キッチンリフォームー引出しを考える。
引出しタイプのシステムキッチン
20年前に登場。画期的だった当時、主流になった今
キッチンメーカーとして引出し式のキッチンを初めて発売したのは、クリナップ(https://cleanup.jp/)。フロアコンテナという名前で、それまで台輪といって箱型の台にキッチンのキャビネット部分を乗せて組み立てる形から台輪部分まで収納に取り込むという画期的なアイデアで、その後他メーカーもそれに倣って追随していきました。従来の開き扉に比べて、じゃがまなくても引出して全体を見渡せ、キッチンのツールが取り出しやすいと、日本のメーカーでは一気に主流の形になり、今では以前の開き扉型のキャビネットは、アパートなどで使用される安価なキッチンに使われる時にしか見ないことが多くなりました。
意外に使いづらい。
しかし、実は収納が難しく使いづらいと感じている方も多いのです。というのも、引出しなので、どうしても深さに応じてお鍋やボウルなど、重ねて収納せざるを得ない場合も多く上の鍋を出して、下の鍋を出すといった2ステップの動きが出しづらさ、入れづらさでリフォームの後になかなか収納がうまくいかない、という感想を聞くことが多々あります。
問題点としては
1.鍋、フライパンなどの調理用具が入れづらい
下の画像はパナソニックのLクラスキッチンです。フライパンが立てて入れられ、ソースパン(中鍋)も納まっています。これだけ奥行きのある引出しは対面キッチンならではということ、奥行きが深いと引き出すだけのスペースも必要になるので配置プランニングに注意が必要ですが、鍋の上にフライパンを重ねてしまっていたお客さまのケースもあるので、立ててしまえるキャビネットの高さはやはり便利だと思います。
意外にしゃがまなくてはいけない
これは、メーカーそれぞれのキッチン、または同じメーカーでもシリーズによるのですが、下段の引出しの取手位置がどこにあるかによって、しゃがまなくてはいけない場合があるんですよね。それのせいでメーカーを変える、という方もいました。そのため、キッチンを選ぶときはショールームで下段の取手位置がどこにあるか、どんな形状かなど使い勝手を試していただいています。
システムキッチンの引出し式の収納は、こういった理由でどうしてもコツがいりますが、その声も反映されて市販品の中に、この引出しをうまく使うための仕切りボックスなどが充実している昨今なので、これらを上手に使うのが使い勝手向上の鍵ではあります。
余談ですが、私は浅い引き出しについている仕切りが樹脂製なのが好きではありません。安っぽいというか、テンションを下げられてしまいます。
下の写真のような仕切りだと、木製で樹脂製より高級感が増し、斜めに仕切ることによってパーツのサイズごとに入れられて使いやすそうですね。湿気の多い日本では場所によっては湿気を吸ってしまう可能性もあるので注意が必要だとは思いますが、発想のヒントにも良いですよね。
開き扉と引出しという組合せは?
海外のキッチンも引出しタイプが多くなってきたと思いますが、開き扉と内部の収納パーツの組合せもあり、個人的にはよく見渡せて取り出しやすさも備えているのではないかと思っています。こういったパーツが日本にもっとあるとキッチンプランの幅が広がっていいですね。開き扉タイプはしゃがまなくてはいけないという点が嫌われてしまったのですが、縦を有効に使う形なら、身体に負担のない形にできますね。
引出し式はリフォームの際、排水管位置に注意が必要
築年数が古いマンションでは既存が開き扉の場合、排水管の位置がキッチンの中央近くにスラブ(コンクリートの躯体部)から出てしまっていると動かせない事があります。そうすると下段の引出しに当たってしまう時があります。そういった時は、下段を加工できるタイプでプランニングしておく必要があるので注意しなくてはいけないポイントです。
まとめ
現行のシステムキッチンは引出し式が主流なので、キッチンの計画の際は自分の持ち物(フライパン、鍋、ざる、ボウル等々)の数、サイズのチェックをして、1段なのか2段なのか、内引出しが良いか、各メーカーのシリーズによっても持っているパーツがさまざまですから、相談の際に各メーカーの特徴をお話しています。
その他オーダーキッチンなどの選択も豊富です。オーダーというと金額が高いのではないかと思われますが、仕様を工夫すれば予算内に納める工夫ができるのもオーダーの良い点です。毎日使うキッチン、いろいろ計画を楽しんで使いやすく、お手入れしやすく、さらに見ても美しいキッチンづくりをお手つだいします(^^)