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No.71【2022年3月定例市議会一般質問原稿】(2/17現在)

《人口減少対応(特に社会減抑制)について》
1.若者回復率の改善について
若年層が一旦島外に出ることはある程度やむを得ない。それを逆手にとり一人ではなく島外から配偶者や子どもと共にUターンの拡充を図ってはどうか。

(1)若者回復率を重要指標とし、指標改善に取り組んではどうか
若者回復率とは「10歳代の転出超過数に対して20歳代の転入超過者数が占める割合」と定義されます。簡単に言うと、進学で地元を離れた子供たちが就職や結婚を機会に、故郷の町に帰ってきてくれたかどうかを表す指標です。人口の増減は出生数と死亡数の差による自然増(減)と、人口移動すなわち流入数と流出数の差による社会増(減)とに分けて考えられますが、若者回復率で見ているのは「社会増(減)」です。近年日本中の多くの地方都市では、10代の多くが進学等のため故郷を離れ都市部に移り住む「転出超過」となり、20代になると就職や結婚をきっかけに一定割合の人は地元に戻ってきます。
対馬で持続的に住んで行く、また対馬市の課題解決につながる仕事に就くには、島外で知識や技能を身につけなければならないケースも多くあります。対馬の子供は、自分がどんな職業に就きたいかよりも、いずれ帰って生活するためにはどういうキャリアを経た方が良いかを考えている人は少なくないでしょう。若者回復率は、今後対馬市において非常に重要な指標として、回復率好転に向けた施策の拡充が必要だと思います。
戦後間もなく1946年12月石炭、鉄鋼中心の傾斜生産方式が閣議決定されました。産業界のエネルギー問題を解決することによって経済の再建をめざすという計画で、この方式の成功が高度成長経済を牽引したことはよく知られています。限られた予算で持続可能な島とするために、人材確保のための環境整備に予算を傾斜配分できるよう市民の納得感を醸成すべきだと思います。
地域密着型学習を通じて、対馬市で人手不足が顕著で特に資格等を要する職業を希望する生徒を発掘して、他の進学目的より手厚い支援を検討できないでしょうか。働きながら資格を取得することは困難を要します。さらに、対馬では未だに家事や育児や介護を主に担う女性は男性以上に困難です。先ずは、成り手不足改善に向けて、県や病院企業団が設けている就学支援制度で対象とならない費用、例えば転出転入の際の引っ越し費用支援、島内でのインターンシップ受講者及び受け入れ先への支援等の拡充を検討してはどうでしょうか。市長の所見を求めます。

(2)移住者の地元定着率の改善ための受け皿整備について検討できないか
例えば、対馬市においても病床等に空きがあるのに、主に医療•介護従事者の成り手不足と低い職業定着率が原因で慢性的な人手不足となり入院入所が困難な状況に陥っていることは明らかです。近年、国がそれらの職種従事者の処遇改善の支援を実施しています。対馬市独自で更に賃金上乗せ支援を実施してはどうでしょうか。ところで、昨年6月定例市議会一般質問にて、対馬市において女性が男性と同等の給与を得られたり同様に昇進できる職種が少ないことについて触れました。対馬市において生産年齢人口の男女比率は約12対10と圧倒的に男性の割合が高く、歪な男女比となっています。女性向きの職業と捉えることは性差別の助長とも言えますが、現状を鑑みれば当該事業従事者を希望する生徒の支援を手厚くする意義は高いと思います。市長の所見を求めます。

2.雇用対策について
企業誘致も重要だと思うが、なかなか困難であり、地元産業の再構築と兼業推進の充実を図るため、以下の2つの提案を検討できないか
(1)小規模M&A等事業継承マッチング支援事業推進が必要だと思うが対馬市として支援できないか。
この件では、対馬市商工会や、㈱十八親和銀行、㈱日本M&Aセンターに資料提供等大変お世話になりました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。また、対馬グローカル大学で山田周作中小企業診断士のWEB講義も参考にさせていただきました。

さて、M&Aとは、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買うこと(買収)です。M&Aの広義の意味として、企業の合併・買収だけでなく、提携までを含める場合もあります。

《廃業を回避するM&Aの積極的活動支援展開の意義について》
M&Aに関しては、30年以上前にヒットした映画ウォール街のようなドロドロした乗っ取りのイメージが、未だに特に地方ではついて回っています。しかし、ここで提案したいことは、中小零細企業の廃業をM&Aを活用し、廃業しようとしている事業主、譲渡先、地域の「三方よし」を実現するイメージです。
〔単なる廃業増加はもったいない〕
①現事業主には、〈事業譲渡の利益が生じない〉〈生き甲斐の大きな柱の消滅〉等デメリットが大きい。
②事業承継者に引き継がれる資産〈動産、ノウハウや技術、お得意様、取引先等〉が埋もれたままとなる(例えば、移住者が全くの新規事業を開始するよりも、優位となる材料が多い)。また、事業継承を機に新たな設備投資も期待できます。
③雇用を守ることが最も地域貢献となる他にも、単に廃業となれば、田舎の小店が担ってきた地域の憩いの場としての役割や、地域行事の円滑な運営等に大きく貢献してきた役割の喪失となり、地域活動に大きな支障が生じ兼ねない。
対馬市のM&Aをめぐる実態を調査しようとしたのですが、残念ながら適当な資料がありませんでしたので、㈱日本M&Aセンター社提供資料に沿って、日本国内における中堅•中小企業M&A増加の背景について触れます。
経営者の平均年齢、分布のピーク、平均引退年齢いずれのデータからも、経営者の高齢化が進行中であることが読み取れます。経営者が若い場合や、経営者の交代があった企業の方が高業績であり、社長の年齢と企業の業績は逆相関が見られます。後継者不在率はも悪化しており、2020年休廃業•解散企業件数は4万件強あり、倒産件数の約6.4倍です。しかし、廃業企業の内6割以上が黒字であり、廃業を予定している企業の中で、同業他社より業績が良い、また今後10年間少なくとも現状維持以上は可能と回答した企業は、いずれも3割以上あります。経営者の在任期間が長いほど親族への承継割合が高くなりますが、かつては全体で9割を占めていました親族内承継が、最近では親族外承継が3分の1をも占めるに至っています。ただ東京都内の経営者ですら、約半数の経営者がM&Aについて「よくわからない」と回答しており、まだ認知度が低いようです。
M&Aの形態は次の3形態に分類されます。
①「成長志向型」:自力での成長の限界等を背景に、さらなる成長をするために戦略的にM&Aを実施する〈14.5%〉
②「事業承継型」」:経営者の高齢化を背景に、事業を継続するためにやむを得ずM&Aを行う〈53.1%〉
③「経営資源引継ぎ」:事業を継続しないものの、全部又は一部の経営資源を引き継ぐ〈32.4%〉
M&Aに関する経営者の相談相手は、顧問の公認会計士•税理士が〈59.1%〉と最も高く、取引金融機関が〈42.3%〉と高い。これに対して民間のM&A仲介業者は〈17.4%〉まだ低い水準でり、商工会•商工会議所は〈9.1%〉と意外に低いようです。
M&A実施後3年間の売上高、経常利益は、M&Aを実施せずあるいは検討せず企業と比較すると、両方とも「増加傾向」と回答した企業の割合が高く、M&Aを実施した企業の満足度は高く、約7割の企業がその結果に肯定的です。

地元税理士事務所や商工会で対馬市内の事業承継をめぐる現状をお聞かせいただきました。地元企業に密着している税理士や商工会を中心に、市役所及び労働関連出先官庁の連携によるM&Aマッチングとその後の経営支援が期待されています。
施政方針によれば、来年度DX推進本部を立ち上げるとのことですが、何よりもデータの収集と整理が覚束なくては始まりません。先ずは、対馬市におけるM&Aのニーズを早急に調査してはどうでしょうか。市長の答弁を求めます。

(2)対馬づくり事業協同組合支援の今後の展開について答弁を求める
この件につきましては、海士町役場、総務省自治行政局地域政策課、そして対馬地域づくり事業協同組合理事長にご教示賜りました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
私は、特定地域づくり事業協同組合を一昨年の市議補選の選挙広報でも取り上げて参りました。働き手にとっては、事業のリスク分散、ひいてはワークシェアが普及できれば、子育て世帯のフレキシブルな労働環境の提供も推進され、少子高齢化対策に多大な貢献が期待出来ると思われます。雇用主にとっては閑散期の人件費削減と繁忙期の人材確保。一次産業の担い手不足解消。6次産業化の構築等が期待されています。離島では流通コストがネックとなり企業誘致は厳しい上、そもそも、古から対馬は半農半漁等複数の業で生計を立てて来た歴史的背景があります。また、昨今は、多くの企業で副業が可能となりつつあります。対馬づくり事業協同組合の現状は行政報告されたので、今後の支援展開について、市長の答弁を求めます。
次に、前項で医療•介護従事者の経済的支援について質問しましたが、ここで職場環境の改善についても質問致します。
前述したように、当該事業従事者の定着率の改善は、経済的支援以外に職場環境の改善が喫緊の課題です。育児や介護と向き合う時期の離職が多くみられます。それは、夜勤等の対応が困難であること等でしょうが、そもそも従事者不足が根底にあると考えられます。フルタイムは困難でも、可能な時間帯に働ける環境を整えることでそれをカバーできないでしょうか。
対馬づくり事業協同組合には、そのニーズに応えることが期待できます。また、ギグワークでも可能でしょう。ギグワークは「単発の仕事を受ける働き方」を意味します。ギグワークの代表的例が、ウーバーイーツの配達員です。継続した雇用契約がないので、働く時間や場所などの自由度が非常に高い働き方と言えます。市場が小さい離島においては、経営が成り立たないという理由で放置されいるニーズが多くあります。その担い手の一つとしてシルバー人材センターも思い当たります。近年、対馬市は社協に委託して2名の再雇用市役所職員がシルバー人材センター事業の充実に当たり一定の成果を上げていることは評価できると思います。しかし、高齢のため困難な案件もあると思われます。ギグワーカーは、シルバー人材センターで賄えないニーズや、特定地域づくり事業協同組合社員よりも柔軟に対応できるメリットを活かしたニーズに応えることが可能です。
民間人材派遣会社と提携し、多様な働き方の選択肢を増やすことで、元々の在住者も移住者も生活の糧を得られる環境を整備することが持続可能な島への一助となると思われます。市長の所見を求めます。
3.中高年まで婚活支援対象年齢を引き上げることについて
婚活といえば少子化対策と考えがちですが、孤立孤独対策、介護人材不足の緩和、寡婦寡夫となった際の配偶者側の親戚や友人からの支援が期待できる等、本人のみならず社会的負担軽減にもつながる有意義な施策となるのではないかと考えられます。市長の見解を求めます。
再質問
M&Aに関しては、乗っ取りといった負のイメージが、未だに強いと申し上げました。しかし、メルカリ等を利用したせどりと同様とは申しませんが、一旦M&Aした会社を更に価値を上げて転売することについてはむしろ肯定的に解してもよいのではないかと私は思います。実は、現在M&A市場は買い手が多い売り手市場です。買い手の多くは、M&Aを複数手がけた企業です。それは、ある意味M&Aの成功例が多いこと、端的に言えば儲かる手法だと認識されているということでしょう。狭い島内だけでなく、島外にも目を向けて、M&Aのマッチングとその後の支援に対馬市も加わることを、再度提案します。市長の所見を再度求めます。
先月、九州の地域密着型事業先進事例RKBの2つのテレビ番組を視聴しました。行政が地元企業を支援する際は、収益アップももちろん大切ですが、本来の使命(目的)である、貨幣的価値以外での地元社会への還元価値にも思いを馳せる重要性を改めて感じました。
椎葉村の鈴木組は、チョウザメ養殖のみならず独学でキャビア生産を学び自社生産化し収益拡大し、6次産業化の線信じt例として知られています。同社の後継者が、地場産品ねむらせ豆腐唯一の生産企業が廃業のため片付け中に、たまたま通りかかりその場で事業承継を申し出たそうです。生産企業やねむらせ豆腐のフアン消費者から大変感謝されていました。地場産品販売所のヒット商品、あるいは地元の食文化を守るという大きな意義もあるM&Aとなっているようでした。

【シングルマザー支援に求められる施策とは⁉️】
《1.様々な支援制度の認知度の向上と、申請への心理的ハードルを下げる取組み》
対馬市でも、世界的な取組みである一人親世帯への物質的支援事業であるハッピーバスケット事業(もちろん物資をお届けする際に様子を伺う等の精神的支援も並行して実施)を、社協が中心となって展開されています。昨日も、事業協力ボランティアの方から、現場の声をお聞かせ頂きました。
今困っているのだから、今必要な物資をお届けすることは大事な事業です。
ただ、その事業があることを知らなかったり、申請を躊躇っているシングルマザーも多くいらっしゃると、事業に関わる方から聞き及んでいます。
《2.経済的自立を支援する取組み》
新聞記事のような、労働スキルの習熟と、仕事の斡旋により、経済的自立を支援する取組みを、行政も開拓し支援することが求められていると思います。
地方ではよく、仕事が無いとの嘆きが聞かれます。確かに仕事の絶対数も相対数値も少ない低いのは事実でしょう。
しかし、私は量の問題よりも、質のアンバランス解消が重要ではないかと感じています。
つまり、仕事はあってもその仕事を熟せるスキル不足が原因で労働受給のマッチングが成立しないことを、解決することが重要だと言うことです。
また、明石市が全国で初めて取り組み始めた『養育費建替えとそれに伴う取立て制度』は、目から鱗の画期的シングルマザー支援制度と思います。
市が養育費を立替えた費用を取立て、即ち給与差し押さえを全国何処に住んでいても行うと未(遅延)払い相手方に通知した時点で、大半の相手方は職場に知られたくないので?支払いに応じるそうです。流石弁護士資格を持つ市長の発想は素晴らしい。いや、発想だけではなく、その実行力がもっと凄いですよね。


限られた時間で多くのやらなくてはならない課題がある中、何を課題と選択し、どういうコンセプトで課題解決に取り組むか、即ちイシューの設定がまずもって重要です。更に。良いイシューとはスタンスが明確かつ行動の変化をもたらす常識を否定しているもので、良いイシューを特定するには一次情報の収集が重要です。

今までの常識に囚われた手法では、課題解決は覚束ないでしょう。これまでと違うコンセプトで課題解決策を検討することが求められると感じています。
成果を上げるとは、目標達成ではなく目的の達成であることを常に念頭において、議員活動に努めて参ります。



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