小説【351字】電柱の記号
『電柱の記号』
路地裏……私は一本の電柱の前で足を止めた。
そこに刻まれた不思議な記号が気になった。
写真に収めようとすると、ファインダーの中で記号が動く。
気づけば、街中の電柱に同じような記号が浮かび上がっていた。
記号を繋ぐと、巨大な魔方陣のような模様が浮かぶ。
その瞬間、街の風景が歪み始める。
建物が溶け、人々が消え、電柱だけが残る。
そこへ、もう一人の私が現れる。
「これが本当の姿」と告げるもう一人の私。
「電柱は異世界への扉。あなたもその管理人の一人」
記憶が蘇る。私は電柱の守護者……。
最初に現れた記号に触れる。
その瞬間、全てが光に包まれ、目が覚めた。
元通りの風景。だが、手帳には見慣れない記号が書かれていた。