人生はチョコレートの箱 | 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)
今朝は稲田豊史さんの連載『ドラがたり』の最終回をお届けします。藤子・F・不二雄が生涯をかけて追い求めたテーマ「世界の創造」と「運命の改変」。そこには、思い通りの世界を創造する「箱庭作り」と、配偶者を再選択する「人生のやり直し」という、作者の直裁的な願望が見え隠れします。大人になった私たちは、Fが残した物語から何を学べるのか。不本意な「チョコレートの箱」のフタを開けてしまった、かつての「のび太」たちへの、Fからのメッセージとは――?
こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!
『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)
最終回 人生はチョコレートの箱
●藤子・F・不二雄と村上春樹
前回【第13回】で、『ドラえもん』は藤子・F・不二雄による偉大な縮小再生産の産物である、と結論づけた。
ここから先は
15,163字
/
15画像
¥ 540
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?