【懐古】2020年NLCSを振り返る。(前編)
2024年。Los Angeles Dodgers(LAD)は4年ぶりにワールドシリーズの舞台に帰ってきました。
NLDSではBeat LAを掲げるSan Diego Padres(SD)と互いのプライドをかけた激戦を3-2で下し、NLCSでは粘るOMG New York Miracle Mets(OMGNYMM)を4-2で退けての進出です。
ここ数年間、毎年のようにBookmakerのWorld Series oddsにおいて1位もしくは2位に推されながら、ワールドシリーズ出場すら叶っていませんでしたが、毎年LADに投資していた博徒達も今年は資金回収出来そうな位置に手が届くところまで来ています。
投稿者も待ち侘びたフルシーズンのタイトル獲得目前ということで心躍らせている最中ですが、ここで一度はやる気持ちを抑え昔話でもしようかなと思います。
前回LADがWS制覇したのは2020年。念願の優勝シーンを黒塗りしないといけなかったり、Walker Buehlerがイケメンすぎて直視できない、Blake 拗ねるの誕生など、語れるシーンが山ほどありますが、今回はそれ以上に色々あったAtlanta Braves(ATL)との2020年NLCSについて記していこうと思います。
執筆中に、これは2回に分けないと長い文章の羅列に心が折れると判断したため、前編後編に分けたいと思います。
エピソード0
時は遡って2020年。2年連続のワールドシリーズ敗退から、まさかのNLDSで敗退を喫した昨年の悔しさを胸にLADはシーズンを迎えるはずでした。しかし、世界中で猛威を払ったパンデミックが影響し、開幕は大きく後ろ倒しとなり、シーズンは60試合の大幅な短縮を余儀なくされました。
そうした混乱の最中、LADはフランチャイズの命運を委ねるビッグトレードを敢行。当時BOSでリードオフマンとして球界トップクラスの成績を残し、スーパースターの位置を確立していたMookie Bettsを獲得。
後日、12年$365Mという当時Los Angeles Angels(LAA)のMike Troutに次ぐ規模となる契約を彼に渡し、WS制覇への姿勢を強烈に示しました。
シーズンが開幕するとLADは前評判通りの強さを見せ、60試合とはいえ勝率はMLB30球団で唯一の7割超え。
PSでもその勢いは止まらず、Wild Card SeriesでMilwaukee Brewers(MIL)を、NLDSでその年一気に台頭してきたSDをそれぞれスイープしてNLCSへ進出。順調なPSの滑り出しとなりました。
迎えたNLCSの相手はATL。ATLもPSを無敗で勝ち上がってきていましたが前評判ではLAD優勢の声が多く、実際投稿者もそのように考えていました。
2018年のNLDSでも両者は対戦しており、この時はLADが終始優勢に試合を進めて勝利しており、苦手意識はありません。現地メディアも、"LADに挑むATL"という構図で報じていたと記憶しています。
まさか、あんな激戦になるとは予想だにしていませんでした。
Game 1
先発はLADがWalker Buehler、ATLがMax Friedで試合開始。LAD優位を信じて疑わなかった投稿者ですが、いきなり出鼻を挫かれます。
1回表、この年NLMVPに輝くFreddie Freemanの1発が飛び出しATLが早くも先制。インコース低めの97mphをスタンドにぶち込まれ、顔面蒼白になったLADファンも多かったと思います。
Buehlerについて補足しておきますが、20年のBuehlerは終始右手のマメに悩まされたシーズンでした。シーズン中はコマンドに苦しむ試合が目立ち、マメが潰れて早々と降板する試合もありました。Postseasonに入ると、Buehlerが投球する際は中継カメラでやや黒ずんだ指先のアップが何度も映し出されるほどでした。
この試合は最終的に5つの四球を与えるなど、100%の状態では無かったかもしれませんが、Freemanの1発を浴びた後はパニックになることなく後続を打ち取り、5回まで0を並べていきます。
Buehlerが奮闘する中、打線はFriedを捉えることが出来ず5回まで得点は0点。ATLペースで試合が進む中迎えた6回。ここまで苦戦していたFriedから、まだ登録名がKikeではなかったEnrique Hernándezに同点HRが飛び出し試合を振り出しに戻します。この時のKike、めっちゃかっこよかったの覚えています。打った瞬間という会心の当たりで、全LADファンが叫んだ瞬間だと思います。
その後は5回でお役御免だと思ってギアを上げて投げたのに何故か6回も登板してピンチを招いてしまったBuehlerの後を受けたBrusdar Graterolがピンチを凌いだり、ATLは2番手に某LADnote担当者が崇拝するChristopher Riley Martinが降臨したりと両者共にリリーフが踏ん張り、試合は9回に突入。LADの5番手はBlake Treinen。相対するはまだスター選手になる前のAustin Riley。百戦錬磨のリリーバー魂を見せつけて欲しい場面でしたが5球目の甘く入った98mphを完璧に捉えられ勝ち越しを許します。その後1アウト3塁のピンチを招くとMarcell Ozunaにタイムリーを浴びて2失点目。Treinenの後を受けたJake McGeeがOzzie Albiesに2ランHRを打たれて万事休す。5-1でATLがGame1を制しました。
戦前予想とはなんだったのか。ATLの強さをまざまざと感じる試合となりました。当然ですが、投稿者はしっかりと落ち込みました。
Game 2
試合中盤に地獄へ突き落とされることになります。
4回に先発のTony Gonsolinが昨日に続きFreemanにまたしてもHRで粉砕されてしまい2点を先制されると、5回にイニング途中でGonsolinを諦め投手交代。Robertsの寵愛を受けるPedro Báezが後を引き継ぎますが、これが裏目に。Freemanのタイムリー(打ちすぎや)を含め残されていたランナーを全て返す乱調振りを披露。1被安打2四球1押出しと完全にやらかしました。7回にAlex Woodが追加点を奪われ、7回表の攻撃が終了時点でスコアは0-7。打線は相手先発のIan Andersonを捉えきれず、2番手のTyler Matzekにも封じられてしまいます。あまりにも一方的な展開に、試合の大勢は決したと思われました。しかし、LADはこのままでは終わらないという意地を見せます。
大量リードを許した直後の7回裏の攻撃。1アウト1.2塁の場面で4番手のA. J. MinterからCorey Seagerが3ランHRを放ち4点差に詰め寄ります。Seagerを封じるために出てきたMinterから放った1発は、LAD打線に大きな希望を与えたのではないかと思います。
9回表にAlbiesのHRで5点差とされますが、その裏の攻撃でLAD打線が奮起。Josh Tomlinを相手に、SeagerのタイムリーとMuncyの2ランHRで2点差まで追いすがります。9回のAlbiesが放ったHRをキャッキャしながらキャッチしてウキウキご機嫌な気分に浸っていたMark Melanconを引き摺り出すことに成功します。すると、直後のセカンドゴロをAlbiesがまさかのエラー。明らかにLADに流れがきている中続くはCody Bellinger。2球目のカッターを捉えタイムリー3ベース。昨年のMVPに輝きながら、20年シーズンは打撃面で大きく後退してしまった男が見事に勝負強さを発揮したシーンでした。
一打同点という場面までATLを追い詰めますが、最後はA. J. Pollockのハードヒットが3BのRileyの正面に飛んでしまいゲームセット。9回5点差からあと一歩まで追い詰めるものの2連敗となりました。しかしLADはまだ死んでいないことを示すには十分な試合でした。まだやってくれると期待を抱かせる攻撃でした。
Game 3
歴史的。この試合を表現する言葉はそれしかありません。1回表、Game2で見せた勢いそのままに打線が爆発します。先頭のBettsが3Bへの内野安打で出塁すると、続くSeagerがタイムリー。わずか2球で先制点を奪います。その後2アウトとなりますが、ここからがマグマなんです。2アウト3塁からWilliam Dills Smithこと通称WDSがタイムリーで2点目。1.2塁とした後、Joc Pedersonの3ランHRで5点目を奪います。
思えばPedersonはオフにRoss Striplingと共にBettsが絡む大型トレードに巻き込まれる形でLAAにトレードされるとの話が持ち上がっていましたが、これが破談に。真偽は不明ですがLAAオーナーArte Morenoがトレードが決まらないことにイライラしていたという情報も飛び交いました。外野手がだぶついていること、今年FAという状況を考えればトレードに出す選択肢もありましたが、NLもDHを採用したことが守備難のPedersonをDHに置けるというプラスの方向に働いたのは今思えば相当幸運だったと思います。
5点をとってもなお攻撃は終わりません。続くEdwin RiosもHRを放ち6点目。続くクリストファー(Chris Taylor)が出塁し、ATLはたまらず先発のKyle Wrightをマウンドから下ろします。代わったGrant Daytonに対しても攻撃の手を緩めないLAD。1.2塁のチャンスからSeagerがこの回2本目のタイムリーで7点目。続くJustin Turnerがキックベースかと言われそうな死球で出塁し満塁となると、4番のMax Muncyがフルカウントから振り抜いたあたりは右中間スタンドに飛び込む特大のGrand slam。1イニングに11点というPS最多得点を叩き出し、1回にして試合を終わらせました。
その後はBellinger、Seagerのなに押しかも分からないHRが飛び出すなど、終わってみれば15-3の大勝。投稿者が好きなハラハラしないでボロ勝ちするという理想的な試合となりました。初回の11点のうち、2点をGame2に持って来れば勝てたのになんて野暮なことが頭によぎることは微塵もなく、ただただ素晴らしい攻撃を見せたチームを讃える気持ちしかありませんでした。
投稿者はこんな感じで語り部のように語っていますが、実はこの歴史的攻撃が行われた1回表を寝坊により見逃すという大罪を犯しています。朝目を覚ますと、1回に11点入っているGamedayの表示に飛び起きた記憶があります。どんな目覚ましよりも効いたと思います。
シリーズを1-2としたことで気分も良くなり、明日への期待に胸が膨らむ思いでした。
次の日は絶望に打ちひしがれるとも知らずに…
続