スプリンターG1
※記事中に過激的な表現や刺激的な描写を感じる場合がありますので、食後の何でもない時間に閲覧することをお勧めします
前回の全頭診断はこちら
前回の記事などでも言っていますが筆者の職業は美容師です。
それはもう様々なお客様と出会ってきました。
これはノンフィクションの実話です。
その日は午前中から忙しく慌ただしくしていました。
A美様からは13時にカットの予約を受け付けており、その前のお客様との間隔もなく施術が詰まっている状態でした。
うちのスタッフは4人。
受付はおらずお客様が来られたら4人の中で手が空いている人か1番受付に近いポジションにいる人が受付をするシステムになっています。
A美様が来店した時に1番近いポジションにいたのは私でした。
あの時近くにいなければ
A美様「こんにちは〜」
枠「いらっしゃいませー」
枠「ポイントカードとお荷物お預かりしますね」
A美様「あ、はいはい」
手に持ったバッグの中から財布を取り出そうとするA美様…
スッとバッグから財布を取り出した瞬間
ポロっ
ポトっ
枠「ん?」
何かが落ちました
黒い小さな何かが
枠「何か落ちましたよ」
A美様「あ、ごめんなさい」
その何かを拾おうと近寄ると
枠「!?」
A美様「!?」
Gでした
枠(えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!なんでバッグから出てくんねん!ダメだ、声出したら他のお客様に気付かれてしまう!ここは静かに処理しなければ!アサシン!静かな暗殺者アサシン!)
しかし、ターゲットも突如舞い降りたこの世界に一瞬の戸惑いを見せるもそこは「生きている化石」の異名通り、即座に状況を把握、順応し驚異的な身体能力から電光石火の如く繰り出される瞬発力(人間換算でおよそ時速300km)を今解き放たん!とした刹那
アサシン枠が近くにあったタオルを手にターゲットを天空から降り注ぐ光の速さで鷲掴みにし捕縛
その間実に0.08秒
(これはエアバッグの作動スピードと同等の速さ)
そのままタオルごと握りつぶし袋詰めにし廃棄
心の中では驚きと動揺と安全に事なきを得たことへの安堵の感情で一杯に。
しかしA美様をここからカットしなければいけません。
A美様「…すいません」
(とてつもなく申し訳なさそうな表情で)
枠「さ、シャンプー台へどうぞ」
(全然何もありませんでしたよの顔で)
出来るだけこのことを忘れさせるように120%の明るい接客を心掛けて、200%の技術力でカットを無事終えて帰すことが出来ました。
でもそれからA美様は二度と来ていません。
スプリンターG 1匹を回収した話
完
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