Vol.10【H24年福岡~長崎~武雄出張活動報告(11/7~11/9)】

【はじめに】
*1)今年9月の定例議会で一般質問を行った海岸漂着ゴミ問題については、議員に当選する以前から*2)NPO法人対馬の底力主催のボランティア活動に参加する等問題意識を持っていた。平成22年8月峰町串の*3)漂着ごみ前処理施設完成記念式典で公益社団法人日本マリンエンジニアリング学会海洋浮遊ゴミの処理システムに関する調査研究委員会(以下、【委員会】)委員の生駒氏と初めてお会いして以来、同学会員メンバーにはご指導ご鞭撻をいただいている。

本県選出の谷川代議士をはじめ自民公明両党の国会議員のご尽力により、いわゆる<海岸漂着物処理推進法>が平成21年7月に制定され、同法を根拠法とする<地域グリーンニューディール基金>(以下、GN基金)が設立され、平成22年度から2年間県を通して各自治体に基金の配分がなされた。

私は、*4)平成23年3月定例議会一般質問で初めて取り上げてから何度もこの問題について取り上げてきた。同年5月に上京しこの問題に熱心に取り組んでいらっしゃる公明党の遠山代議士に法と基金要綱の乖離によって生じている現場の問題点を説明し、即国会でも質していただいた。

また、翌6月には、【委員会】のお誘いで三重県のロート製薬伊賀神戸工場まで廃プラスチック油化処理装置の視察に伺った。その後、同年9月には【委員会】のご尽力で、その装置を小型化した可動式油化装置を神戸大学附属練習船「深江丸」で厳原港まで海上輸送いただき船上公開実験の実施と、同港岸壁において熱した食用油が入った鍋に発泡スチロールを投入するという簡単な減容積化実験が実施された。その際見学にいらした長郷市民生活部長は、漂着ゴミの海上輸送費削減に効果的であると、大変興味を持つこととなる。

続いて、*5)長崎県海岸漂着物対策推進協議会会長の糸山景大長崎大学名誉教授を大学に訪ね最初の一般質問作成に当たりご指導いただいたご縁で、*6)『ながさき漂着ごみサミット2011(10/22~10/23)』へ参加させていただき、県内各地で漂着ゴミ問題に取り組む自治体や団体・学生と情報交換を行った。

更に、明けて*7)平成24年1月の会派政務調査では、沖縄県の海岸漂着ゴミ問題への取り組みについても官民両面にわたって調査研究を実施した。

一方、法と基金要綱の乖離は解消されないままGN基金は平成23年度で打ち切られため、<海岸漂着物処理推進法>の生みの親とも言える谷川代議士が*8)同年4月に来島された際に、市担当者とNPO2団体の代表者を同席いただき、GN基金の復活並びに法と基金要綱の乖離は解消にご尽力賜るようお願いした。

9月に【委員会】から、地元の*9)NPO法人森里海再生協議会が事業化を計画している漂着流木の木炭化の廃熱を活用し、漂着発泡スチロールを溶かして小さくする漂着ゴミ処理システムをご提案いただいた。島内で処理不能な廃棄物を北九州まで海上輸送している対馬市にとっては、一石二鳥どころか三鳥四鳥にもなる夢のような構想だと思われる。

今回は長崎市で開催するこのシステムを主たる議題とした臨時委員会への参加要請が【委員会】から私にあり、対馬市から4名と糸山氏にも参加要請をしたところ快諾を受け、一緒に出席いただくことになった。

今回の出張は、臨時委員会前日から福岡空港経由で本土入りした。先ずは、対馬市福岡事務所を訪問し平山所長と九州以外に対する対馬のPR戦略について懇談した。夜はフェイスブック(以下、FB)で再会した高校時代の同級生と、海岸漂着ゴミ処理システムについて情報提供をいただいた。臨時委員会翌日は武雄市を訪問し、FBを活用した通信販売のノウハウと、それについてのレクチャー方法のノウハウを調査研究して来たので、あわせて報告する。

【11月7日午後7時~】
〔訪問先〕居酒屋拓(博多スターレーン隣で対馬西穴子が名物)
面会者:FBで対馬の漂着ゴミ問題に相談にのってくれた高校の同級生

《内容》上記面会者と対馬市における漂着ゴミ問題に関する現状認識の共有を図り、彼の人脈紹介を受ける。

私が11/2のFBに対馬市が海岸漂着ゴミの処分で困っている旨をアップしたところ高校時代の同級生から、以前勤務していた会社で発泡スチロールの減容積化を担当していたとのコメントが入った。近々そのことで出張するので相談にのって欲しいとお願いした。

早速、対馬市の漂着ゴミ問題に関する資料をメールで送付したところ、当日は貴重な資料を沢山準持参いただいた。懇談の折、私の考えに共感いただき、後日改めて具体的な相談をすることになり、その上で北九州市の研究者(彼の小中学校同級生)を紹介していただくことになった。

【11月8日午後1時半~】
〔訪問先〕長崎総合科学大学シーサイドキャンパス環境・建築学部3階会議室
出席者:【委員会委員】三原伊文(大島商船高専)生駒信康(㈱アキト)池上国広、村上信明(長崎総合科学大)金子憲一(大阪府立大)利光(㈱利光設計)片野貴史(㈱ロート製薬)
【委員外】糸山景大(長崎大)長郷泰二(対馬市役所)島居邦嗣、山本輝昭、脇本啓喜(対馬市議会)

《内容》対馬市における海岸漂着ゴミ処理システムの構築に関する情報交換。

1.開会挨拶(三原副委員長)
本日の臨時委員会の趣旨説明と資料の確認が行われた。

2.対馬市代表挨拶(対馬市議会島居副議長)
従来からの【委員会】の対馬市における海岸漂着ゴミ問題に関する様々なご提案や取り組みに対して御礼を述べ、今回の発泡スチロール減容積化装置に対して大きな期待を寄せており、一層のご支援ご協力をお願いされた。

3.出席者自己紹介
4.【委員会】活動状況報告(生駒幹事)
 【委員会】設立趣旨から発足に至る経緯と、現在までの活動状況、平成23年の公開実験で減容積化が注目され今日の会議の開催となったことが報告された。

5.長崎市のごみ減量化に向けた取り組み報告(長崎大糸山名誉教授)
海岸漂着ゴミ削減に向けた啓蒙活動の一環として長崎市の中学生向けに糸山氏が作成された教宣資料に基づく報告がなされた。

廃棄物削減に向け全国的に展開されている「3R運動」について説明された。
①Reduce(削減)②Reuse(再利用)③Recycle(再資源化)という従来の3Rに加えて、糸山教授は①に包含されていた「Noレジ袋」等のRefuse(拒否)を強調した4Rとして紹介された。①②③と進むにつれて実施にはより多くのエネルギーが必要とされるが、Refuse(拒否)は使用されていたエネルギーがそもそも使われなくて済むため大変重要であると推奨された。また、増加する一方であった長崎市の廃棄物を最終処分場の定点観察を通じて削減意識の啓蒙を図る等の取り組みによって、全国的に多い部類に属していた長崎県の一人当たり排出廃棄物量を今では全国でも有数の少量排出県に生まれ変わらせたとの報告がなされた。

6.対馬市の漂着ゴミの現状と対策(対馬市役所市民生活部長郷部長)
平成22年度から2年間【GN基金】約8億円を投じて漂着ゴミをトン袋換算で約25,000袋(㎥)回収及び処理を行い美化に効果があった。しかし、【GN基金】は平成23年度で打ち切られ予算不足で困っていること。回収ゴミの大部分は北九州まで陸海長距離輸送を強いられており、輸送コストは13,000円/トン袋(平成22年度実績)と高コストであること。主な発生源である韓国に向けた啓蒙活動の一環として、韓国大学生と市民による海岸清掃ボランティア事業を長年継続実施していること等の現状報告がされた。

また、環境省は来年度から漂着ゴミ問題で苦慮している自治体を十数か所に絞込み【GN基金】類似の予算を復活させる予定であったが、ほぼゼロ回答となる見込みであり、国は法に規定された責務を怠っていること。対馬市がイニシアチヴを取り、類似自治体に呼びかけて、より現実に即した予算の復活を国に要望する準備を始めていること。改正離島振興法や国境離島に特化した新法制定要望のなかにも漂着ゴミ関連予算の充実を盛り込んだこと等が報告された。

最後に、膨大な輸送費が最大の懸案事項であるため、発泡スチロールの減容積化による大幅なコスト削減についての期待を表明された。

7.5~6質疑応答
Q.1>漂流ゴミについては海外由来が多く、中国由来が約3割であれば韓国のみならず中国向けの啓蒙活動も必要ではないか?
A.1>韓国に対する啓蒙活動は、当時の交流員の尽力や定期航路運行会社の厚意、参加大学生の単位認定採用等好条件が揃って可能となったが、中国とはパイプができていない上に招聘費用等が嵩む等今後の検討事項としたい。

Q.2>対馬市の漂流ゴミ対策上最も問題となっていることは何か?
A.2>回収についても問題点は山積しているが、最も大きな問題は処分費用の低コスト化、とりわけ発泡スチロールの輸送費用の低コスト化である。発泡スチロールゴミの減容積化は輸送量の合理化に大きく貢献すると思われ、その装置の実用化が最優先課題であろう。(参加者の認識が一致した)

Q.3>現在、峰町串の漂着ゴミ前処理施設は順調に稼動しているのか?
A.3>想定以上のゴミを回収したため処理能力を遥かに超えている。また、精製されるスチレン油は、足湯ボイラー用として活用していたが、煤が大量発生し配管故障が相次ぎ、改修を行い対応している状況である。椎茸乾燥機等その他の用途にも活用したいがメーカー保証の問題で利用できていない。

8.発泡スチロール減容積化装置の設計(㈱利光設計利光社長)
市民から回収した廃天ぷら油を沸かし、そこに漂着発泡ポリスチレンを投入すると*10)壱拾理論上は約1/10~1/50に体積が減容化される。その際排出されるガスは無毒だが、悪臭が出るためダクトを通してバクテリアを入れた土壌に流し込み脱臭する。この脱臭方法も鹿児島で魚介類残渣処理で既に実用化されている方法だが、発泡スチロールの脱臭に効果があるかは実証実験の必要がある。

どの程度の規模の装置にするか設計条件が明確でないので詳細設計は出来ないが、1㎥の発泡スチロールを減容積化する装置を製作すると仮定すれば1台当たり約100~150万円程度で製作可能であろう。

【委員会】から、地元のNPOが流木を燃焼させて木炭を製造する事業を検討しているとのことで、それを熱源として利用できないかとの提案があったため、それに副った設計を考えている。しかし、たっぷり塩水を含んだ流木をそのまま燃やすと有毒なダイオキシン等が発生する。その対策として好塩菌として知られるEM菌を流木に散布することで脱塩する。この脱塩方法は、仙台市のEM菌による塩害対策実証実験場で実証されている。熱源は木炭化装置からの排熱利用を検討しているが、これに限るものではない。

9.減容積化装置に関する質疑応答
Q.1>対馬の道路事情では、軽トラックに減容積化装置を積載して漂着ゴミの回収現場で処理することが理想的だが可能か?
A.1>重量的には十分可能である。但し、脱臭装置は別途軽トラックで搬送しジョイントさせる。減容積化には家庭から排出される天ぷら油を利用したい。対馬市では廃油を回収しBDF事業を既に開始している団体も存在する。
減容積化すれば、計算上は2トントラック4台分が軽トラック1台分で積載可能となるであろう。(後日調査:現在対馬では通常13トン車に31袋積載)

Q.2>漂着発泡スチロールには不純物が不着しているが、分別は不要なのか?
A.2>植物油を190℃~200℃に保った中で作業すれば、不純物は分離され液状化したスチレンを空気中に引き上げ冷却することにより再度固形化する。
なお、使用した廃てんぷら油は最終的には油化の原料として使用でき、むしろ高品質化が図られる。

Q.3>漂着流木を脱塩するにはEM菌等を利用する必要があるのか?
A.3>流木は屋外曝露で雨水による除塩が認められ、その場合は燃料資源として使用しても問題はないとの実験結果もある。実証実験の必要がある。

10.小型油化処理装置 (㈱ロート製薬片野)
ロート製薬は従来産業廃棄物として処理していた自社返品商品容器等を、熱分解炉技術を通して再生エネルギー化している。対馬市が保有する油化装置は発泡スチロールのみの処理装置だが、ロート製薬の保有する装置はその他のプラスチック製品であるポリ容器やナイロン製魚網等の漂着ゴミも処理が可能であり、しかもむしろ油の質は向上する。また、ポリオレフィン系の添加によりスチレン油の改質は可能である。すなわち、減容化したものとポリエチレン系のゴミを前述の可動式油化装置に投入することで、A重油にも優る良質の油を抽出することができる。

現在、油化装置自体は軽トラック積載可能なまでにコンパクト化されたが、排出ガス処理装置までを一緒に搭載できるまでには至っていない。

11.油化処理への風力エネルギーの利用について(大阪府立大金子教授)
金子氏がオーハツ㈱と共同開発した小型風力発電装置『垂直軸型風力発電装置』の対馬での有効活用についての提案がなされた。

風力エネルギーを油化処理に必要なエネルギーとして蓄電し、それを電気自動車に充電し、その電気で現地油化処理装置の電源とする可能性。小型化かつ低コスト化を施したため大量設置し、代替防風林としても活用可能。猪・鹿の農作物食害防衛の電気柵バリヤーの電源と支柱を兼ねた風力発電の設置構想。等等、強風・突風時の稼働率を飛躍的に向上させる新技術FGV(フレキシブルガイドベーン)を装着することで、活用用途が拡大できることが報告された。

12.質疑応答と学会委員会への要望
Q.1>減容化温度と減容化状態の関係を把握するための実験が出来ないか?
A.1>ロート製薬の設備で実験可能であり、実験の準備を検討する。

Q.2>油化処理油の用途については足湯のほかの使用用途は何が適当か?
A.2>椎茸乾燥を考えている。スチレン油の使用を椎茸乾燥メーカーに打診したところ燃料の品質不良で不調となった場合保証できないとのコメントを受けた。神戸大に委託して市営渡船の燃料助剤としての使用を検討した方が良いとの提案に対し、市役所は検討する価値ありとした。

Q.3>代替防風林構想、電気柵の電源利用についての対馬市参加者感想は?
A.3>風力発電は水平軸型プロペラ方式しか知らなかった。風向に影響されない垂直軸型から電気自動車へ、猪・鹿の電気柵への電源活用の双方とも興味深い。

13.長崎総合科学大学の紹介(長崎総合科学大池上工学部学部長)
大学パンフレット“やりたい夢 第一主義”に副って大学の紹介がなされた。

14.バイオガス化実験施設見学(長崎総合科学大村上教授)
臨時【委員会】閉会後、同敷地内にある実験施設へ移動し、各種装置を見学しながら各々の装置で行う実験について説明いただいた。

村上氏が取り組んでいる『浮遊外熱式高カロリーガス化法』は、粉体バイオマス(固体)を原料とし水蒸気によってタールをほとんど含まないクリーンなガスを作るという世界に類例のない方式として注目されている。長崎市西海町に250KWの商用機が設置され稼動している。

現在一般論として、バイオマスエネルギーの普及には以下のような課題があげられている。
①コストの点では、現状では化石燃料に太刀打ちできない。国としての大きな方針・優遇措置が必要である。
②廃棄または未利用バイオマスを原料とする場合、あるいは離島等特殊な条件の場合には、現在でも成り立つところがあり、まずそこから広めるべきだ。
③今後、化石燃料価格が上昇すればコスト的にも成り立つ場合が広がる。
④将来的には化石燃料の代替エネルギーとして頼っていかざるを得ない大切なエネルギーであるが、実用化には研究時間と費用が必要。

【11月7日午後2時~】
〔訪問先〕対馬市福岡事務所
面会者:所長平山祝詞氏、齋藤理沙氏、

《内容》九州以北の対馬市PRについて

渡福数日前に東京対馬会役員の先輩から、東京神田の料亭や居酒屋に上対馬の水産物を漁業者から直送できるようになったので、対馬産水産物使用をPRできる支援をしてもらえないかとの依頼が私にあり、平山所長に相談したところ即日対応いただき先方に喜んでいただいた。その御礼と今後九州以北とくに首都圏を中心に同様な支援を拡げていけないかについて懇談を行いました。

対馬の零細水産加工業者が大規模なシーフードショーに出店するには様々な課題がある。8/25小職FB投稿のTTP納涼祭時の在京対馬人の協力や、長崎県所有の四谷のアンテナショップの活用等、福岡とは比較にならない東京市場への販路拡大策を本所ではなく福岡事務所が主体で実施できないか提案した。

【11月9日午前11時~午後1時】
〔訪問先〕武雄市役所営業部
面会者:商工流通課 海外対策課 フェイスブックシティ課 主任古賀敬弘氏

《内容》FBによる通信販売サイトを設立し運営を開始した武雄市の『FB良品』事業自体のノウハウのみならず、協力自治体へのレクチャー方法のノウハウについて

武雄市役所営業部の3つの課にまたがって所属する古賀主任に期待をはるかに上回る説明を受ける。PC画面を見せながらスティーブジョブズばりの息を付かせぬ流れるようなプレゼンでした。内容は以下の通り。

<FB良品事業立ち上げの経緯>
昨年8月1日に市役所HPをFBに全面移行させ職員全員にアカウントを持たせた。移行前HP月平均アクセス5万件が、FB移行後315万件に飛躍的にアップした。これを地域の所得上昇につなげるプロジェクトFB良品開発を始めた。

同年11月7日市長が記者会見を開き、「自治体の大きな役割である市民の所得向上のため、FB良品事業を年商1億円を目標として立ち上げる!」と宣言。

<事業展開>
①当初は武雄市の特産品2種類のみで開始。
②私企業を自治体が支援することに対する批判は、全て首長が責任をとる。成長した企業に付随した産業が更なる成長を遂げることで批判は消える。
③事業立ち上げの目的が、市民の所得を上げるためであり、大手の民間通販のような高額な出展料やバックマージンを取っては自治体がやる意味がない。
出展料は無料とし、マージンはクレジット決済5%と別途3.5%に抑えた。
④単品販売だけではなく特産品を組み合わせた鍋料理セットを開発。単品では人気が出なくとも、セットにすれば便利さからか販売が上向いた。
⑤信頼性が高い専門家(友達が多い人)が「シェア(再発信)」することで、情報が驚異的に拡散する。・単なる「情報の発信」ではなく、「共感の発信」を追及する。「共感」しやすいように、写真や動画を取り入れる。生産者紹介をする際も、いかにもプロが製作したというより、さんまのからくりテレビの「ビデオレター」風の素朴感溢れるものを敢て流す等の工夫も戦略の一つ。
⑥市職員がバイヤーとなり他の自治体とも提携を図り、FB良品の仕組み自体を有望なコンテンツとして営業開始。加盟料は所期費用200万円、月15万円。
⑦流通コスト削減も大きな鍵であり、大手宅配業者とのタイアップで通常の半額にまで送料を圧縮。石垣市も加盟を希望しているのはこの点が大きい。

<感想>
『出来上がるのを待って表に出すのではなく、仕掛かりでリリースして仕上げていくことで、ブラッシュアップを図りより良いものにしていく』という首長のスピードは最大の付加価値という信念が、職員末端まで浸透している事業だと感じた。

また、首長が全て責任をとるという姿勢が、職員の安心感を生み風通しの良い企業風土が築きあげらるのだろうと感じた。

市職員が運営を行うことで、市内零細業者の営業費を肩代わりし生産に集中してもらい出た利益から税収アップというかたちで市に還元してもらう。とはいえ今年10月段階では、月間売り上げは僅か100万円程度であり事業単体ではコスト割れは否めないとの批判があって当然だ。しかし、それがないのは事業成功へのビジョンが描けていて、職員や議員さらには市民もそれを信じているのだろうと感じた。

ブログ、ツイッターとSNSを上手く活用してきた実績が、今回のFB良品という通販事業に生かされている。随所にFBならではの特徴を生かす工夫が取り入れられている。⑤の『シェア』の有効活用は、対馬とんちゃん部隊がシルバーグランプリ獲得した翌日、部隊のHPが1時間当たり最高7万アクセスを突破したのは、B-1公式HPという信用度の高いリンクを通して情報が拡散されたからと思われるが、FBによる『シェア』拡散によるところも大きいと感じた。

何よりも自治体が通信販売をやることが、インパクトがあることであり、商工会や観光物産協会がやっても何のインパクトもないと感じていた。ただ、市役所や議会に私の拙い説明では理解を得られまいと思い直接プレゼンを受けに武雄市を訪問した。出発前から、商工会には青年部の講習会に古賀氏を招聘し予定されているFB講習とセットで実施してはどうかと推奨していた。古賀氏からは日程さえ合えば伺いたいとの了承もいただいたので、自信をもって推薦しようと感じた。

素晴らしいプレゼン受けた古賀氏は生え抜きの武雄市役所職員ではなく、大手メーカーの営業経験者の中途採用であるとのこと。5月の東京出張で面会した、*11)海士町観光協会の佐藤氏、*12)用賀まちづくり㈱の青柳氏のときも感じたが、外部からの地を受け入れる組織の柔軟な姿勢の重要性を改めて感じた。

【おわりに】
今回報告した、『海岸漂着ゴミ問題』と『FBを利用した通信販売』等の観光物産戦略に敢て共通点を見つけるなら、対馬市にとってハンディと思われている部分を発想の転換で強みに変えるという点ではないだろうか。

取っても取っても流れ着くゴミを金食い虫のゴミではなく、資源として島内で活用する。輸送コスト営業手腕で劣る産業振興を、本土と同じコストで広告宣伝できる仕組みに乗っけることで、歴史や自然の恵みに溢れる対馬を強みに攻勢をかける。そのような逞しさを育み発揮していかなくてはいけない。

武雄市役所玄関先に到着すると名物の本日の行政視察の客様へのおもてなしの第一歩「歓迎!〇〇市議会様」という張り紙が十枚以上貼り出されまるで観光ホテルの玄関かと錯覚させられる。観光ホテルは普通週末に宿泊客が集中し平日が少ないという弱点がある。次々と斬新な取り組みがマスコミに取り上げられ(るように樋渡市長が仕組んでい)る武雄市では、行政視察受け入れを宿泊団体優先とすることで、平日約400名の宿泊客増加が図られているとのこと。これも、見事な弱点を強みに変えた一例と言えないだろうか。

今回の報告をまとめるにあたり多くの方の協力をいただきましたことを厚く御礼申し上げ、報告を閉じます。

*1) 対馬市公式HP 

*2) ブログ http://tsushimanosokodikara.blog25.fc2.com HP 

*3) 漂着発泡油化装置概観 www.thomasgk.com/jissekisyoukei_yoko_.pdf

*4) 対馬市公式HP 

*5) 長崎県環境部廃棄物対策課HP

*6) ブログ http://s.amebio.jp/nagasaki-umigomi/entry-11058926

*7) 脇本ひろきHP www.giinjp.com/hiroki_wakimoto 活動報告vol.1

*8) 自民党対馬6支部連合会を通じ提出した要望を巻末に添付

*9) 県ホランティア団体紹介 volu-npo.jp/210s.php?flg=show&id=173

*10) 発泡ポリスチレンの発泡倍率は以下の通り
PSP(食品トレイ等) 10~20、EPS(漁具のブイ等) XPS(建築断熱材等) 50~100

*11) 公式HP 

*12) 公式HP 

*11)*12)は拙稿www.giinjp.com/hiroki_wakimoto 活動報告vol.4参照

海岸漂着ゴミ対策に係る要望書
標記海岸漂着ゴミ対策に係る諸問題につきまして、以下の通り要望します。

【要望内容】
Ⅰ.「海岸漂着ゴミ回収処理に係る」予算の復活と予算の恒常化
地域グリーンニューディール基金の内、今年度から原則皆減となっている「海岸漂着ゴミ回収処理に係る」予算の復活と予算の恒常化を要望します。 

Ⅱ.「地域グリーンニューディール基金要綱」にNPO等に対する支援の明文化
NPOやボランティア団体の活動にも地域グリーンニューディール基金が活用できるように当該「基金要綱」を改正し、自治体と諸団体の連携協力が円滑に進むよう要望します。

Ⅲ.海岸漂着ゴミ問題に関する啓発活動への国の積極的な支援
海岸漂着ゴミ問題は、発生源を断たなければ解消できません。対馬市では毎年韓国の大学生による島内海岸清掃を実施しています。昨今、中国由来の漂着ゴミに悩まされている韓国において、対馬で海岸清掃をした大学生やそのOB・OGが、韓国も対馬をはじめ日本に漂着ゴミで大変な迷惑をかけていることを伝える活動を行ってくれており、韓国国内で海洋不法投棄に関する意識の変化が生じています。国内外を問わず、海岸漂着ゴミ問題に関する啓発活動への国の積極的な支援を要望します。

Ⅳ.海岸漂着ゴミ等を島内で処理可能な施設の整備
海岸漂着ゴミ処理についても「地廃地消」の原則に立ち返ること。また、フードマイレージと同様にウェイストマイレージの観念を普及すべきです。自治体の規模だけではなく、海岸漂着ゴミの質や量、本土との隔絶性等も考慮に入れて、海岸漂着ゴミ等を島内で処理可能な施設の整備を要望します。

Ⅴ.海岸漂着ゴミ処理施設ランニングコストの国県による負担
「海岸漂着ゴミ処理法」において、回収及び処理責任は海岸管理者が負うと規定されています。対馬市の場合は市が直接管理している海岸は全体の数%に過ぎず、大半が国県の管理海岸です。従って、Ⅳで要望した処理施設については建設費用のみならず、ランニングコストも海岸管理者である国県が負担することを要望します。

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