No.123【高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場誘致をめぐる対馬市内での動き〔後編〕】
1.令和以降の誘致推進派の動き
⑴2007年以降の動向
対馬市議会で誘致反対決議が可決されて、一定の決着をみることとなりました。
その後、2009年3月11日日発生した東日本大震災に端を発する福島第一原子力発電所事故を経験し、日本全国で原発安全神話が大きな音をたてて崩れ去りました。対馬市においても、以前誘致に前向きであった方々からも、誘致反対に変わったとのご意見を多くお聞かせ頂くようになりました。
⑵令和以降の動向
しかし、令和に改号して間もなく日韓関係悪化により、約20年間右肩上がりに急速に伸び続けていた韓国人観光客の増加は突然ストップした上に、コロナ禍でピークは年間41万人いた韓国人観光客は皆無となってしまった。また、感染予防による人流制限で、島の経済は冷え込んでしまいました。
そのような中、令和2年3月1日執行された対馬市長選挙には、核のごみ最終処分場誘致を公約に掲げた候補者が出馬しました。
2.直近の同行
⑴誘致推進派の動き
経済が停滞するとどうしても迷惑施設を受入れてでも、景気回復を図ろうという動きが、またぞろ始まります。
2020年には、北海道内の2自治体が核のごみ最終処分場候補地選定のための〈文献調査〉を正式に申請し、同調査が開始されています。
経済基盤の弱い地方自治体を舞台に、札束で頬を引っ叩き、地域や親戚・家族の分断を図る国の卑劣な体質は相も変わらないようです。
この対馬でも、2007年当時誘致推進派中心議員の一人であった議員が、以下のリンクのような動きを始めていたようです。👇
⑵誘致推進派の動きの顕在化
①『高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 長崎(対馬市)会場』
日時;2021年11月23日㈫13:30~16:00
場所;対馬市交流センター
上記説明会に参加しました。以下の感想を持ちました。
▷十数年前とパンフレット記載内容も説明内容もほぼ変わらない。⇒安全性について十数年前に論破されたことについて何ら解決がなされていないように思えました。
▷プルサーマル計画(核燃サイクル)は、既に破綻しているのに、未だにそれを前提とした地層処分で、安全だと言い張ることに憤りを感じます。
▷放射線の危険性について触れる際には、相変わらず〔外部被曝〕のみしか言及せず、比較にならないくらい恐ろしい〔内部被曝〕について説明しないのは、明らかに情報隠蔽に当たるでしょう。
▷「活断層がないところに地層処分する」というが、「現在活断層が見つかっていないところ」が正しい情報である。その証拠に既存原発建設時にも地層は詳細に調査をしたというが、運転開始後に原発立地直下から、新たな活断層が発見されたケースが複数箇所存在します。
▷地層処分にかかる費用は、まるで電力会社が拠出(負担)しているかのように説明するが、元々我々が支払う電気料金に上乗せして徴収しているので、費用負担者は当然ながら電力消費者であり、この説明も偽証と言えるのではないでしょうか。
(当日の説明会を報じた長崎新聞記事👇)
②対馬市商工会関係者への地層処分説明会
①開催から間もなく、商工会役員向けの説明会や、翌年4月14日に上対馬町花海荘で同会女性部及び青年部を対象とする説明会も開催されました。
その日の長崎新聞に、対馬近海に新たな活断層が見つかったとの記事が掲載されたことについて、関係者に質問して欲しいと依頼しましたが、残念ながら質問頂けなかったようです。
(もちろん、聴講された方が全て推進派だと決めつけている訳ではございませんので、誤解無きよう宜しくお願い申し上げます)
⑶核のごみ中間貯蔵施設(青森県六ヶ所村)への視察旅行再開
平成にも多くの対馬市民が、六ヶ所村視察ツアーに参加なさいましたが、今年になってまた再開されている模様です。
現地視察を全く否定は致しませんが、情報リテラシー(賛否両論を勉強する)に充分利かせて頂きたいと切に願います。
《核のごみ最終処分場公募に応じる各地の動きに関するまとめ》