No.308【対馬市一般会計補正予算(第5号)少数意見の留保】湯多里ランド委託料追加補正予算について
対馬市議会議長 初 村 久 藏 様
提出者 産業建設常任委員会委員 脇 本 啓 喜
賛成者 同常任委員会副委員長糸 瀬 雅 之
少 数 意 見 報 告 書
令和6年9月18日の産業建設常任委員会において留保した少数意見を、 会議規則第108条第2項の規定により次のとおり報告します。
記
1.議案第52号 令和6年度対馬市一般会計補正予算(第5号)
2.意見の要旨 産業建設常任委員会に付託されていました令和6年度一般会計補正予算 (第5号)につきましては、慎重に審議した結果賛成者3名(小田委員、小 島委員、船越委員)、反対者2名(糸瀬副委員長、脇本委員)で、坂本委員長 報告の通り賛成多数で原案通り可決されました。その後、小職が少数意見の 留保を申し出て糸瀬副委員長の賛成を経て少数意見の留保が成立致しました。 審査付託された案件中、7款・商工費、1項・商工費、3目・観光費にか かる湯多里ランドつしま指定管理料17,646千円の予算計上については、 次の理由により、予算の修正を求めるものです。
今回審議が集中したのは、今定例議会初日に小宮議員が質問した湯多里ランド指定管理受託者に対する指定管理料追加予算が妥当且つ適当な額であるか否かについてであります。
そもそも、この指定管理料追加の原因は、プール部門のみ対馬市直営期間に業務を委託していた福岡県内の事業者が、施設や設備の整備を怠っていため、株式会社クリルとの指定管理契約開始日までに営業可能な状態で引き継げず、営業開始が遅延したことにあります。いわゆる対馬市の善管注意義務違反を原因とする損害補償の追加補正予算と言えます。
審議過程で、多数の疑義が上がりました。主な3項目に絞って少数意見の留保に至った理由を述べます。
1.再委託の禁止に抵触する可能性が高い
受託者株式会社クリルは、その代表取締役社長の全額出資の株式会社 SAKURAへ、当該指定管理業務のほぼ全業務を再委託する形式で実施させている。『湯多里ランドつしまの運営に関する基本協定書』第10条及び同協定の個人情報取扱特記事項第8に記載されている再委託の禁止条項に抵触する可能性が非常に高い。基本協定書及び仕様書の規定違反が疑われる状況で、指定管理料追加補正予算を可決して良いものか疑問が残る。
2.指定管理契約開始日に人員配置計画人員未達であったにも関わらず、人員配置未達と人員配置確保、一律日割り計算であるのは不適当受託者が対馬市へ提出した『湯多里ランドつしま指定管理者事業計画書』には、プール部門だけで7名の人員を配置すると記載している。『湯多里ランドつしま指定管理業務仕様書』 3本業務の内容(1)運営について、ア 人員に関すること、(ア)開館時間中は、常に適正な数の人員を配置することが規定されている。
例え対馬市の責により営業開始が遅延せざるを得なかったとしても、指定管理契約期間開始日の令和5年4月1日時点には、受託者自ら提示した人員配置に適う人員を確保しておかねばならないと思われるが、受託者から実質再委託を受けている株式会社 SAKURA の設立登記は令和5年4月6日であり、指定管理契約開始日に所定の人員配置はできておらず、プール開業日7月10日直前の7月1日に送迎担当者を雇用した時点で所定の人員配置が完了し たと見做すべきだと思う。
対馬市は、指定管理料追加額の算定において、指定管理契約開始日から営 業開始日7月10日までを一律日割り計算している。しかし、所定人員配置 未達の期間と所定人員配置が確保されてからの期間とは、当然算定基準を別 とすべきであり、どんぶり勘定的な算定基準による今回の追加補正予算額を 認めるべきではない。
3.株式会社クリルが指定管理受託者として妥当且つ適当であるか
株式会社クリルは、当該指定管理業務を遂行するに当たって、従業員給与 の支払い遅延及び取引業者への買掛金支払い遅延を起こしており、指定管理 受託者として妥当且つ適当であるかについても審議した。 対馬市は、この指定管理料追加額を、受託者が営業開始後1年間の経営実 態を基に算定しており、損害が発生して1年以上受託者は損失補填を受けて いない。支払い遅延は損失補填が遅くなったことが遠因になったとも考えら れなくもない。また、支払い遅延分は既に支払い済みで、以降支払い遅延を 起こしていない。また、受託者は、韓国や中国にも誘客営業を実施する等の 努力が認められ、業務の遂行も支障なく実施されていると、市役所からの説 明を受けた。従って、利用者が安心して利用できる環境確保も考慮して、受 託者に指定管理契約期間満了まで委託することは妥当且つ適当であると思う。
また、対馬市は経営実態に応じた補償をするため、今回の算定基準とした旨 の説明を行なっているが、指定管理者事業計画書の収支計画に基づいて早期 に損失補償をすべきであったとの考えもある。
以上の審議内容を踏まえて、特に上記2の所定人員配置未達の期間と所定 人員配置確保後の算定基準が同一であることは適切な補償算定基準とは認め 難く、原案に反対の立場から予算の修正を求めるものであります。