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資格のための勉強?勉強のための資格?

「福祉経営基礎検定」第一号認定者が誕生

2024年5月17日、遂に「福祉経営基礎検定」の第一号認定者が誕生した。

認定者のメッセージを頂いたので、兎にも角にもまず一読いただきたい。

他に福祉経営を取り扱ってるサイトなども少なく、また、勉強できるものがあっても高額なもので半ば諦めていましたが、このフクノネ(WWMC)に出会いました。
講義動画を受講し自分にあったノートを作り上げ、また動画視聴をすると頭に入りやすく勉強しがいがあります。
また、自分はわかってるつもりでも、抜けている部分がわかり有意義でした。
福祉経営基礎検定という明確な目標もあり、心折れず頑張れました。ありがとうございました。

認定者 荻原伸吾さんより

素晴らしいメッセージである。一方、「福祉経営基礎検定」って何?という方がほとんどだと思うので、まずは(本題ではないが)そちらをちらっと記載した後、本題に入りたい。

新資格誕生秘話

「福祉経営基礎検定」は、保育・介護・障がい福祉に関する経営知識の習得による、法人中核人財や次世代経営人財の育成を目的として2024年1月に新設された資格である。

詳細を記載し始めると、プレスリリースと同じ様な内容になってしまうので、こうした「新しい資格」を創設することになった想いと経緯を綴ってみる。詳細ご興味ある方はプレスリリースをご覧下さいませ。

「経営」に関する資格は、世間に色々あるが、「一般事業」の経営と「社会福祉事業」の経営はそのビジネスモデルは大きく異なる。
 例えば「一般事業」は法人や個人等「顧客」から収益を得るのに対し、「社会福祉事業」は「自治体」からの補助金によって運営される。認可施設となれば利用者は自治体によって決められる場合もある。

会計や税務においても「企業会計」と「社会福祉法人会計」とその基準は異なり、人事・労務においても職員のほとんどを専門職が占める社会福祉事業は一般事業とは異なる部分が大きい。

こうした「福祉経営」に関する代表的な資格は、「経営」と名がついていても、内容をみると会計知識だけを問う資格で、「福祉経営」を網羅的に学ぶための資格ではない。ただでさえ専門職が多い当業界で、専門職から経営に挑戦しようとする人が学ぶ際の道しるべというか、目標がないというのはいかがなものだろうか。うーん、いっそのこと無いなら作ってしまえ、というのがこの資格の創設に至る最初の一歩である。

資格のための勉強?勉強のための資格?

前置きはそこそこに、この辺りから本題に入ろうと思う。

私は、長らく銀行員をしている。銀行員というのはご存知の方もいると思うが良くも悪くも「資格の鬼」である。入社1年目から様々な資格取得を課せられる。私も例外なく金融知識に関する資格から、金融とは関係なさそうな資格まで色々と取得してきたわけだが、私が資格を取得する中で感じてきたことがある。それは
「資格取得のための勉強、取得したら忘れる」ということである。

私の中での資格の理想像は、冒頭のコメントで頂いた様に「勉強したいことを勉強するための目標であり指針」である。勿論、福祉経営基礎検定も長期的には「福祉の経営をする」ために認定を目指す方が多いが、その長期目標に向かって漠然と学ぶより、一つ身近な目標があった方がモチベーションになる。その身近な目標が「資格」である、という位置付けだ。

一方で、現在多くの資格の存在価値はそれを保持することで「第三者に何かしらのアピールを行える」ことにある。まさに銀行時代、取得しては忘れ、を繰り返してきた当時の私の資格取得の目的はそれである。取得した瞬間にその価値は「資格自身」に集約され、そのプロセスは無価値に近いものとなる。

ただ、私は資格自体が価値を持つことを否定したいわけではない。むしろ、資格に価値を持たせることは必要なことだと思う(後述するが、まさにこれが今の当検定の課題点でもある)。では、どうしたら「資格のための勉強」ではなく「勉強のための資格」に近づけるか。

「資格のための勉強」になる要因として、私はひとえに「試験結果」だけを追い求めることによるものではないか、と推察している。なので当検定においては、試験の結果に加え、学習のプロセスを評価することに拘っている。

試験合格から逆算して学習するのではなく、学習の積み重ねの先に試験合格がある、という本来の形が成立するような仕組みづくりをすることで、少しでも当検定が「勉強のための資格」に近づくことを願っているし、だからこそ冒頭のようなメッセージを頂けてその想いが少し形になったような気がしている。

今後の課題

今後の課題はずばり「当検定の地位向上」である。

「福祉経営基礎検定」を取るまでのプロセスにおいては、10社の現役福祉経営者の方々のご意見を基にした「福祉経営に必要な知識」をカリキュラムとしているため「勉強のための資格」としての役割は既に一定程度果たしていると自負している。一方で、現状資格の存在意義の一つである「資格自体の価値を高めていく」ためには、長期的に、この資格を取った人が実際に経営に携わったり、起業への不安が少しでも取り除かれたりといった事例を多く作る必要がある(そうなってほしいという願望も込み)と考えている。

一方短期的には、「権威のある人」からのお墨付きをもらうというのも手段の一つとして考えられる。よく書籍の帯に著名人からのコメントが記載されているあの原理だ。実は水面下で業界では著名な方に特別講師のオファーをさせて頂いていて、詳細のすり合わせ中だったりするのだが、本当はそういった方にコメントを頂けると一番ありがたい。ただ私は昔から(営業マンだったのに)営業活動が苦手なので、図々しいかな?とか色々考えてしまってこういったことはなかなか前に進まない。

色々と記載したが、プレスリリースやホームページには載せていない、個人的なぶっちゃけ話も含めて想いを綴ってみたつもりである。

今回は、当検定の第一号認定者が出たこと、認定者の方が検定を勉強の糧にしてくれたこと、素敵なメッセージを頂けたことも含め、当検定としては大きな一歩を踏み出せたと感じている。

今後が更に楽しみである。


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