見出し画像

2023年ベスト音楽


去年、発売されたアルバムに絞って邦楽5つ、洋楽5つを選びました。

早速ですが、アーティスト『アルバム』「好きな曲」という形式で紹介していきます。

⭐︎邦楽

⚪︎ドレスコーズ『式日散花』「少年セゾン」

毛皮のマリーズが病的に好きだったので、ドレスコーズを飲みこむのに時間がかかったのですが、解散から9年ほどが経ちようやく心の整理がつきました。

アルバム通して、現実と夢との間みたいな世界を歩いているような感覚になるアルバムです。通っていた小学校を大人になってから訪れたみたいな気分になりますが、最後の「式日」という曲で、大人にならないといけないんだと現実に帰されます。

⚪︎鬼の右腕『おしゃらか』「イサホホ」

今年いちばん衝撃的だったバンドでした。脳みそが沸騰するような感覚になりました。民族音楽やノイズなど様々なジャンルからの影響を感じつつ、どこにもないオリジナル性に満ちています。
お金を稼ぎたいとか、多くの共感がほしいとか、そういう通俗さが全く感じなくて、祈りに近いようなモチベーションで音楽を続けているように感じます。異国の川で、綺麗な石を拾ったような感覚になりました。

⚪︎夏目間風『天使のブローチ』「ごはんですよね」

あえてかなり雑に説明にすると、VOCALOID系のピコピコした音に、やくしまるえつこのようなウィスパーボイスのボーカルみたいな感じです。ドリーミーな古いアニメのエンディングみたいな雰囲気で、意味もなく泣きそうになります。

「優しい人がいいとか/悲しみたくないとか/今は考えないまま/ごはんを炊いていた」とってもいい歌詞ですね。

⚪︎トップシークレットマン『漫喫、レイプされた先輩へ』「ファーストバージンさよなら」

エレクトリックなバンドサウンドに、軽快だけど傷や不安が見えてくるような歌詞です。自分の友達に悲しいことを明るく話す友達がいたのですが、そういうものを感じます。

サウンドに独特のコラージュ感があり、歌詞にはユーモアがあって、古いインターネットを見ているような気分になりました。

⚪︎冥丁『古風Ⅲ』「夢十夜」

古風な日本を感じるアンビエント・ミュージックで、古風×電子というのが音楽新鮮な耳心地です。時々、ひとの声が不快でひとりきりの世界に閉じこもりたい時があって、環境音楽みたいなものがそういう夜を助けてくれました。

作業中や眠る前に、小さな音で流しているとリラックスできるし、散歩しながら聴いていると日本的な風景がより美しく感じると思います。

⭐︎洋楽

⚪︎オリヴィア・ロドリゴ『GUTS』「all-American bitch」

その時代によってティーンが夢中になるようなスター性を備えた女性アーティストが出現してきますが、彼女もそのひとりです。時代を変えてくれそうな雰囲気と勢いに胸が高まります。

普遍的に響く歌詞でもあるのですが、特に彼女と同世代の同性には痛切に響くだろうと感じます。まだ感情に言葉が追いついていない時期にいるひとにとって、自身の苦悩を代弁してくれるのは救いになるのだと思います。

⚪︎ドミニク・ファイク『sunburn』「How Much Is Weed?」

ドミニク・ファイクは23歳のときに、警察官への暴行で自宅監禁となり、その時に曲を作って友達の部屋でレコーディングをしてサンクラにあげたら、無名だったのがみるみると話題になって、大手レコード会社と400万ドルで契約したという映画みたいな経歴のひとです。なんとなく、その辺をふらふらしているいけている兄ちゃんみたいな雰囲気があります。

夕暮れの町をサンダルをひっかけてとぼとぼと歩いているようなとき聴くのにぴったりだと思います。

⚪︎bo en『Pale Machine 2』「I Hate winter」

歌を歌ったりトラックやゲーム音楽を作ったりしているイギリスのアーティストです。

日本との親交も深く、歌詞に英語と日本語が混じっていたり、No BusesのボーカルやTAS PASTAがアルバムに参加していたりします。トラックが泣きたくなるくらい美しく、bo-enがたまに歌う片言の日本語がすきです。

⚪︎yeule『softscars』「softscars」

リバーブがかかったドリーミーでエレクトリックな曲調なのに、さみしさがあって痛みがあって、歌詞もまだ読んでいないのに一聴して自分のための曲だと感じました。実際に、自己のトラウマや傷を負った記憶と向き合って作ったアルバムだそうです。痛みがなくなっても傷が残ることに意味を見い出そうとしていてとてもよかったです。

⚪︎シガー・ロス『ATTA』「Gold」

アイスランドの世界的なポストロックバンドの10年振りの新作アルバムです。オーケストラと美しいハーモニーに心が澄んでいく感覚になります。メンバーの脱退も関係してかドラムが抑えられているのが印象的です。

MVのミュージック・ビデオもどれも荘厳で、世界をより美しく良いものにしたいという意志を感じます。

⚪︎

音楽にも技術的な評価の基準や優劣はあるのですが、記憶との結びつき、響いた歌詞、聴いたときの環境、精神状態など、個人的な理由で好きになる要素があって、そういうことを選出に重きを置きました。

また、自分は音楽の趣味がすこし偏っていると思うので、誰にでもおすすめできるかと言われると言葉に詰まるのですが、既存の大手メディアでは紹介されやすくて有名になるべくしてなるひとはいずれ届くだろうし、個人的な趣味を偏ったまま選びました。だから、ベストという言葉も、あくまで便宜的な言葉です。みなさんの個人的なベストも教えてくれたら嬉しいです。

いまの気分で2023年にきいて印象的だった曲のプレイリスト(Apple Music)を作ったので、参考にしたりBGMにしたり眠るときに聞いたりと好きに使ってくれたらうれしいです。

https://music.apple.com/jp/playlist/2023%E5%B9%B4/pl.u-AkAmvEkClD6v82

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?