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「思いがけないダブルレインボー」はいつ掛かったのか

ところで虹って「架かる」じゃないのだろうか。
「掛かる」が正しいのか?
とそんな疑問も浮かんでしまった、日向坂46の「思いがけないダブルレインボー」について、自分なりの解釈をまとめておこうと思います。

秋元康の情景描写


秋元康の自選歌詞集「こんなに美しい月の夜を君は知らない」が発売されたことにより、プロモーション活動を兼ねた番組企画が増えています。
「秋元康の作詞」というものがどういうものなのか、関ジャムでもフィーチャーされていました。

そこで触れられていたのが、「具体的な情景描写」です。
放送作家をバックボーンに持つ彼ならではの特徴として、聴いた人がその光景をイメージできるような表現が多い、というものです。
関ジャムでは「制服のマネキン」などが代表的な例として挙げられていました。

また、「誰が歌うのか」を最も重視しているということ。
これもやはり放送作家の経験がそうさせるという本人談でしたが、やはり台本も基本的には誰が話すかまで考えて作るので、その方が作りやすいのでしょう。

そこを前提として考えた時に、ふと「思いがけないダブルレインボー」ってどういう景色を思い描いて作ったんだろう?と言うのが気になりました。
「2つの虹が掛かってる」というフレーズがあり、これはなんらかの映像をイメージして書かれているはず、そう思ったのです。

そこで思い出したのが「2回目のひな誕祭」でした。

2回目のひな誕祭

2回目のひな誕祭といえば、コロナ禍で有観客ライブが出来なくなっていた日向坂46が、約1人ぶりに行う有観客ライブでした。
「ドレミソラシド」の後半で、メンバーとファンを隔てていた幕が上がり、1年以上ぶりの再会を果たした際にはメンバーが号泣するなど、感動的なライブでした。

そのライブの後半では、もはや定番曲となった「JOYFUL LOVE」が披露されました。
ファンがペンライトで作る虹が印象的なこの曲。会場にいる人で虹が作られるのも実に1年以上ぶりとなったわけですが、この時ならではの出来事もありました。
メンバーがMVで着用していた衣装でパフォーマンスしたのです。

当時は「珍しい」くらいにしか感じなかったこの出来事。
秋元康の歌詞は、具体的な情景を描写しがち。それを知った上であの時を振り返ると、「あれが2つの虹が掛かった時なのでは?」と思ったのです。
客席でファンが作る虹と、メンバーが衣装で作る虹。秋元康の見た「ダブルレインボー」はこのことなのではないか、と。

そもそも「ダブルレインボー」というものは、珍しい現象ゆえに幸運のサインとしても知られており、それをこの景色に重ね合わせたのではないか。
そう思って歌詞を「思いがけないダブルレインボー」の歌詞を見返してみると、まるでこのライブのことを歌っているようにも思えるのです。

雨上がりのダブルレインボー

当時はようやく有観客でのライブが開催できたとはいえ、会場に呼べたのは700人。
以前のように満員の会場でまたライブができるようになるのか、この先どうなって行くのか、誰にも分からないような状況でした。
2020年末に予定されていた東京ドーム公演も延期になり、挫けてしまってもおかしくなかったと思います。

それでも久々に客席のファンを見て涙している姿を見て、「雲の切間に光が差した」ように見えたのだろうな、と。
長かった雨が上がって、ステージには2つの虹が掛かっている。
今は叶わなかった夢も、諦めなければまた叶えられる。
当たり前のようにあると思っていた景色は、いつも見れるわけじゃないということを思い知った1年だったけど、辛くなった時はまたこの時の景色を思い出そう。

あのライブをベースにして、そんなメッセージが作られたのではないか?と思ったのです。
作詞は基本的にアテ書きであることを思えば、そんなに外れた解釈ではないのでは、と思っています。
何よりJOYFUL LOVEのMV衣装でこの曲をパフォーマンスしたのはこの時1回だけのはずで、そう思うとやはりこの時のことなのではないかな、と。

この曲が収録されたのは10月27日リリースの6thシングル。2回目のひな誕祭から7ヶ月後です。
流石にあのライブを見てから歌詞を書いたのであれば、5月発売だった5thには間に合うはずもなく。
期間が空くことで伝わりづらくなったとしても、それでもこの風景は形にしておきたい、と作詞の時に思ったかどうかは分かりませんが、そういうことだと思っておくことにします。

あれから1年経ち、日向坂46はようやく夢だった東京ドームでのライブを行います。
逆境にあっても諦めず願い続けた夢。
こちらの想像を遥かに超えて、誰よりも高く跳ぶ姿を見せてくれるのが楽しみです

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