和國商店 x OXYGAMI 開発ストーリー
Click here for English version
和國商店の新たな取り組みとして、フランス人アーティストがデザインしたペーパークラフトモデルを、板金技術を用いて銅と真鍮で組み上げたコラボレーション作品を和國商店が発表しました。和國商店とOxygamiがコラボレーションする経緯と今後の展開について和國商店 主宰 内野友和(うちの・ともかず)と、Oxygami主宰でありペーパークラフトアーティストのステファンさんにお話を伺いしました。
海外アーティストとのコラボレーション
ー Oxygamiの名前の由来を教えてください。
ステファンさん:「Oxygami」は、「OXYgen」と日本語の「oriGAMI」という2つの単語の短縮形です。Oxygamiでは、自宅で印刷でき、ハサミとノリで組み立てられる紙の壁の彫刻のテンプレート(PDFデータ)を作成、販売しています。ペーパークラフトアーティストとしての私の仕事は、それらを美しくするだけでなく、できるだけ簡単に作成できるようにすることです。
ー Oxygamiを知ったきっかけは?
内野友和:ネットで様々なペーパークラフトアーティストさんの作品を調べましたが、圧倒的に他の作品と比べて細部の作り込みがしっかりしていて、パーツの数が多いところが魅力的でした。もちろん組み立てるのは大変なのですが、職人魂に火がついてというか、純粋に銅板で組み立ててみたくなりました。それで、やってみたら試行錯誤しながらもカタチになったので本人に見せたくなってフランスに会いにいきました(笑
ステファンさん:トモカズからEtsyのショップに連絡がありました。彼は、紙ではなく銅と真鍮を使って私のテンプレートを作った彫刻を見せてくれました。彼がテンプレートを金属の彫刻にしたことは驚きでした。
ー パリでの互いの第一印象は?
ステファンさん:トモカズが彼の妻と共にパリまで会いに来てくれたことは感動しました。奇跡的にもコロナ禍前だったので、私たちが出会えたことはラッキーでした。そして、私がデザインしたウシの彫刻を銅板で組み上げ、プレゼントしてくれたのは本当に驚きました!(アゴが落ちた!)
内野友和:当時はあまり考えずにパリに向かいましたが、コロナの影響で移動がしづらい今となっては会えたことは貴重な機会だと思います。ステファンはフレンドリーで頭の回転が早くて、正義感が強い印象です。プライベートな話から始まり、お互いの文化や、コラボレーションや、ビジネス展開の話など、5年くらい先の展開を想像することができ、有意義な時間でした。
試行錯誤した新たな作品
ー 和國商店の作品をみてどう思いましたか?
ステファンさん:和國商店はOxygamiを銅板で忠実に再現していて、彼らの技術に驚かされました。紙で折り曲げるのは簡単ですが、全パーツ曲げる角度が絶妙で、これを金属で実現するには、技術はもちろん、多くの試行錯誤と長い作業時間が必要だと思うのと同時に、彼らのプロ意識の高さに尊敬しています。
内野友和:とにかく作りが細かいのがOxygamiの特長だと思います。作品にはいまにも動き出しそうなダイナミックな曲線がありつつ、歯や目といった細部の繊細さがあるのもOxygamiの魅力のひとつです。繊細なパーツを再現するために、部位ごとに銅板の厚みを変えました。
板金で使用する道具に「つかみばし」というものがあって、それを使って銅板を曲げて組み上げています。仕事で使用している3種類の異なる大きさのつかみばしを使って、Oxygamiを組み立てたのですが、どうしても細部が雑になってしまいました。試行錯誤する中で、平面図のサイズを測量し、9~90mmで3mm刻みの異なる大きさのつかみばしが必要ということが分かりました。一般には流通していない大きさなので、いつもお世話になっている新潟の金物職人さんに直接依頼してつくっていただきました。
道具もそうですが、金属故、キズやシワに細心の注意を払いながら組み立てています。現状一作品積み上げるのに約1~1.5月かかってしまうので、作業工程のスピードアップは今後の課題の一つです。
ー 和國商店 x Oxygamiがコラボレーションした反響は?
ステファンさん:試作品として制作し、私にプレゼントしてくれたウシは僕のアトリエに飾っているのですが、反応は上々です。作品を見た人はみな口を揃えて "Whaaat? It's magnificent!"と言っていたのが印象的でした。
内野友和:Oxygamiのファングループにコラボレーション作品を一足先にお披露目させてもらったのですが、多くの称賛のコメントをいただきつつ、和國商店で作っている折鶴のオーダーをいただきました。海外での反応の凄さに正直驚いていますし、Oxygamiにある他のモチーフでの制作もご要望いただいている状況です。
ー 今後の展開は?
ステファンさん:トモカズにスタンディングキャットを作ってもらいたいです。人気のあるデザインだし、和國商店が銅板でつくってくれたらさらに良いものになるに違いないですね!
内野友和:確かに、猫は人気があるし、好きな動物なのでチャレンジしたいです!
ステファンとは、日本とフランスの架け橋となる活動として、いつか「ツル(日)」と「ニワトリ(仏)」で作品をできたら良いねと笑いながら話をしています。なによりも楽しみながら続けられたら良いですね。
欲をいえば、僕らの板金や屋根屋の知名度が上がって、職人を目指す人が増えたらいいと思うし、チャレンジする若い人が増えたら嬉しいですね。