かつて存在した場所の備忘録5:日本橋と銀座の個性的な建物
週末にこんな本を買いました。
都内を散歩しているうちに、東京の街の変化をもっと深く知りたくなりました。それで江戸時代の古地図みたいなものとか、昔の東京の風景が写し出された写真集みたいなものを探していました。探しに訪れた丸善丸の内本店は品揃えが豊富で、何を買おうか迷ったあげくに「ふるさと東京 今昔散歩」を買いました。その近くに置いてあったのが「東京大改造2030」です。どちらの内容も興味のある分野でしたが、土曜日は夕方から音楽イベントに参加する予定だったので、その前に買った本がお荷物にならないように一冊にしました。「東京大改造2030」はタイトルから都市再開発に関する本だということは想像に難くないでしょう。230ページもあってちょっと重く、価格も税込み3,520円です。まずは「今昔散歩」を楽しむことにしました。
イベントを楽しんだあと、自宅に帰って「今昔散歩」を見ていると、自分の知らない頃の日本橋の姿に心が躍りました。そんなわけで翌日も日本橋に行き周辺をウロウロしていたのですが、結局誘惑に負けて「東京大改造2030」を購入してしまったのでした。
「ふるさと東京 今昔散歩」第3巻は日本橋・東京駅編です。私が一番良く行く場所に特化した内容なので、本当に興味深くまるごと一冊楽しめました。
表紙の真ん中を飾っているのは日本橋(橋)の昭和戦前期の姿です。昭和38年に首都高都心環状線 呉服橋~江戸橋間が開通し川が高架橋に覆われてしまいますが、その前はとても見晴らしが良いです。都電も走っています。橋のほとりの赤レンガ造りの建物は帝国製麻ビルで、東京駅・日本銀行本店などを手がけた辰野金吾氏が設計したものだそうです。大正時代に建てられたビルですが、1964年にこのビルを大栄不動産が取得し、老朽化のため1987年に解体されるまでこの地にありました。1989年に今のビルに建て替えられています。この本を見なかったら全く気にも留めなかったビルでした。
ちなみに帝国製麻は現在帝国繊維となっていて、日本橋髙島屋三井ビルディングに本社があるそうです。
この前身のビルが存在した頃、私は西の方に住んでいたので、日本橋に来る習慣がほとんどなくて赤レンガのビルは見た記憶すらありません。すごく特徴的なビルですから見ていたら記憶しているはずです。比較的近年まで残っていたビル、見られなかったのが残念です。
そして、古い写真の奥の建物は三越です。屋上の高塔(金字塔)もしっかり見えますね。
こんな風に、昔の街並みと今を比較できる素敵な本です。日本橋の変化が垣間見られて楽しい、嬉しい、ためになる。買ってよかった。
そして「東京大改造2030」。
現時点で計画されている都市計画が多数紹介されている本です。第1章に載っているのが私も足繁く通って取材をしていた麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズステーションタワーでした。この辺はもう外観見飽きてます(笑)。そして第2章もだいぶ密着した感のある東京駅周辺の再開発で、紹介されている再開発の場所をすべて把握していたのはちょっと笑ってしまいました。
第3章に進んだ時に想定していなかった情報を目にするのでした。それは中銀カプセルタワービル。黒川紀章さんが設計されたあのビルです。消えたランドマークって・・・いつか見に行こうと思っていたこのビル、2022年に解体されていたのですか。
知っている方にとっては何をいまさらかもしれません。保存と建て替えでだいぶもめていたようなので、むしろご存じの方のほうが多いのでしょう。建築にはそこまで興味がなかった私の前は素通りしていったようです。私が麻布台ヒルズを必死に追っていた頃、同時にこちらの解体の話が進んでいたなんて思ってもみませんでした。むしろまだ存在しているとさえ思っていたおめでたい人でした。この変わったビルの姿を何かで目にし、いつか見に行きたいと思っていたけれども、場所すら把握していませんでした。解体されていたことにまず衝撃を受けたのですが、その存在場所を知って更にショックを受けました。
所在地の住所は中央区銀座8-16-10。この住所を聞いてなんとなく心当たりがあったのです。たしか首都高の近くでしたよね。既に解体が終わっているってことは、つまり今は更地になっているということ。その条件に当てはまる場所を知っていました。それは、ここには以前何があったのだろうと思いながら何度も目の前を通り過ぎていた仮囲いされた空地。
そう思ってGoogle Mapに住所を入れて検索したら、自分が思っていたとおりの場所でした。まさか、移転した職場オフィスの近所だったとは。しかも移転直後にはまだ解体工事中で、そうとは知らずにその工事現場の前を通っていました。
実は一旦この場所からは仮囲いが取り払われて、しばらく更地が見える状態だったんですがまた囲われました。周囲に建築計画などは掲示されていませんが、この先ここはどうなるのでしょう。
このビルに関する書籍がいくつか出版されています。2022年3月発行の「中銀カプセルタワービル 最後の記録」という中身が充実している本もあったのですが、楽しく生活している写真が満載だったこちらを購入してきました。こういう生活してみたかった。(荷物が多いので無理だけど。)
中銀カプセルタワービルは、某カフェのオーナーからいただいた「いいビルの世界」という本にも取上げられています。この本、クセ強の素敵なビルがいっぱい紹介されています。
解体されてしまい撮影が不可能なビルのため、見出し写真をフォトギャラリーからお借りしました。貴重な写真をありがとうございます。