CEATEC2016で妄想する真のVirtual Reality 指数関数的な発展の先にある未来について
CEATEC 2016に行ってきました。
CEATECは今までの家電の見本市という立ち位置からCyber Physical Space(CPS)というキーワードの基に今年から再編されています。CPSというのは、IoTによって集まった多様なデータ・情報が分析・再利用され現実世界にフィードバックされる世界を表すようです。
このコンセプトに従い、展示もCPSが実現される場としての社会(車関連中心)、家(テレビやエアコンなど)と、CPSを実現するための、AI技術、センシングなどの技術といった感じで構成されていました。
まさに日本版ガートナーのハイプサイクル2016の黎明期から過度なピーク期のところにあるサービスが一同に集まっていてミーハーな自分にとってはどれもじっくりと見たくて、とても一日では、見切れない内容でした。
出典:ガートナー (2016年9月)
展示の中で一番気になったのは、、、IoTとか全く置いておいて、実はNHKが展示していた8k放送と本当に紙のようにペラペラな大型ディスプレイと慶応大学の研究室が展示していた触角を再現するハプティクスデバイスです。
・NHKの大型のペラペラディスプレイ
・ハプティクスデバイス
肝心の物の写真撮り忘れたけど、砂利道の感覚やゴムマットの感覚がハンドルを通して再現されていました。
指数関数的な発展がもたらすもの
世の中にはこれ以上、解像度を上げても意味がないだとか、コンテンツがないだとか、至極まっとうな意見がありますが、個人的にはもっともっと解像度が上がってほしいと思っています。
Googleの先進的?科学者で、シンギュラリティを唱えるレイ・カーツワイル氏が言うように世界には直観的な直線ではなく指数関数的に発展している事が多くあります。
その1つに、演算能力、データストレージ容量、ネットワークの通信速度があります。総務省の平成26年の「ICTの進化が促すビッグデータの生成・流通・蓄積」を見るとCPU、ストレージ、ネットワークの通信量が指数関数的に進化していることがわかります。
参考:総務省の白書「ICTの進化が促すビッグデータの生成・流通・蓄積」 図表3-1-1-3 ハードウェアの進化
(画像は縦軸を指数プロットしてるからグラフが直線に見えます)
今の映像デバイスや音声デバイスの映像の解像度や音の周波数は、人の視力や聴力を参考にしているため、確かに人が認識できる限界の解像度があればもうその上を作る必要はないというのは一理あります。しかしながら、低音の周波数が生み出す空気の揺れなどを周波数を広げれば再現できるでしょうし、もっともっともっともっと映像の解像度を上げていくと、映像からその場の音声を再現することがMITの研究で証明されたりしています。
また、映像に移っている物の触角や温度なども解析して、ハプティクスデバイスを通して再現することがどんどん可能になっていくでしょう。こうした超高解像度、その他情報が付与された大容量データを演算、保存、通信できると何ができるでしょうか。
そう、つまり、膨大な演算能力、データストレージ、ネットワークの通信速度があれば、現実の”物質"世界を解析して、その”本質”を抽象化して取り出して、他の空間で”実質”再現できるわけです。
3Dプリンタや3DCADなどデジタルファブリケーションの進化もこの文脈でとらえると、モノづくりが便利になったとかMakersムーブメント等よりもさらに大きなインパクトのある徴(しるし)としてとらえ直せそうです。
今回のCEATECでは、IoT・CPSというコンテクストの中の技術として取り上げられている、センシング技術や大量のデータを処理する技術や分析する技術(含むAI)も、現実の物質世界を解析するためのリソースだと言えます。
本質から実質を再現するVirtualReality
また、2016年は「VR元年」と言われることもあります。実は、VirtualReality(VR)というと、『仮想現実』と日本に普及している訳では思ってしまいますが、「Virtual」とは「実質」という意味が本来の意味です。
つまり、VirtualRealityというのは視覚的に3次元に見える仮想空間をつくることを目指しているのではなく、物質世界を解析して本質を抽出し、デジタルの世界に実質的な現実を作り出す試みといえるのではないでしょうか。
こんな妄想をしながら、最近のIoT、AI、VRなどのブームを眺めると、ひょっとして本当に、物質的な現実を、他の空間で再現できるようなそんな世界ができるのかもと、さらに妄想が進んだCEATEC2016でした。
はい、すいません。。。落合陽一先生(@ochyai)大好きです。すべて落合先生の受け売りです。「魔法の世紀」おもしろいです。おすすめの本です。