創造的な生命
すべての子が、すべての人が、生き生きと心豊かに毎日をおくるために、必要なものはいったいなんなのか。それを私は求めてきました。
見つけた答えは「愛と自由」。
そして、この愛の本質を見つけだすために、自由を獲得するために、なくてはならない能力が「創造力」でした。
創造力というと絵を描いたり、文章を書いたり、作曲をしたりする創作活動ととられがちですが、じつは人間かやっていることのほとんどは創造活動です。
ペスタロッチーやフレーベルやモンテッソーリは、人間は「創造的な生命」だと言っています。
創造的な生命。
わかるようでわかりにくい言葉ですが、生命はじつはどんな生命でも創造活動をしています。
みなさんは絵を描く活動は創造活動と思っているはずです。この活動と生命活動がどこで結びつくのか。
絵は最初何も描かれていない真っ白の画面に筆がおかれるところからはじまります。点が線になり、面を形成して、しだいに色と形の世界が豊かに変化していきます。これが創造活動です。
植物の種子をイメージしてみてください。これを地に植えます。芽が出て、葉が出て、枝が出る姿は、白い画面に少しずつ色や形がおかれていくあり方と同じです。どちらも生成、変化、発展していく姿です。これも創造活動です。
人間と他の生命との違いは、人間はこの創造活動を精神も求めていることです。その点で、人間が意識して行っていることはほとんど創造活動と言えます。料理をつくることも、洗濯をすることも、遊ぶことも、働くこともみんな創造活動です。
人間はいつも変化を求めています。現状を変えようとしています。もっと楽しいこと、もっと快適なこと、もっと豊かなこと、もっと確かなことを求めています。そのためにする活動が創造活動です。
自由を獲得するためには創造力が必要不可欠なのです。愛との関係については後日改めて述べたいと思います。
和久洋三 著『子どもの目が輝くとき』(玉川大学出版部)より
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