去の記憶の一部分を消す」という、過去にもどこかで出会ったエピソード(それは「ペイ・チェック消された記憶」)。こんな風に記憶(の一部)を消すことができるなら、なんの痛みもなく未来に向かって進むことができるかもしれない。だけど、幸せに向かって歩いていくのって、こういうことなのかな?と考えてしまう。記憶=過去の実体験=生きていた自分の証ではないか。この人と出会って、こういうことがあって、結果的にはうまくいかなかったけれど、それも自分の姿であり、大切な思い出の1つなんじゃないの?
きれい事かもしれないけれど、そう思う自分がいたり。
でも、思い出したくないものは消し去ったほうがいいと思う自分がいたり。
・・・とこんな風に、つい自分に置き換えて考えてしまうのですよね。
これはラブストーリーというには普通じゃなさすぎる。
でも、描写もとてもうまいし、ベタなラブストーリーよりもじーんとして胸に焼き付いて離れないのです。
出会いから恋愛に発展するまでの切なさと、熱愛している時の一途さと、お互いの心が離れかけている時の悲しさという心の変化を、彼は一晩で味わって、そしてすべての記憶が消えていったんだなぁと考えると不思議。記憶って、一晩で消えるものなんだ・・・・(あくまで映画の中の話だけど)
会えるわけがない「彼の頭の中」で、過去の中の2人が一緒にもがいて記憶を消されないように逃げるのもよかった。
再会するシーンも自然でよかった。
会うべくして再会した2人だったということに気がつくのは少し遅くなるけど。
また劇場に足を運んで観たい、と思える映画でした。
記憶消去を専門に行っている会社「ラクーナ社」のメンバーがキルスティン・ダンスト、イライジャ・ウッド、マーク・ラファロ、トム・ウィルキンソンという面々。彼らもある意味重要人物。
イライジャ君が演じたパトリックって最低。今までの彼らしくないフツーの男の子役で新鮮だったかも。
キルスティン、やっぱりかわいいと思えなかった・・・・
以上が映画の感想です。見出し画像は「エターナル・サンシャイン」のプログラム。2014年の引っ越しの時にほとんどの映画プログラムは手放してしまったのですがこれは残しておきました。
実はこの記事、これがメインではありません。曲のほうなんです。ginger.tokyoのオーナーが最近話題にしていた記事を見ながらそこに貼ってあったYouTubeのリンクを聴いていたところ、このバージョンは新録音?オリジナルではないなと思いました。
オーナーもこの曲が大好きで度々記事になっているので、その度にちょっとほっこりしています。
聴き慣れているバージョンというのは人によって違うのでこれは正しい意見ではないかもしれませんが、私が知ってるバージョンはこっちでした。
そしてこちらが別バージョン。オーナーの記事のリンクもこれですね。Wikipediaを観ていたら、1990年に再結成した時にチャリティアルバムのため再録音していると書かれていて、おそらくこれがこのバージョンなのでしょう。歌い方やアレンジが違います。(PVを併せて観ていただきたくてこっちを貼りました。)
そしてそして。
自分が持っているコンピレーション(上の映画の感想の中で購入したというCD)はこれですが、これに収録されているバージョン、セカンドヴァースの歌詞が違うんです。
Wikipediaにこう説明がありました。
つまり、1980年リリースのアルバム「Dumb Waiters」が1999年にCDでリイシューされた時のボーナストラックとして別バージョンが収録されていたのですね。それがこのバージョンです。
上のCDを買った時に自分は2番が違うことに気が付かなかったのだろうか?という疑問はさておき、複数バージョンを今更のように確認している自分もこの曲をリアルタイムで知り、ずっと記憶しているほど大好きだったのでした。(アルバムは買っていませんでしたが・・・。)
ホール&オーツの時のように、リアルタイムでリリースされていたのに知らなかったのではなくてちょっとだけ安心しました。
この曲をたくさん聴けて嬉しかった人、もう満腹ですと感じた人もごめんなさい。私は記事を書くために(バージョン確認のために)何度も聴きましたが何度聴いても良い曲ですね。調べている間に謎は解けたのですが、ちょっと思わせぶりなタイトルにしちゃいました。
この曲のデータとして補足します。
Billboard Hot 100に1980年10月11日に85位で初登場し、最高位は12月27日と1981年1月3日の18位(年始は休刊になるので年末と同じ順位になるため)。19週間100位圏内にとどまり、1981年2月14日の98位を最後に姿を消します。
たまたまですが、この曲と同じ週に初チャートインし20週目で100位から落ちてしまった曲がもう1曲ありました。それがクリストファー・クロスの「もう二度と」(原題:Never Be The Same)です。この曲は10月11日の初登場は75位で一番人気だったのですが、11月末~12月上旬にかけて3週連続15位で止まり、2月14日は99位で次週圏外となります。19週間チャートインしていた2曲がギリギリのところで並んでいたので、仲いいなってちょっと笑ってしまいました。