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自然の造形美を持ち歩き、インスピレーションをアイドリングする〜野原工芸の高級木軸ペン〜


先日、高級木軸ペンのブランド・野原工芸さんの記事を書かせていただきました。

野原工芸を取り扱っている店舗は限られていて、長野県は南木曽町の本店、それから公式オンラインショップや東急ハンズでは年数回の数量限定販売でいずれも数分で売り切れてしまいます。

入手手段が極めて限定的な上に、youtuberなどが絶賛して話題が沸騰し、全国から注目が集まっているということですが、シャーペンなどは小中高生に、ボールペンはどちらかというと社会人と老若男女幅広い世代から人気だそうです。

デジタルの時代、あまりペン自体使わなくなったし要らないといらないのですが、反面、木軸ペンって何か面白そうだなとは思っていました。

どちらかというと、物は試し、今、なぜ野原工芸さんのペンが幅広い世代で人気なのか?マーケティングやブランディングの観点からインサイトを発見できればという感覚で、買ってみて、よかったら子どもにもあげようというくらいの感覚で、半年前に回転繰り出し式のロータリーというボールペンを購入しました。

多分、学生さんたちの人気熱なんだろうと思いますが最も人気なのはシャーペンでオンライン予約開始から数分で売り切れてしまい、手も足も出なかったので、子供用にと思っていましたが無理でした。ただ、ボールペンはそれも30分以内には売り切れたと思いますが、厳しい競争の中で予約購入ができ、先月の末にようやくお品が届きました。(職人の手作りによる受注生産なので納品に長くて半年くらいかかります)

ご興味のある方はそのときの詳細は以下のリンクからご覧いただけたらと思います。

と、話はここで終わるつもりだったのですが、上の子どもが中学生になるのが2026年なので入学祝いに買っておきたいのですが、購入するのも難しいし、納品にも半年かかるとなると、前倒しで予約する必要が出てきます。

ハンズ梅田の抽選会で奇跡の当選

そんなとき、たまたまXで見たハンズ梅田店の情報で、本年11月に希少な限定樹種のシャーペンが抽選販売されるということで、まぁ、当たらないだろうけれども一応応募しておくか、くらいの感覚で応募したのですが、なんとそれが抽選当選。しかも、A列といって最初の枠。

A列5番で当選しました。

もうここまで来ると子どものためだか、自分のためだか、分からなくなってしまいますが、何10倍にもなると噂される抽選の上に、最初の枠で当選するのは縁起もよさそうなので、販売当日、会場に足を運びゲットしました。

販売樹種は事前に店舗から知らされていたので買いに行くときに、目星も付けていましたが、私の第1希望は特上花梨瘤(変わり杢)でおそらく当日販売でも1,2位を争うほどの人気で買えないと高をくくっていましたが、それも私の前の待ち順の方にひとり欠員が出たのと、他の三方も別のものを買われたので、なんと第一候補が私の手のところに。。。

野原工芸 特上花梨瘤(変わり杢)

定価は19,800円(税込)とペンにしては高い気がしますが、あるいは、この杢目は子どもが学校で持ち運ぶにはちょっと厳つすぎるかなという代物かもしれません。

子どもと大人で分かれる意見

さて、前置きが長くなりました。

何も、レアな品をゲットしたことをドヤるために本記事を書いたわけでは無く、ここからが本題なのですが、前回はオンラインの購入なので気づきませんでしたが、実際、今回の順番待ちで来ている方たちの会話が聞こえてきたり、反応が見れたのは興味深かったです。

来ている方は、まずはご多分に漏れず小学生の親子連れが多く10〜15人の人が一角の販売ブースに集まって人だかりになっていましたが、この人達は必ずしも抽選当選者というわけではなく、おそらく野原工芸の品を一度は見てみたいという人もいました。

「うわぁ、これが野原工芸かぁ、すごい〜」

と、うっとりため息も混じりながらひそひそ小声で話をしている子どもの声が聞こえる中、親御さんは、

「何がいいんだかさっぱり分からない」

という声も聞こえてきましたね(笑)

私は逆で親の立場で

「これがいい」

と思うので野原工芸の魅力を伝えたいくらいすでに染まっている人間だということに気づいてしまいました。(笑)

野原工芸の木軸ペンの魅力を一言で言うと、書き味がいいからとか書き心地がいいからとかそういう機能的な話もありますが、私は日本の文具はそのあたりはどれもかなり高い水準にあると思っていますのでそこを担保にしたという前提であればここではさほど重点を置いていません。

私が感じる野原工芸の魅力

それよりも、文化性とかアート性に注目していて、

「古くは平安時代から続く木地師といわれる伝統工芸の職人の技術の象徴、自然の造形美をペンケースで持ち歩けること」

だと思っています。

私を含め、現代人は人工物に囲まれて過ぎていて、自然の美しさや叡智に触れる機会が少なくなっている中で、自然の織り成す造形美を楽しんだり、木の温もりを感じたり、伝統工芸技術の卓越した「ものつくり」の精神に触れることは学びがとても多いと思いますし、クリエイティブな仕事をしている方などは多大なるインスピレーションを得られるかもしれません。

いや、今のようにデジタルが普及し、AIが人間に替わって仕事をする時代が到来した以上、私たち人間の仕事は物事を処理する速さ、正確さを要するものはどんどんAIに置き換えられ、代わりにクリエイティブに替わっていくことはもうここでいう必要はないでしょう。

いや、もうすでに替わってしまったとも言えますし、これからの時代を生きていく子どもたちはそういうことを頭で理解しているというよりも情緒で捉えているから、野原工芸さんの木軸ペンにも俄然注目が集まるのかも知れません。

アート作品をペンケースに入れながら子どもたちは未来に大切なことを学ぶ

令和4年に経産省が発表した資料「未来ビジョン」にこういう事が書かれています。

引用元 経産省「未来ビジョン」」https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf

資料の左側が常識で育った大人の私たちの立場としては、左側に書かれていることは社会人として基本的なことではあり、身につけることは必須と思いますが、一方、ベテランが自分の経験や成功体験を免罪符に価値観を押し付けたり、常識に拘泥してしまって発展性を阻害してしまうということもあると思います。

「高級木軸ペンの杢目を見ながら、おお〜、キレイ〜」

なんて言って、眼をキラキラ輝かせている子どもたちの気持ちは、古い大人の理屈では理解できないことかもしれませんが、パソコン、スマホ、ゲームとデジタルツールを受動的に使ってばかりよりも、自然の造形美を持ち歩いて事あるごとに、

「あぁ、やっぱり、自然って美しいな。」

「職人さんたちはどうしてこの形にデザインしたんだろう?」

「ペンなんか買わなくても手に入る時代に、また高級ペンなんていろんなブランドがあるのに、なぜ野原工芸の木軸ペンに人気が集まるのか?」

とか何でもいいので問いを持つ機会が増えた方が健全だと思いますし、未来人材である子どもたちが創造的に考える力を付ける意味でも、文部科学省によって去勢された教育とうま味のない教科書よりも子どもたちにとってはいいかもしれません。

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