【懐古】2020年NLCSを振り返る(後編)
※本noteは前編後編仕様です。前回のnoteを是非ご覧下さい。
前回のあらすじ
短縮シーズンとなった2020年。シーズン勝率7割を超える磐石ぶりを見せつけたLADは、WC seriesとNLDSをスイープで突破。
NL東の覇者ATLとのNLCSはLAD優勢の声が聞こえてくる中、ATLの強さに屈し2連敗スタート。しかし、Game 2最終盤で見せた打線の勢いそのままに、Game 3は初回に1イニングのPS最多得点11点を叩き出し、シリーズを1-2とするのでした。
巻き返しに期待感が高まる中迎えたGame 4。LADにとって悪夢のような展開が待っているのでした。
Game 4
最高の勝利から一夜明け迎えたGame 4。
負ける気せーへん地元(じゃないけど初回に11点とって勝ったん)やし。人は気が大きくなると、猛虎魂が宿るのでしょうか。
3回表。Edwin Riosが2試合連続となるHRを放ち、昨日に引き続いて先制。昨日の良い流れを引き継いでいるように見えます。
4回裏にここまで無失点だった先発のClayton Kershawが1アウトから3番のMarcell Ozunaにシリーズ2本目のHRを許し同点とされますが、まだ同点。ここは崩れることなく後続を抑えました。
早めに勝ち越したいLADですが、ATL先発のBryse WilsonをRiosのHR以降捉えきれません。というよりも、HR以外はヒット無し。四球1つ選ぶのに精一杯な体たらく。前日に15点取った打線と本当に同じなのか、疑ってしまうような内容です。なんとなく嫌な雰囲気が漂う展開に、最悪のタイミングで"風物詩"がやって来てしまいます。
6回裏。ここまで援護がない中投げてきたKershawがATL打線につかまります。先頭のRonald Acuña Jr.に内野安打と悪送球で0アウト2塁とされると、続くFreddie Freemanに2ベースを打たれて失点。さらにOzunaに連続でタイムリー2ベースを許したところで投手交代。
内容は決して悪くありませんでしたが、中盤のピンチを切り抜けられなかった自責の念か、ベンチで項垂れてしまうKershaw。毎年PSになると彼が打たれてベンチで項垂れる姿は風物詩と揶揄されてしまっていますが、またこうなってしまうのか…と思ったファンも少なからずいたと思います。
気落ちするKershawを横目に、ATLが追い打ちをかけます。2番手のBrusdar Graterolに対し1アウト1.3塁とすると、Dansby Swansonが3塁線を抜けるタイムリー2ベース。続くAustin Rileyにもセンター前に運ばれてしまい流れを断ち切れません。Graterolに見切りをつけ、この回3人目の登板となったVictor GonzálezもCristian Pacheからタイムリーを浴びてしまいこの回だけで6失点。
今見てもキツイなと思ってしまうATLの攻撃ですね。2024年現在はCristian Pache懐かしいなぁという気持ちに助けられているのでまだマシですが、当時は生きるか死ぬかの戦いの中で「有望株に打たれた!!」という考えすら浮かばないほどに気持ちが沈んでいたのを思い出します。
なんとか重苦しい状況を打破したいLAD。7回表に犠牲フライで1点を返し、なおも2アウト満塁の絶好期を迎えます。何点か返せれば…!という希望を抱きましたが、William Dills Smithこと通称WDSが放ったセンター方向のライナーは無情にもOzzie Albiesのグラブに収まり、反撃の芽を摘まれてしまいます。
昨日のことを許していないATL。既に涙目のドジャちゃんですが、容赦する気配は微塵もありません。7回にOzunaが本日2本目のHRをかっ飛ばすと、続く8回は2アウトからなんの変哲もないショートゴロを捌いたCorey Seagerの送球を1BのMatt Beatyがまさかの落球。ここからDylan Floro、Jake McGeeが踏ん張りきれず2失点。もうメチャクチャ。
序盤のロースコアの展開から、終わってみれば2-10の大敗。1-3と後がなくなりました。
一思いに初回で葬ったLADとは違い、ATLはじわじわと痛めつけるやり方を選んで大勝。性格が悪いといちゃもんをつけるくらいしかやる事がありません。
試合もそうですが、メンタル面でもボロボロにされた試合で、「ああ、また今年もダメなのかな」と泣きそうになった試合でした。
Game 5
もう後がないLAD。勝たなくてはいけません。
ATL先発はキャリア初先発のA. J. Minter。Game 2でSeagerがHRを放っており、割と行けそうじゃん?とか考えていましたが、読みが甘すぎました。
フルスロットルで飛ばしてくるMinterに、LAD打線は全く対応できません。あまりにも良すぎて3回まで投げられてしまい、結果7三振。本当にキャリア初先発なのか疑ってしまうレベルの投球で、「貴方は普段何をされてらっしゃる方なの?」とA子さんがお伺いを立てても不思議ではありません。
こちらの先発はチェブラーシカのような愛くるしい見た目のDustin May。初回からいきなりFreemanの2ベースとパスボール、四球でランナーを貯めると4番のTravis d'Arnaudに犠牲フライを許し先制されると、続く2回もピンチ招きCristian Pacheにセンター前へ運ばれて2失点目。
絶対に負けられない試合で早くも漂う敗戦ムード。外野に打球を飛ばされるたびに体全体でオーバーリアクションするMayちゃんの姿がそれを加速させます。正直、雰囲気も悪くなるのでアレは止めて欲しかったです。
3回からは2019年の大戦犯から、例の件でLAの英雄となったJoe Kellyがマウンドへ。パンデミック前のドジャースタジアムなら大歓声だったかも知れませんね。
しかしKellyもパッとせず。1アウト2.3塁とまたしてもピンチを迎えると、迎えたSwansonの打席。初球でした。
ライトへ上がった打球はBettsがギリギリ取れるかどうかの場所に飛んでいきます。必死に前に出てなんとか捕球しますが、タッチアップから3塁ランナーのOzunaがホームに帰りATLの3点目。
3イニング続けての失点に、もう終わったと諦めたその時でした。
???「最後まで希望を捨てちゃいかんよ…」
顔を上げてみると、声の主はNYのオペレーションセンターでした。
何事かと思い観ていると、Bettsの捕球時のリプレーが流れ、そこチャレンジするとこなのかと思った刹那、3塁ランナーのOzunaのタッチアップが明らかにアウト臭いタイミングだった映像が。まさかの形でLADは難を逃れることに成功したのでした。これには心底ホッとしましたね。ズルズルいってしまいかねない3点目を防げたのは本当に大きかったと思います。
4回に入ると悪夢のようなMinterからTyler Matzekに投手交代。すると先頭のSeagerがこのシリーズ4本目のアーチ。1点差に詰め寄る大きな一打でした。これで試合の行方はまだ分からなくなりました。
6回表が終了しスコアは1-2。6回裏にこの試合最大のハイライトが待っていました。
2アウトながら1.2塁のチャンスを作ると、打席にはWDSではなくWill Smith。対するATLは4番手のWill Smith。中盤の山場でWill Smith対決が実現します。どちらも本物のWill Smithなので、どっちが勝っても負けても偽物にされることはありません。しかし、お互いのプライドが激突してか、勝負はフルカウントからの6球目。インコース低めの94mphをシバき上げ、レフトスタンドへ値千金のHR。
狂喜乱舞。もう感情ぐちゃぐちゃです。Will Smith対決に最高の結果で応えたWDSのお陰でLADが逆転に成功。
勢いに乗ったLADは続く7回にもBettsのタイムリー、Seagerの本日2本目のHRで2-7。ATLを突き放します。8回に1点返されますが、9回はKenley Jansenが締めて試合終了。3回までの敗戦ムードから見事逆転勝ちしテンション爆上がりの投稿者でした。
そして、翌日はあのお方がやってくれました。
Game 6
Buehlerああああああああああああああああああ!!!
それにつきます。
両者共にGame 1と同じ先発出迎えたGame 6。
Walker BuehlerとMax Friedのマッチアップです。
1回裏からLADはFriedを攻め立ます。1アウト後、SeagerとJustin Turnerの連続HRで2点を先取。さらにCody Bellingerのタイムリーでいきなり3点先制。
幸先よくスタートしますが、2回にBuehlerがノーアウト満塁の大ピンチ。この絶対に点をあげたくない場面。Buehlerが覚醒します。Rileyを99mphの4シームで空振り三振を奪うと、Nick Markakisから渾身の100mphで連続三振。最後はPacheをショートゴロに打ち取り無失点。雄叫びを上げるBuehlerに惚れない人はいなかったでしょう。
その後もピンチの場面こそあれど点は絶対に与えないBuehler。5回にはOzunaの大飛球をBettsがスーパーキャッチ。ビッグプレーが飛び出しまたしても0を並べます。このプレーも叫びましたよね。カッコ良過ぎでしょ。6回はAlbiesのやらかしにも助けられ無失点。2アウト3塁のピンチでも全く動じない姿が最高に輝いて見えました。
試合は9回まで進み1-3。Jansenがマウンドに上がり、最後は「いつからいたの?」と思わず突っ込みたくなったPablo Sandovalを抑えてゲームセット。シリーズを3-3のタイに持ち込み、最終Game 7に突入。
1-3からよくここまで来たなと嬉しく思うと同時に、次でいよいよ決まるという緊張感もまた感じる試合となりました。
Game 7
全てが決まるGame 7。LADの先発はMay。ATLはIan Andersonで試合が始まります。
先に先制したのはATL。初回に先頭のRonald Acuña Jr.が四球と盗塁でチャンスを作ると、Freemanの連続四球からOzunaのタイムリーで先制。全くコントロール出来てないMayの姿にコレはヤバいと思いましたが、4番のd'Arnaudがショートへのダブルプレー。良い形で2アウトを取ると続くAlbiesを三振に抑え、最小失点で切り抜けました。あのダブルプレーは本当に大きかった。
1回裏にLADはチャンスを作るも無得点。続く2回表、Mayの後を受けたTony GonsolinがいきなりSwansonに1発を浴びて0-2。なんとか1点で切り抜け、2回裏に2アウト満塁のチャンスを迎えるものの、クリストファー(Chris Taylor)が空振り三振。Andersonの決め球チェンジアップと捉えきれず、序盤は流れを掴めません。
しかし3回裏、2アウトから連続ヒットで2.3塁とすると打席にはWDS。初球を捉え、誰もいない2Bの横を抜けタイムリーヒット。2-2の同点とします。
ATLも黙ってはいません。同点とされた直後の4回表。ノーアウト1.2塁のチャンスからRileyのセンター前ヒットですぐに勝ち越し。追いついた直後の失点にヤキモキする投稿者ですが、ピンチは続きます。
3番手のBlake Treinenにスイッチしますが、いきなりのワイルドピッチでノーアウト2.3塁。マジでもう観てられないというところまで追い込まれますが、ここでLADにビッグプレーが飛び出します。
8番Markakisの強い当たりは3BのTurnerの正面に。飛び出した3塁ランナーのSwansonを挟殺プレーでアウトにすると、3塁に向かっていたRileyをアウトに。Markakisが走らなかったことで、0アウト2.3の大ピンチがたちまち2アウト1塁に。これ以上離されたくないLADにとっては大きすぎるプレーでした。
このプレーで勢いに乗るLADは、その裏の攻撃で再び2アウト満塁のチャンスを迎えます。一気に畳み掛けたい場面でしたが、ここはATL2番手のMatzekに抑えられ同点とはならず。息の詰まる展開が続きます。
5回表。1アウトランナーなしの場面でFreemanの大飛球がライトに飛んでいきます。これをBettsが連日のスーパーキャッチ。またしても生まれたビッグプレーに負けているとはいえ投稿者も叫び倒します。
試合は中盤6回。ATLの攻撃を0で抑え、迎えた裏の攻撃。ATL4番手は今1番顔を見たくない人ランキング堂々の1位に輝くA.J.Minter。LADの先頭はEnrique Hernández。ファールで粘ってからの8球目。完璧な捉えた打球がレフトスタンドに突き刺さりました。
Game 1のデジャヴを見ているかのような値千金の同点HR。ハイテンションになるLADベンチ同様に発狂するLADファンが目に浮かびます。私も同じです。
更にMinterを攻め立て、1アウト3塁の勝ち越しのチャンス。打席にはSeagerという絶好の場面でしたが、セカンドに飛んだ緩い当たりをAlbiesが見事なホーム送球。クロスプレーはアウトに。ATLも完全に流れは渡さず、互いに拮抗した試合はまさしくGame 7に相応しい展開となりました。
7回裏のLADの攻撃はChris Martinの前に2アウトに抑えられ、迎えるは6番Cody Bellinger。カウント2-2からの8球目でした。真ん中高めの94mphを振り抜くと、高々と上がった打球はライトスタンドへ。
「Cody Bellinger has done it!」
この日の実況は前日のJoe Buckから変わっていたJoe Davis。まるで用意されていたかのような美しい放物線を描いたホームランと完璧な実況。
ある人は歓喜。ある人は涙。ある投稿者は狂気の台パン。
遂にLADファンが待ち望んだ瞬間がそこにありました。
試合は進み9回表、マウンドには7回からATL打線につけ入る隙を与えない完璧な投球を披露していた※※※※※ ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※※。先頭のAlbiesをシャートゴロで1アウト。続くSwansonを再びショートゴロで2アウト。そして、最後はRileyをセンターフライに。勝ち越しHRを放ったBellingerのグラブにボールが収まり、激闘のGame 7、NLCSが終わりました。
1-3からのカムバック。それぞれの試合における内容の濃さ。そしてBellingerとKikeのあのエルボータッチ。
特にBellingerのHRとJoe Davisの実況は一生忘れないと思います。それだけこの瞬間は特別で、今でも忘れられない最高の思い出です。
おわりに
というわけで前編後編にかけて記していきましたが、いかがだったでしょうか。もし、この試合についても話して欲しいなどありましたらぜひ。
今年はWS優勝しようなDodgers。
それではまたの機会に。
完