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DAY2 アラスカのハイキングなめてた。

キャンパスからバスでタルキートナ山脈へ出発した。
レベッカと隣の席に座って話をした。彼女はオランダから来た。英語は話せるけれど、母国語ではないので少し不自由しているらしい。お互い言語の壁があるねと言ってくれた。
4時間ほどのドライブを経て、道路沿いの空き地にバスが停まった。

”精製水を飲めるのはこれが最後だよ”
とインストラクターのロジャーが言うので、みんなバスのタンクから水をくんだ。ロジャーはチームの中で一番背が高いので、私と並ぶと10歳の女の子とお父さんみたいになる。おっとりしていてマイペースなタイプで、いつもニコニコしている。

登山道からハイキングが始まった。気温は15℃くらいで、少し寒かった。うっすらと霧が出て、少し雨が降ってきた。
女性インストラクターのジェシカと好きな映画や本の話をして、レベッカとは自分たちの国の話をした。オランダでは車より自転車で移動する人が多いらしい。日本は季節ごとの自然がきれいな国だよと話した。

途中で霧が濃くなってきて、列の先頭が見えなくなった。見通しが悪いので、事前にインストラクターたちに教えてもらったように、ベアコールをしながら進んだ。ベアコールとはハイキング中にする声かけだ。クマに遭遇する危険を減らすために『エーオ』と叫びながら歩く。

激しい雨が降り始めた。風が横殴りに吹きつけてきて、大粒の雨がバチバチと当たる。ひどく冷たい雨だった。途中から登山道が途切れて、短い草や岩に覆われた斜面をひたすら登った。そのうちに川が流れている平坦な場所に出て、全員でそこにバックパックを下ろした。

川のそばにキッチンタープをたてた。英語が飛び交っていたけれど理解できなくて、
「どういうこと?」「何をすればいい?」
を連発した。リアナがいろいろと助けてくれた。リアナは明るい元気な女の子、という言葉が似合う。この天気の中でもめげずに率先して動いていた。
彼女のおかげで私は英語の指示を理解でき、やるべきことが分かった。

アラスカでは自然保護の面から、むやみに焚き火はできない。調理にはガスを使った簡易ストーブを使った。
調理器具は鍋、フライパン、蓋、スパチュラ、耐熱カップ、ペンチ。
マカロニチーズの夕食を作った。タープの下で身を寄せ合っても、みんな体の震えが止まらなかった。時折突風が吹きつけてきて、タープが激しく巻き上がった。

リアナ、エマと3人で一つのテントに入った。
寝袋に入る頃は疲れ切って冷え切っていた。寝る前にリアナに
”今日はいろいろとありがとう” と伝えたら、
”もちろん! だって私たち友達でしょ?”
太陽のようにまぶしい笑顔だった。

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