老猫が死んだ話
あるいは「猫が認めた飼い主」について。
☆
猫が死んだ。
五月一日の日付が変わったころだったんだろうけれども
正確な時間は分からない。
夕方まで餌を自力で食べてトイレに行って
ソファから降りたり床でころがったりしていた推定17歳の猫である。
わたしは10歳を過ぎてから「飼育できない」と頼まれたので
前オーナーから預かっている。
わたしは猫やら犬やらを引き受けては世話をするという趣味の人間なのだが。毎回「いつでも迎えに来てくださいお返しします」と無償で譲ってもらうことにしていて
返してほしいっていわれたら医療費と餌代含めた生活費を幾分いただいて
お返しするという約束で預かっている。
かなりの頭数の犬猫と暮らしているけれども
「連れ戻し」にきたオーナーはいない。
犬猫の前にフェレットの保護なんかもしているけれどもさ。
まぁ、泣きながら帰っていくし。だいたい。
そして、何か月かはメールくださいっていわれる。
でもだいたいメールは届かなくなる。宛先がなくななってさ。
そして、今回の猫のオーナーにも「そろそろ看取りです」って連絡をしようと思った。メールは届かなかった。
☆
かなり懐いてくれた猫だと思う。
でも最期になって。安心してわたしのところには猫は来なかった。
たぶん「ママ」を探している。
ママ=元のオーナーである。
そりゃそうだ。
仔猫の時期から面倒見てくれて信頼してくれていたひとのことを忘れるわけがない。わたしはそう思っている。
なので、あっさりとした看取りになった。
悲しくないわけではない。
でもまぁそれが自然の摂理だからな。
と淡々と火葬させて骨壺が戻ってくる。
やれやれ、これでひと段落。
そう思う。
もう一回いうのだが「かなしくないわけではない」
一匹消えてしまったのだ。
この間までゴロゴロ言ってゲームしてるとよってきて邪魔してた猫が消えたのだ。
さみしくないわけがなかろう。
でも、最期に彼はやっぱり「ママ」を探していたよと
それだけ前のオーナーに「言いたい」んだよな。
てめぇのかわりができるわけがねぇんだ。
☆
仔猫がいいって猫の里親募集みててもそういうひといっぱいいて
なんとなく、まぁうん仔猫だしねぇそりゃそうだ。ってなる。
でも大人の猫でもいいですよっていうのもうん…。
こういうこともあるし
シニアの猫だとおだやかだけれど、あっさりと
死ぬときに信頼してくれないまま逝っちゃうこともあるよって感じ。
なのでやっぱり猫の里親になる?とかもおすすめできないんだよな。
要するに
猫は信頼できるところから譲ってもらうほうがいい。
犬に対してはもっと思う。信頼できるところから譲ってもらってきて。
野犬出身?仔犬でも大変だよ。人間世界なんてハナから信用してないんだ。
そしてちいさい時分から世話をして。
最期に信頼されて甘えてもらって、看取れる関係でいないとダメだと思う。
…もちろん。
人間の生活も猫の生活も犬の生活も。
一歩先になにがあるかわからんので。そういうときに
手助けをしたいっておもっちゃうのでまた。シニアで行き場のない子がでてきたら、手を挙げて看取るんだろなってこともしってるんだ
わたしはバカだからねぇwww
シニア猫はいいぞ。大変だけれどね。
そのときもわたしは猫に自分の所有者を認めてもらうことになるんだろうと思う。
彼は最期はわたしが所有者であるとは認めてくれなかった。
たぶん失敗なんだろうなwww
ま、それでもいいんだよ。
最後までうちにいてくれてありがとうよ。またどこかで。