「Re:Boots」に寄せて(草稿)

 これまで東京都内の各所で行われ好評を博している、アニメ・ゲームなどのオタク音楽が多くかかる野外型DJイベント「Re:animation」が、恐らく日本史初となる「アニソンブートレグRemixを公式の原盤許諾を取ってリリースするRemixアルバム」である「Re:Boots」をリリースすることが決定した。

 いまや東京だけでなく全国各地でアニクラが開催され、最近では大手企業がアニクラを想定したイベント施設を開設したりといった現象が起きてきている。その状況で改めて、普段はDJやクラブミュージックに触れることの少ないリスナーに向けて、アニメソングやアニメ関連楽曲をクラブミュージックにRmeixすることがどう重要が意味を持つのかを解説してみたい。

(以下草稿)

■Part.1「DJプレイでどれだけの回数使われるか」

 ここではまず、ある曲をクラブミュージックにRemixすることで、どのような形で聴者へのアプローチが発生するかについて書きたい。あらかじめ言っておくが、ラジオやDJでどれだけ曲が流れようがそれが即ち利益につながるものではない。ということをわかった上で、とりあえずここでは「DJのプレイでどれだけの回数かけられるか」ということにだけ焦点をあてて書く。

 クラブミュージックの評価において、一般の音楽にはない重要な要素がいくつかある。まず第一に、DJプレイの大前提「繋げられるかどうか」という点だ。たとえばBPM170のアニソンがあったとして、それをかけることができるのは基本的にそのDJのプレイがBPM170周辺の曲を流している場合だけである。曲の速い遅いなんて気分の問題と思われるかも知れないが、DJにとってはそれだけで選曲で流せるor流せないが左右され、一喜一憂するポイントなのだ。ホント。

 しかしその曲をRemixすると、やりようによってはBPM170の曲をBPM128に作り直すなどBPMを大幅に変更して曲を作り直すことができたりする。(もちろん、逆に遅い曲を早くすることもできる) 1つの曲がBPM170の流れとBPM128の流れの2通りのDJプレイで使われる可能性があるのならば、単純計算でその曲が流れる可能性は2倍に上がる。

 また、DJが曲をかける上で「ジャンル」も非常に重要な要素だ。DJプレイを通しての曲の雰囲気を揃えるために、同じジャンルの曲を繋ぐのはDJにおける基本である。異なるジャンルの曲を繋げることもあるのだがその場合、そこで流れている音楽のテンションや雰囲気が変わってしまうので注意深くやる必要がある。これに失敗するとDJブース前に集まっていたお客さんが一斉にどっかに行ってしまって寂しい思いをすることになったりする。

 (もちろんジャンルで縛っても、かける曲はクオリティが一定に達している必要がある。同じジャンルでも次の曲が前の曲より聞き劣りしてしまったのでは、興ざめであることこの上ないからである。ある意味これが一番怖い)

 つまり、DJの選曲する「ジャンル」によって選曲される可能性は大きく変わるので、1つの曲に異なるジャンルのRemixが多ければ多いほど、単純な言い方をすると強いのである。が、基本的に公式がどれだけRemixを出したとしても、DJが欲しいと思うニーズを満たすということはまず有り得ない。

 (これはアニソンとかポップスとかに限定したことではなく、クラブトラックの公式Remixも結構な割合で仲良しDJがRemixしたのとかなので、結局各地のリミキサーは自分の需要を満たすべく勝手にブートを作り始める)

 それゆえ、DJやブートリミキサーは原曲を好きなジャンルにRemixし、そのRemixがそのジャンルのDJのプレイで使われるようになる。従って、ブートを作れば作るほどにそのRemixが選曲される確率は上がり、同時にその原曲が持つ「強度」も上がっていくことになる。

(続くかもしれない)

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