No.237【核のごみ最終処分場誘致問題に関する対馬全島漁協青壮年部等漁民と対馬市議会議員有志との意見交換会】
去る5月26日㈮令和5年度対馬市漁協青壮年部定期総会が上対馬漁協大会議室で開催され、総会終了後16時から標記意見交換会が同所で開催され、1時間半に及び熱心なやり取りが行われました。
(推進派:春田議員、小宮議員。反対派:大浦議員、坂本議員、脇本議員)
推進派議員からは、最終処分場建設は困難なので、文献調査に伴う交付金で対馬の活性化を図りたいと、実にストレートな交付金が目当てであるとの発言があり、漁師さんたちは呆れられ、大いに憤慨なさっていました。
以下、意見交換会の概要をご報告申し上げます。
〈漁師A〉
誘致推進の市議は、文献調査まではOKとの考えなのか、最終的に埋めることまで賛成なのか聞きたい。
〈漁師B〉
誘致推進派議員の推進理由が聞きたい。
《小宮議員》
概要調査に入るには知事の同意が必須であるが、大石長崎県知事が「今のところ推進の立場にない」と(記者会見で)公言された以上概要調査に入るのは困難。
従って、文献調査のみで良い。それに伴う交付金で対馬市が潤う。議会で新たな基金条例を設け、島の活性化を図る[注1]。
また、概要調査の前に有権者の50分の1の署名で住民投票が必ず実施される。そこで、次に進むかどうか決めれば良い[注2]。
法律上(⁉️🤔)、文献調査は全体の流れとは別物。概要調査からが(最終処分場建設)計画となっている(⁉️🤔)。
〈漁師C〉
文献調査に伴う交付金活用と言う前に、今ある予算で取り組め。
《小宮議員》
自主財源が29億円しかなく、それでやり繰りするのは厳しい[注1]。
〈漁師D〉
概要調査前ではなく、文献調査に入る前に住民に賛否を問うべきだ。国は対馬を(最終処分場候補地として)狙っている。知事の同意が無ければ概要調査に進まないというが、国会で法律を変えてでも推し進めるのではないか[注3]。
長崎新聞(ながさき時評川口幹子氏の論旨)のように全国の離島を対象とする考え方もあって良いと思う[注4]。
《小宮議員》
対馬島民全部で決める。住民投票は(有権者の)50分の1の署名を集めれば必ず実施される[注2]。文献調査による交付金を受け取り、その調査期間2年間で、活性化策を考えれば良い[注5]。
〈漁師C〉
文献調査を受け入れれば住民の分断が更に進む[注6]。
〈漁師E〉
既に分断は始まっている。これまで、おっどん祭には、商工会青年部から依頼を受けて漁協青壮年部は子どもたちのために協力して来た。商工会のこの問題に関する一連の動きは納得がいかないので今後は協力したくないとの声も出ている。
《大浦議員》
北海道の2自治体では、文献調査が実施されているが、既に地質的に不適であるとの結果が出ている[注7]。国やNUMOは対馬に狙いを定めている。
《春田議員》
特別委員会を設置すべき[注8]。
文献調査の受入れ即建設ではない[注9]。
(概要調査に入る前に)最終的に住民投票をして決すべき。
心配されている風評被害について、文献調査が既に開始され2年半以上経つ北海道の2自治体からは、1件しか報告がなされていない。
〈漁師F〉
風評被害であると認められるハードルが高いからではないか?
《坂本議員》
6月議会で決定すべきではない。専門委員会を設置すべき。
《脇本議員》
私は、対馬への誘致反対でもあるが、根本は現在地層処分すること自体が誤った政策だという立場だ。
〈漁師F〉
春田議員はこれまでこの問題について中立だと言っているが、この際明確に賛否を表明してはどうか?
《春田議員》
私は推進派です。ただし、特別委員会を設置して、勉強していく。10年間議員をやって来て、人口減少対策、少子化対策にも取り組んで来たが上手くいかない。人口減少抑制の起爆剤としてこの文献調査に伴う交付金を活用したい。
〈漁師C〉
10年間議員をやって来て、その結果がこの文献調査応募による活性化か?その程度しかないのか!?交付金をもらい適地とされれば、市は逃れられないと言うのは子どもでもわかる。国が逃すわけがないと思う。
《春田議員》
その程度の頭しか持ち合わせておりませ
ん[注10]。
《小宮議員》
増田レポートには、消滅都市予想ランキングがあり対馬は70位台で大変厳しい評価を受けている[注11]。
〈漁師F〉
坂本議員は、上対馬漁協参事も経験しておきながら推進派だと聞くが何故か!?
《坂本議員》
漁協存続のための一般質問も行う等、漁協あっての私だと思っている。この誘致問題については、私は賛成しない[注12]。
〈漁師F〉
組合長の見解を聞きたい。
《八島組合長》
組合員の意向通り、組合としても誘致反対である。
以下は、意見交換会での未発言も含めた脇本の私見(解説)です。👇
[注1]
対馬市にはいわゆる経済活性化にも活用できる約50億円の基金があるが、上手く活用できていない。そんな中、2年間で最大もう20億円の交付金が来たとしても、活性化へ向けて上手く活用できるか疑問だ。もちろん、市長だけでなく私を含む議員の責任でもある。
[注2]
対馬市には住民投票条例がないため、必ず実施される保証は無い。長崎市のMICE建設可否をめぐり有権者の50分の1の署名が集まったのに長崎市長が住民投票を拒否した例もある。
[注3]
国は知事の意見を聞く(十分に尊長する)と記載があるが、例え知事の同意が無くとも国会で国やると決めればやるとの経産大臣答弁もある。
[注4]
👆を゙踏まえた長崎新聞のながさき時評(川口幹子論説委員)👇
👆私は、ながさき時評での川口幹子氏のような地層処分を前提とした考え方とは異なり地層処分は誤った政策との立場です。
しかし、南鳥島の地層が日本で最も安定しているのは、事実のようです。
それなのに、特にNUMOが南鳥島を最終処分場にすることについて反対しているとの噂があります。私は、組織の本性の現れではないかと勘繰っています。私が思う組織の本性とは、如何なるものよりも組織の存続を優先するというエゴです。NUMOの使命は最終処分場候補地の決定とその建設及び管理?です。中でも最も人員を要するのは候補地選定です。つまり、候補地が決定した暁には、NUMOの存在価値はほぼ無くなるので、NUMOは南鳥島に決定することを由としていないのではないかと、私は勘繰っています。
[注5]
既に文献調査が実施されている北海道寿都町では、昨年水害があった際に、文献調査を巡り激しい町長選を゙戦った相手候補がいる避難所に町長が見舞いにもいかないといったような、大きなしこりが残っている。
[注6]
文献調査が始まると、NUMOの事務所が調査自治体に設置され概要調査受入れに向けた理解醸成活動が始まる。国の意図に関係なく、その理解醸成活動により住民の分断が加速されることは想像に難くない。
[注7]
後でお聞きした大浦議員の根拠は、5/19㈮16時から開催された『核のごみと対馬を考える会主催の市民公開講座』で、講師の末田一秀氏の、「古平町のトンネル崩落事故から寿都町及び神恵内村の地層が脆弱であり、最終処分場候補地として不適だろう」との推測を基にした発言であったらしい。しかし、発言前後の文脈からは『文献調査の結果』が候補地として不適と取られかねないので訂正を求めた。
文献調査によると「明らかな不適地はなかった」というNUMOの見解自体が問題があるとの指摘をむしろして欲しかった。
[注8]
5/19㈮に開催された『対馬市商工会定期総代会』終了後、小宮議員(同商工会理事を兼任)がマスコミの質問に答える形で発言した「請願は6月定例市議会で常任委員会へ付託され、同議会最終日に採決したい」との思惑とは異なる。
[注9]
対馬市2ヶ所で昭和50年代には秘密裏にボーリング調査が実施されている事実があることを忘れてはならない。対馬市が文献調査に応募するのは、他の自治体が応募するのとは事情が異り、文献調査応募は限りなく候補地と決定されるのではとの危惧は払拭できない。
[注10]
このように開き直ったかのような発言は、同じ対馬市議会議員として恥ずかしい。
小職は、6月定例市議会一般質問で現在対馬市で保有する基金でも、様々な活性化策に取り組めることを提案する予定です。
[注11]
文献調査応募について、賛成はしないというが、反対するとは言っておらず、採決の際に退席の可能性を残す発言なのかもしれません。