次の2歩目への迷い-Maker Faire Shenzne 2017 に出展してきました
11月10-12日に開催されたMaker Faire Shenzhen 2017に参加してきました。
初めて深圳に行ったのが2015年11月、それから2016年4月、高須さんの第4回 ニコ技深圳観察会 に参加。どっぷり深圳の魅力にとりつかれ深圳に行くのはこれで6回目かな。 #深圳スゴイ
2016年の10月にはメイク関連のイベント、Maker Faire Shenzhenに初展示。そこからこうしたイベントが楽しくて、今年2017年は、ムンバイで開催されたMakerMela、シンガポールのMaker Faire Singapore、東京のMaker Faire Tokyoとメーカーイベントに参加してきました。とくにMaker Faire Shenzhenは自分にとって初のメイクイベント参加だったので、思い入れがあります。
Maker Faire Shenzhen(深圳)に初出展する最初の一歩の踏み出し方
今回のMaker Faire Shenzne 2017は初参加から1年たった自身にとって、次の方向性を考えさせられる体験となりました。最初の一歩は踏み出せた。二歩目は踏み出せているのか?チームと作品はYes、でも自分自身はどうなんだろう。
この駄文は、帰りの飛行機の中でスマホで書きなぐったものを多少リライトしたものです。1ヶ月経った今、見直すと、40歳手前のよい大人がこんな悩むなんて、エモいというかキモいなあという赤面しかないですが、たまにはこんな内容もいいかなと。あ、これが中年の危機。Midlife crisisか。まさにそれだな。
Maker Faire Shenzne 2017について
まず、去年よりも良いイベントになっていたと思います。出展者の展示内容については、正直、自分たちの展示で3日間必死だったので全体のことはわからないです。
が、我々の左のブースの紙飛行機セットはガンガン売れてた。向かいの韓国から出展していた、小さいテスラコイル作って触って音楽変化させるのはすごかった。見学者が指をそのなかに突っ込んで音量を変更できるのだけど、とうぜんビリビリ電流が流れているので痛い!子供が元気よく指近づけたら泣いてしまう。でも面白かった。同じく向かいで、科学マジックしてる団体もすごく人気だった。右隣の日本から出展しているブースの方は、商魂というか性根というかそういうのがすごかった。
他のブースの写真がほとんどないのだけど、今回は、100人近くの日本の人が訪れたそうだからその人達のアウトプットに期待。
色々なコミュニティの主催者がメンバー呼んできたり、地方県庁の人が来たり、学生引き連れて来たり、日本からの見学者の厚みを感じました。特に広島や福岡の県庁の人は熱心に色々質問をして頂いたり、地方の産業育成のことを教えて頂いたりしました。
去年と比べて、地下鉄ジャックしていない等、宣伝量はスケールダウンしたのかもですが、技術大学を会場にしたからか、ブースも会場も広くて快適。開催時期を1ヶ月遅らせたおかげか、金曜日はそこそこ暑いが、土曜日は涼しく、日曜日は雨。猛暑よりは涼しくて助かりました。金曜日は技術大学の学生の来場が中心。土曜日は各層ミックスかな。日曜は子供が多かったです。
さて、自分たちの展示に話を移します。私は、Morning Project Samurai(MPS)という数学やプログラミングを中心とした勉強会を主催する団体に参加しており、今回もそこから有志の3名で展示に参加しました。
展示したのは、去年と同じくNeochi-Solverという、カメラで人の寝落ちを判定して寝落ちしたら、電灯やエアコンなどの家電を消したり温度を上げたりコントロールするホームエレクトロニックコントロールデバイスです。
今年はありがたいことに、主催者に紹介ページを作って頂いたので、興味があればぜひ御覧ください。
Meet the Maker: Morning Project Samurai
今回の展示に向けて、画像認識部分も少しアップデートし、本当に部屋にポンと置いて簡単に使ってもらえることを感じとれるようにと、アプリケーションを開発して、ブラウザ経由でも、専用APP経由でも、自分が部屋のどこで寝落ちしやすいか設定できて、その場所で寝落ちを判定できるようにしました。そして、来場者にはそのAPPが入ったスマホを渡して、APP経由で設定や動作を見れるようにしました。
展示資料は、英語と中国語で用意。文章だけだと伝わりにくいので、動画も今までの利用イメージ動画だけでなく、どんな技術を使っているのかわかるものも追加しました。
展示方法についてもアップデート。
今までは、展示用のシチュエーションは机の上で寝落ち。そして、寝落ちしたときにコントロールするものは、mabeeeというBluetooth経由でコントロールできる乾電池を利用して、扇風機やオーディオ、それと、動きがあって派手で注目を集めやすい、プラレールの新幹線を操作していました。
ただ、今回はAPPも用意したので、もっと本質的な部分に興味を持ってもらいたい。ということで、アイリスオーヤマのエアベッドを持っていって、本当にベッドの上で寝落ちすると、家電がとまるところに注目してもらうようにしました。
このエアベッドが2000円足らずなのにめちゃめちゃ快適で、展示の説明に疲れたらここに横になっていれば、それだけで利用シーンの展示になるのでオススメです。
ただ、プラレールは使わないぞと、心に決めたのですが、展示三日目はあいにくの雨、雨、雨で、人が全く来てくれない。なので、仕方なく仕方なくプラレールを投下!
ど~~~~ん!ゴジラ襲来!
でも、ゴジラ、いや、お子様が来てくれると、必ず親が来て、少しNeochi-Solverに興味を持ってもらって、説明を開始すると、今度は、それにつられて人が集まり、集まるとNeochi自体に興味持ってくれる人が増えるから、ゴジラ大歓迎。最初はプラレール目的でも、作品に興味を持ってくれるのは嬉しいです。
今回、東京、インド、シンガポールと比べて、じっくり展示資料を読む人が多かったです。もちろん一見してぱっと去ることもあるけど、じっと展示を見て、資料を見て、展示をみて動画を見てというような人が多かった印象。
そして、来場者は言語が堪能。我々のブースに来た人の感じだと1割は英語だけスピーカー、1割は中国語だけスピーカー、6割は中国語&英語スピーカー、2割は中国語&英語&日本語スピーカーかな。もちろん我々のような海外からの出展のブースを見ようと思ってる人達なので補正は入っているにせよ、動画資料をうまく準備しておくことで、展示で言葉の壁はあまり感じなかったです。
次はもっとアプリの使い方に対しても説明加えて、リモコンコントロールする器具も、より家で使うことを意識できるようなものを持っていって、自分の家ですぐ使えるだろう感を演出していきたいと思っています。
(じっくり動画を見てる)
男女の差もあまり感じなかったかな。理系やものづくりは男性が多いというのは、僕の同世代の日本の特徴なのかしら。
まったく関係ないけど、ウクライナから留学して来た人は絶世の美人だった。写真撮りたかったぁ
今回は出展の目的として、商用販売への足がかりを何か見つけるというのが隠れた目的でした。例えば、ケースの相談したいと思ってたらその相談もツテができたし、製品化へのデザイン(準備の進め方)なども含めて相談できる会社の人もツテは出来ました。深圳はこういうところは本当に便利。
でもラズパイ3Wの価格は日本のほうがずっと安くてびっくり(一人一つしか手にはいらないけど)
悩みとか迷いとか その1作品の方向性 商用化?
さて、さて、さて、本当に自分自身はこの作品に対して、商用の価値を感じているのだろうか?たぶんこれは半分YESで、半分NO。つまり、うまく物事を進めることができて、運も味方すれば商用価値を出せると思っている。でも、相当コミットして取り組まないと当然無理だろうなとも思っている。
カスタマー候補見つけるための営業も必要だろうし、カメラ映像に関するプライバシーへの配慮なども必要。ホームユースという完全なC向けではなく、介護施設や、ホテルなど、設置状況がコントロールできるところで機器の固定やセットアップがしっかりできるところが現実的だろう。また、介護用途などで考えるのであれば、他者への通知機能といった部分も必要だろうから、ターゲット市場にあわせた機能調査活動が必要だろう。
カスタマー候補が見つかって、協力してくれることになったとしても、ハードウェア部分の改良というか、まったく自分たちにはノウハウがない製品化を進めるため、機器としての信頼性をあげるために、設計、デザイン、その他諸々やらないといけないだろう。高いラズパイ2か3のまま売り出すなんて出来ないだろうしなあ。少なく見ても、自分たちの食べていくお金を計算せずに、1000万円以上はこれから投資しないと売り出せるものにはならないだろう。。。Neochiソフトウェアを売るだけならこんな苦労はないだろうけど。
Alexaなどの、スマートスピーカーと比べられることが多かったし、「言葉でできないの遅れているね、このボードつかって言語で操作しようよ」といったことを来場者からよく言われた。確かにスマートスピーカーにカメラが付いたら、ハードは自分たちで作らなくて、それ向けのAPPとか作ることになりそうだなあ。
MakerFaireで去年来てくれた深圳で製品化支援会社を営む人が我々を覚えてくれていて、挨拶してくれたのだけど「素敵なプロトタイプだけど、まだ去年と同じままなの?いそがないの?」と言われたのは結構ズキッと来た。深圳で本気で成功しようとしている人は、1年間、同じプロトタイプ状態のままなんて信じられないのだろう。
でも、Hardware is soooo Hard to success なんだよね。ちょうどこの時期の前後に、リクルートがハードウェアスタートアップと製造ラインや支援企業をつなげるHWTrek事業から撤退したり、Makerを支援する米TechShopが倒産したり、シェアサイクルのbluegogoが倒産したり。。。bluegogoはHardwareじゃないけど。ともかく、このNeochi一本に、現職を投げ出して、貯金も叩いて、全てをかけて頑張れるか!?と言われると、今はその準備は出来ていないというのが正直な気持ち。
悩みとか迷いとか その2 趣味としてのMakerになれていない劣等感
で、もう一つの悩みが、自分とMakeイベントとの関わり方が、なんだかしっくり来てないんじゃないかという考えがモヤモヤもや。商用化できなくたってMakeは楽しいのだから、引き続きアマチュアとしてイベント参加を楽しみたい。
でも、今現在、自分がどんなふうにこのイベントと関わっているかを振り返ってみると、まず、各Makeイベントの情報を入手して、チームの人に興味を持ってもらい、そこから参加申請や主催者との窓口をしながら、Neochi-Solverの追加機能などのアイディア出し、動画やホームページ等の展示資料の作成・更新や、展示準備、旅程の作成や手配、そして会場での展示。こういった部分で、自分自身はチームへ貢献できていると思う。特に実際の展示説明時は一生懸命やってるし責任感もある方だと思う。選んでくれた主催者の為にと勝手に意気込み、朝時間通り展示準備するし、3日目に大雨でブースが水没しても、主催に連絡して、早々と撤収してた隣のブースで展示続行するとか、もうちょっと肩の力抜いてもよいのかもだけど変な責任感はある。こういった貢献をもっともっと洗練させていくこともできると思う。
でも、これってMakeの中心そのものではないなあ。と思ってしまう。もちろん必要なことだし価値があるものだと思うけど、これだけに満足出来なくなってしまった。これだけでは、Makeイベントに参加するのが好きなだけでMakerではないな。イベント出展へのDeploymentだけど、作品に対するDeployをしていない。このままではダメなんじゃないか、う~ん。ダメな気がする。といって、イベント主催者側になりたいわけでもない。いつまでたってもこのままだと、電子工作は教科書の最初のLEDチカチカができるだけ。プログラミングも最初の方の課題を答えをコピペしながらできた気になるだけで、そこをぐるぐる、周り続けるだけな気がする。
僕はやっぱり、自分で何か作りたい、作れるようになりたいんだ。と思う。
今の自分の果たしている役割は引き続き必要。自分の今までの職業経験としても、比較的多分慣れている役割だし。また、今のチームやMPSコミュニティはすごく、恵まれていて、スキルのあるソフトウェアエンジニア、コミュニティ維持やイベント運営の達人、そして我々のコミュニティ内には、ハードウェア部分についての知識を補充してくれる人もいる。
そういう中で自分の相対的に得意なことで貢献できることは嬉しい。でも、もう一歩進みたい。その進む方向は、自分が、「今現在得意な方向」ではなくて、モノそのものを実装する力に向かいたい。
今までも、このプロジェクト内外問わず、実装を学ぶ機会や挑戦する機会は何度となくあったはずで、なんでそれを活かしてこなかったのかといえば、出来るようになるには努力が必要だからなんだと思う。
ん~、努力という言葉だとあまりしっくり来ない。もうちょい分解すると、
時間をかけて、なんども失敗して、できない自分にがっかりして、調べて、人に聞いて、また試して、またできなくてがっかりして。もしかして、新しいものを学習する力がどんどん衰えているんじゃないかと怯えて。誰もそんなこと気にしてないだろうけど、出来が悪くてセンスない奴だと思われるのがかっこ悪くて、そもそも時間を学習に割り当てない。だからコミットしない。
つまり、興味はあるけど、得意ではなかったし、我を忘れるほど好きな事でも無いんだろう。
なんだか、これ、自分の今までの仕事や勉強や、他の趣味にも当てはまる気がする。割と早く適応するし、表面的な理解は早いけどすぐ頭打ちしてしまう。というか、もう一歩進む努力をせずに快適、安全圏でとどまり続けていることが多い。
いや違うか、努力すれば、自分は、他者よりも優れた、何者かになれると未だに思っている驕りというか、でも、何者にもなれない自分に気づくのが怖いというか、でもホントは気づいているのを隠しているのか。自分の当事者は自分以外いないのに、斜に構えて当事者意識が欠けているような。
でも、やっぱり何者かになりたいんだよね。
すげーなと思われたいし、お金ももっともっと稼ぎたい。もういい加減、中年期を迎えるというのに、子供を育てたいとか、家族を持ちたいとか、きっとそういう気持ちが早く芽生えていいと思うのだけど、興味の中心は、やっぱりまだ自分。
いや、いや、違うな。これも。
ゼロから最初の一歩を踏み出すのは、ちょっとの勇気でできる。そしてゼロと比べれば明確に違いが分かりやすい。でも、今は、一歩目から二歩目を踏み出せていないわけじゃない。そもそも、二歩進んだら何か一歩目と景色が変わるほど進歩していると思っているのが間違いなんだ。そして、歩を進め続けず、止まっていると後退する。他者比較すれば相対的に、学習したものを忘却するという意味では絶対的にも。
僕はやっぱり、自分で何か作りたい、作れるようになりたいんだ。と思う。そして、それを多くの人に喜んでもらう経験がしたい。その最初の一歩は踏み込んだ。そして、二歩、三歩くらいは踏み出している。間違っていたのは、二歩、三歩進めば、できるようになると思っていたことだ。寝ても覚めてもそればかり考えてしまうような好きなものでも無い限り、一万歩なのか一億歩なのかわからないけど、方向を決めたら、覚悟して、時間とお金を割いて、手と頭と足を動かし続けるんだ。
健康的に活動できるのが25-75の50年間だとしたら、体力も知的吸収力も高くて基礎を作れる最初の1/3を、ヌルッと過ごしてしまったことを悔いるより、あとの2/3どう過ごすかを考えたほうがよいよね。
と、まあ、なんだかすこしスッキリした気持ちになったところで、次は来年2018年1月21日から、Bangkok mini Maker Faire 2018に出展しに行くぞ~~~~~~!