小説【351字】異星の瞳
『異星の瞳』
雑踏で私は足を止めた。
通りすがりの人の瞳が、一瞬だけ輝いた気がして。
その日から、人々の目が気になり始めた。
瞬きの合間に、異質な光を放つ瞳。
ある日、鏡を覗くと、私の瞳も変わっていた。
虹彩が渦を巻き、宇宙が広がっているかのよう。
パン屋に入ると、店主が私を見て微笑む。
「待っていました」
その瞳も、宇宙を映していた。
裏路地に案内され、そこで真実を知る。
私たちは地球外生物。記憶を消し、人類に紛れていたのだと。
「さあ、目覚める時です」
もう一人の私が現れ、告げる。
「地球を去るか、このまま人間として生きるか」
私は誰なのか。これは現実か、宇宙からの夢か。
選択を迫られる。地球か、故郷の星か。
そして私は、自分の瞳を見つめ直す。
その瞬間、全てが光に包まれ、目が覚めた。
……枕元には見知らぬ装置が置かれていた。