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【特別掲載】宇野常寛『小池都政 8割の期待と2割の不安』

2016年の「主役」とも言えるほどの注目を集めた小池百合子都知事。小池都知事と新党に対する期待と不安の理由。平成の改革勢力の失墜を踏まえ、弊誌編集長の宇野常寛が新党のとるべき戦略や小池都政に期待することを語ります。(この原稿は2017年1月6日発行の『都政新報』に掲載されたものです)

 一体どこの、誰が、2016年の「主役」が小池百合子になると想像していただろうか。彼女は淡々と機会を狙っていたのだと、今でこそ前提として語られているが、ほとんどの都民が、国民が、まあ、はっきり言えば永田町の権力闘争に敗れたタレント議員の体のいい転出先として都知事の椅子が選ばれたくらいの認識だったはずだ。
 しかし、選挙戦が始まるとすぐに雲行きが変わってきた。どうやら自民党の一部勢力が、それも半ば公然と小池を支持しているという「うわさ」がささやかれ始めた頃には既に事実上の勝敗は決していたと言えるだろう。私も含め、大半の人間が小池百合子を過小評価していた。そして、彼女には相応の準備が完了していたはずだ。幕を開けた小池劇場の展開はご存じの通り。市場移転、五輪施設─小池「都知事」は次々とカードを切り、「都政のうみ」を絞り出し始めた。
 私は朝のワイドショーのコメンテーターを務めているが、この秋はほとんど「週刊小池百合子」とも言える状態だった。

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